2024年11月22日号

中国がトランプ米前大統領の再登場に備えて欧州やアジアの米同盟国に接近しようと模索している。中国製品に最大60%のトランプ関税が課されると中国経済の成長率が押し下げられ、輸出と製造業を主なエンジンとする成長モデルが破綻する可能性があり、しかも中国は米同盟国との接近戦略で苦戦しているとメディアは伝える。

台湾政府は企業に対する二重課税廃止のため米国政府と協議を開始することになった。台湾の狙いは、中国向け投資が減少するなかで米国向けを増加させることにあり、米国は台湾の対中依存度の減少と台湾企業の誘致による自国半導体産業の育成強化を狙っている。この動きに中国は反発しており、トランプ新政権の対応が注目される。

韓国国民はトランプ氏の再登板で朝鮮半島における米国の軍事的影響力の後退や、北朝鮮を核保有国として認める、核兵器を含む軍事資源で韓国を守るというバイデン大統領との約束を反故にするなどの恐れがあると身構えており、北朝鮮抑止のために核兵器製造の検討を始めるかもしれないとメディアは伝える。

北朝鮮がロシアに特殊部隊を送り込んだと報じられた。メディアは、北朝鮮からの兵員導入は労働者や兵員不足というロシアが抱える構造的問題が背景にあり、露朝の軍事同盟が顕著な前進をみせたと指摘する。西側諸国のみならず日韓中などのアジア諸国にも重大な影響を及ぼす可能性があり、事態を注視していく必要がある。

東南アジア関係では、インドネシアでプラボウォ・スビアント氏が新大統領に就任した。前任者は大イベント開催や首都移転など壮大な計画を推進したが、新大統領は生活改善に直結する行動を優先する。鉱物資源が豊富で米中争奪戦の場となるなか、全方位外交を展開し、既に中露を訪問した。日本とも親密な関係にあり、その動静から目が離せない。

インド経済に赤信号が灯っている。インド準備銀行(RBI)は原動力である消費と投資需要は勢いを増しており、成長ストーリーは変わらないとの強気の見方を示しているが、エコノミストの間では、今後のインフレ動向や成長率見通しおよびRBIによる利下げのタイミングなどについて意見が分かれている。