中国の湖北省武漢で発生した新型コロナウイルス肺炎が世界で猛威を振るい始め、国際保健機関(WHO)も世界的大流行(パンデミック)となったと認定した。新型コロナの感染の爆発的拡大に関して主要メディアは中国の初期対応の遅れに原因があり、それは中国の統治体制の欠陥、とりわけ秘密主義と隠蔽体質のためだと一斉に批判する。
台湾の国民党が党主席(党首)選挙で改革派の江啓臣(チアンチーチェン)氏を選出した。同党は今年の総統選で与党の民進党に惨敗し建て直しに奔走中であり、新主席の課題として対中政策の見直しと逼迫する党財政への対処が挙げられている。江氏の力量は未知数だが、従来の親中的政策を見直すことは間違いなく、反中路線を鮮明にする与党民進党の政策とどのように差別化を図っていくのかが注目されている。
韓国では新型コロナウイルス感染者が急増し、文大統領が批判にさらされ、特に中国からの入国禁止措置を迅速に実行しなかったと非難されている。ただし急増は韓国の検査能力の高さ、言論の自由、民主的な責任説明の原則という要因があり、文大統領も適切な対策を講じていると擁護する見方も示されている。3月14日現在の感染者数は計8086人で前日から107人増と報じられている。
北朝鮮の孤立が新型コロナウイルスに対するバッファーになるかもしれないとメディアが報じる。ただし流行が始まれば、医療体制が劣る北朝鮮にとって悲惨な結果になると懸念を表明。北朝鮮の生命線である中国との貿易断絶も問題だと指摘する。その一方で、治安態勢が万全な金体制の崩壊は考えられないとし、また新型コロナウイルスのために国際社会の関心が核計画から離れているとコメントする。
東南アジア関係では、メディアは新型コロナウイルスが中国を中心に広く東南アジアに広がっていると述べ、保健体制が整備されている富裕国とそうでない国との間の対応の差を指摘。後者について検査体制の後れや中国に対する政治的、経済的配慮による対策の遅れに懸念を表明する。中国が中国人の入国禁止措置を打ち出した国に対していじめや脅しをかけていることも言及、国際的評価を落としている中国には、こうした行為は通用しなくなっていると批判する。
インドと米国の間で関税合戦が繰り返されるなか、トランプ大統領がインドを初訪問した。米印貿易摩擦は米中貿易戦争と同様の背景が指摘されており、解消は容易ではないとみられ、今回のトランプ訪印でも解決の端緒は見付けられなかった。ただしトランプ大統領は、訪印をインドとの安保関係の強化と米軍事装備品の対印輸出増に結びつけ、モディ首相も米国との貿易摩擦の米中レベルまでの過熱回避に成功し、今回のトランプ訪印は両者にとって満足できる結果となったと言える。