中国にとってウクライナ戦争は一石二鳥、三鳥の意味を持っているとメディアが論じる。ウクライナが台湾有事のロールモデルとなり、米欧日の反応を観察できること、ウクライナ戦争によって米国とその同盟国を含む西側諸国と潜在的脅威のロシアがともに疲弊すること、ロシアが弱体化すればその資源、とりわけエネルギーの供給源としての活用が可能となること、そしてロシアが中国の従順な衛星国となる可能性があるなど中国が手に入れられる漁夫の利は甚大である。従属国となったロシアは第2の北朝鮮のような存在となる可能性がある。
米国は台湾関係でウクライナ危機から教訓を学ぶべきだとメディアが主張する。米国と台湾がウクライナ軍の善戦ぶりから学べる軍事、経済上の教訓をいくつか列挙し、同時に中国指導者は西側の迅速、徹底した経済制裁や軍事的支援を目の当たりにして警戒感を高めているだろうと指摘する。台湾に対して兵役義務の延長や予備兵の強化、米国に対して軍の再配置を求め、中国のグレーゾーン活動への対応や対中経済制裁の具体策についても考えておくべきだとし、持続的な外交努力の重要性を挙げて、真の成功は戦争を防げるかどうかで測られると強調する。
韓国で新大統領が選出された。メディアはまず政治への信頼回復が重要だと主張する。外交安保上の課題として、ウクライナ危機によって地政学上の問題が緊急性を帯び、米欧日との関係強化が欠かせなくなり、経済面での中国依存の軽減と東南アジアや南アジアとの緊密な関係構築も必要になると指摘する。国内問題として労働市場改革の継続、個人攻撃や党派的扇動の停止を訴える。
3月4日に北朝鮮が打ち上げたミサイルは大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17号」ではないのではないかとの疑問が提起されている。メディアは、実際はそれ以前の火星15号の改良版だったとの専門家の見方を伝える。ただし3月4日のミサイルは、火星15号が達成した高度を1000マイル以上も上回っていると指摘し、北朝鮮のミサイル技術が大きな進歩を遂げていると警戒感を示す。
東南アジアのタイでは、ウクライナ危機に伴う原油価格の急騰を受けてインフレ率が急上昇している。そうしたなか、中央銀行はパンデミックに揺れる景気対策として政策金利の翌日物レポ金利を15回連続で過去最低の0.5%で据え置いた。経済成長率の見通しは今年も来年も引き下げられており、やむを得ない判断と思われる。
インドの輸入全体占める石油製品の割合は4分の1を超えており、原油価格の高騰は経済に大きな打撃を与えている。他方、安価なロシア産の原油輸入は地理的事情もあり全体の1%程度に止まっており、今後急増させたいと考えているが、決済方法の問題があい路となっている。ロシアのラブロフ外相が3月末に訪印し、この問題を含めインド、ロシア間の貿易拡大に向けて協議が始まり、決済方法としてはSWIFTに代わるロシアのSPFSの利用などが検討されている。今後の印ロ経済関係の動きについて目が離せなくなった。