2025年11月21日号

中国の習主席とトランプ米大統領が10月末に首脳会談を開催し、中国はレアアースの輸出制限、米国は対中100%関税適用の1年間延期などで合意した。メディアは内容詳細が不明瞭な砂上の楼閣の一時的な合意だと評する。中国は一大消費市場として期待ができなくなったばかりか、両国は相互不信による対立を続けるなか、いずれ衝突が避けられないと論じる。

台湾は中国の侵攻に備え、国防費のGDP比3%超への引き上げ、ドローンと移動式ロケット発射装置や沿岸ミサイル向けの投資拡大を指向している。他方、中国は国防費を台湾の約10倍に増やし、サイバー戦争ツール、宇宙兵器、新型上陸用舟艇の開発に注力している。ただし、習主席は米中サミットでトランプ氏在任中は行動を起こさないと述べたと報じられている。

韓国による原子力潜水艦の建造を米国が支援すると宣言した。狙いとして、核兵器開発を大胆不敵に進める北朝鮮とその背後に存在する中露への対抗、韓国自体の核兵器開発への野望の抑止、同盟国に自力対応を求める米政府の方針などが挙げられている。ただし、実現へのハードルは高く、地政学的影響も懸念されている。

北朝鮮がミサイル実験連発で世界の注目を集める方針を転換している。年間20~30回の発射回数を今年は約12回にとどめている。これは、核保有国の地位強化に注力する北朝鮮がロシアの支援などで軍事力を高め、米国に圧力をかけるための継続的なミサイル発射の必要性が低下したためとされ、一例として極超音速弾道ミサイルの発射成功が挙げられている。

東南アジア関係では、インドネシア政府がパンダ債の起債を検討している。中国国内での人民元建て資金調達となる狙いは低利の人民元活用にあるが、中国は朝野を挙げて人民元の国際化を目指して取り組んでおり。インドネシアによるパンダ債発行も最近における両国の関係緊密化を背景にした動きとみられる。

インドの近隣諸国が混乱と不振にあえぐなか、インドは安定している。その理由としてメディアは、好調な経済成長、十分な外貨準備、国内銀行の健全化、好調なサービス輸出、財政と経常の二重赤字の改善、弱点だった石油問題の解決などを挙げる。他方、問題点として政府ポストの不公平な割り当てや高い大卒者失業率などを指摘する。