2024年12月24日号

中国がトランプ政権の生み出す世界的空白を利用しようと虎視眈々としている。習主席はグローバル経済ガバナンスや環境政策、核政策などで中国が安定した信頼できるリーダーであることを世界に発信しており、そのために対外政策と国内政策をうまく使い分けている。世界の覇権が静かに中国に向かって傾き始めている。

台湾の経済成長率は来年共にそれぞれ4.27%増、3.29%増へと上方修正された。今後の経済情勢に影響を与える要因として米貿易政策、特に新たに課されるとみられる関税と経済を牽引するAI需要の動向が指摘されている。とりわけ新関税が台湾の輸出に与える影響が懸念される。また防衛費の急増も注視する必要がある。

12月3日、韓国の尹大統領は突如非常戒厳を発令したが翌朝に解除されたことから、韓国の民主主義はここ数十年で最大の試練を乗り越えたとされる。経済的にも株式、通貨、金融市場に一時動揺が広がった。政府による「無制限の流動性支援」の約束などにより大きな混乱は避けられたものの引き続き事態を注視していく必要がある。

北朝鮮は、ロシアに派遣した北朝鮮軍のトップとして朝鮮人民軍総参謀部の副総参謀長で最側近の一人であるキム氏を送り込んだ。その任務は、戦場での知識・経験を吸収して将来の派兵準備を整えることにあるとされるが、ロシアから核やミサイルの機密技術を獲得するための金総書記のやみくもの努力を示している。

東南アジア関係では、対米貿易黒字を急増させているベトナムが、米国から追加関税を課されれば壊滅的な影響を受ける可能性があると懸念されている。黒字額はトランプ前大統領が就任した2017年の380億ドルから1,040億ドル以上と約3倍に増加し、輸出の30%近くが米国向けとなっている。

インドの製造業はトランプ関税の恩恵を受けると予想されるが、実状は生産性がバングラデシュやベトナムなどと比較してインド特有のレッドテープやその他の事情によって大きく阻害されており、これを除去するための努力を政府はほとんど何もしていないとメディアが批判する。モディ政権のインド製造大国化の努力は前途遼遠である。