「あなたは5年後にどんな仕事をしているでしょうか?」 浅野 義輝さん

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5年前の自分にこの質問をしたら、おそらく「えっ?」と絶句してしまったでしょう。小中学生なら5年後に何年生になっているかは想像が付きますが、大人になってから5年後の自分を考えることはやさしいことではありません。5年前の私は海外で働き始めてまだ年数がそれほど経っていない頃でしたので、先のことなど考える余裕などなかったでしょう。しかし、5年後の現在、この質問について考える余裕が出てきたように思えます。

さて、今回のSTEP 4で答えた「5年後の自分」を実現するにはどんな要素が関係するかを考えてみました。これらの要素を適切に考慮すればきっと実現するのではないかと思うのです。

まず「自分ではコントロールできない」要素があります。第一は「年齢」とそれに伴う「健康状態」。もちろん、健康状態の良し悪しを年齢のせいだけにはできませんが、私のように不養生な人間は5年後の健康に不安があるのは確かです。今からでも遅くはないのでこの要素をコントロール可能にすることが重要でしょう。第二は「家族」。結婚していれば5年の間に子供が生まれるかもしれませんし、子供がいれば入学・卒業など大きなイベントを迎えるでしょう。これはある程度予測可能ですが拒否できないという意味ではコントロール不能です。いかに的確に予測するかが鍵となるでしょう。そして第三は「社会環境の変化」。私たちの生活を取り巻く政治、法律、経済など無数にあって完全に予測不可能なので、臨機応変に対処するより他に方法はありません。(ただし、対処法は以下に述べる要素が関係するでしょう。)

これらに対して「自分でコントロールできる要素」があります。ある意味、これは上に述べた要素への対処法だとも言えます。第一は「目標の設定」。今回のSTEPでは1年ごとの目標を立てるようになっていますが、目標を細かく分けて「里程標(milestone)」を設定すれば、上記要素の変化に対処することもできるようになるでしょう。また、それぞれの里程に到達したことで達成感が得られます。第二は「スキルの取得」。当初設定した目標に向けて今の自分にはないスキルを取得していくことはもちろんのこと、予測していなかった状況に対処するために目標に直接関連しないスキルを掘り起こしたり、改めて取得する必要があるかもしれません。私の場合、翻訳関連の資格を取得することを目標に含めましたが、マニュアルの書き起こしのスキルを取得して、翻訳以外の仕事にも対応することを考慮しました。第三は「やる気の持続」。これは後にも先にも自分でコントロールするしかありません。もちろん、目標の達成やスキルの取得には家族などの理解が必須です。仕事の傍ら、時間を取っての勉強は特にそうでしょう。また、5年後には大学院を修了しているはずですが、修了後はスキル取得の機会が減るなどで難しいかもしれません。ただし私はアメリカ翻訳者協会に属しており、Continuing Educationを3年ごとに報告しないと認定資格を維持できないので、修了後もスキル取得の努力を続けることでしょう。

以上、「5年後の自分」を実現するための要素を考えてみましたが、自分ではコントロールできないと思われる要素でもコントロールできる要素に変えることができたり、予測・対処できることがわかりました。5年後の自分に向けての目標を設定した限りは、上記の要素と上手に付き合いながら実現に向かって進んでいこうと思います。

浅野 義輝
第3専攻(技術翻訳)1年次で奮闘中。年齢は東京タワーよりちょっと先輩。翻訳の経歴は長いのですが、奥の深いこの世界ではまだまだ「あまちゃん」だと感じます。

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「シートの作成中に感じたこと」 深川 恵さん

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第1回に引き続き、キャリアアクセスシートを完成させていった。第2回は、「キャリアビジョンを見直す」という主旨のものであったが、今回も分析中さまざまなことを改めて考えさせられた。

私はもう何年も複数の領域の仕事を掛け持ちしている。細かく分けると、「翻訳」「翻訳チェック」「家庭教師」「塾講師」という4つの仕事をずっと続けている。そのため、仕事の内容に対する満足度も個々に違っている。これまで漠然とそれらに順位をつけていたが、シートを完成させるにあたり、この4つの仕事をどう思っているのか考えていくことになった。5年、10年後の自分の未来を考え、仕事の優先順位をつけていくことは大切であり、「いつか仕事の種類を絞りたい」と日々考えていたものの、絶えずバタバタしていて、なかなか実現させることができていなかった。今回、自分と向き合う機会を得られて本当に良かったとつくづく感じた。さて、実際過去を振り返ってみて、「自分が何に満足してきたか」を分析していった。長年続けてきた仕事であるだけに、仕事内容はどれもそれなりに気に入っているが、特に満足しているのは「文芸書の共訳」「家庭教師」の仕事である。どちらも、仕事を通していろいろな知識やスキルを吸収することができ、本当に奥の深い仕事だと思っている。また、こちらも共通して言えることだが、ベースとなっている状態に対しどう働きかけるかで最終的に出来上がる状態が異なり、自分の個性が反映されることも楽しい。現在までにかなりの満足感を得ることができている。

だが、いくら自分の将来のことであると言っても、自分の気持ちのことだけ考えていくべきでもないと思う。確かに「やっていて自分がどれだけ満足できるか」ということも大切だが、「顧客の満足度」ということも今後の仕事を選ぶ大きな指標であるはずである。シートの質問にはそうしたことを問いかける項目もあった。そこで私自身、自分が手がけてきて一番満足度の高かった職種は何か振り返っていった。最も該当しているのは、正直に言えば、家庭教師の仕事である。これまで、指導してきた生徒の合格後、顧客である多くのご父兄からじかに感謝の言葉を伝えられた。生徒自身の嬉しそうな顔を見ても、やはり感動を覚える。その度に、仕事に対する高い満足感が得られた。シートの分析を通して、この仕事も続けていきたいと思っていることがはっきりとわかった。

また、「最近の社会的トレンドで何に興味があるか」という問いもあった。最も答えを出すのに時間がかかった問いである。答えを見つけるために、キャリア以外にも日常生活全般について振り返っていった。かねてから関心を抱いていて、大学院の修了作品のテーマでもある「健康関連」というテーマがまず浮かんできた。その後は、大学入試の方式や英語教育について大きな変化があったことを思い出した。そこで、「教育問題」を関心領域として挙げた。あとは、「消費税」などの税金の問題である。日常生活に直結していることなので今後の動向が気になっている。

今回のシートでは、前回記載した内容も含めて自己分析をし、「私のしたい仕事」を描く形式になっている。上記のような分析を行い、自分は「翻訳」「家庭教師」という2つの仕事を中心にしたいという結論に達した。2つの仕事を同時に行うことは実際に可能だと考えている(そもそも、片方だけに絞って生活していける自信もない)。ただし、どちらも現在のままではまだ土台が完成していないと感じている。スキル、時間の使い方、人脈など、改善していくべき点は山ほどある。今後のシートを通して、自分の課題を整理していき、最善の解決策を見つけていきたいと思っている。

深川 恵(ふかがわ めぐみ)
中央大学大学院卒。専攻は教育系心理学。現在は大手個別指導塾TOMASのチーフ講師。特許翻訳関連の仕事も従事し、一般書「Play」(スチュワート・ブラウン著)、「Gluten Free Living」(カレン・ラッセル著)の翻訳も行っている。

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「言語の役割とその使い方のスキルとは?」 小池 堯子さ

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今回のキャリアコンサルStep2に回答を送った理由の一つは、自分がなぜ、今、翻訳の勉強をしつつ、翻訳の業務に携わっているのかを私なりに明確にして、はたしてこの選択が自分にとってプラスになっているのかどうかを確認したかったからです。

 Step2-1で、自分がこれまで関わってきた仕事を列記すること、それは取りも直さず、自分の生きてきた足跡を見直すことにもなりました。また、これまでの仕事の中で何をしていた時の自分が一番ハッピーだったのか、なぜハッピーだったのかを分析する作業を通して、追い求めてきたもののあり方を考えさせられました。質問では「満足度」という言葉でその評価を表現していますが、考えてみれば、一つ一つの仕事はそれぞれに大変なことや困難なことがあり、その都度ストレスを感じたり不満を感じたりしていました。ただ、そうした過程そのものを通して、結果的に自分が幸せだったのか、或いは過去の想いとして、自分の人生にとってどんな時期だったのかを考えながら評価を下しました。 私はこれまで、ほとんど一貫して「言葉」に関わる仕事に携わってきました。原点は単純に本を読むことが好きだったからなのですが、しかしそれを仕事として選んできたのは、「言葉」が私にとって自己を表現しやすい、最も使いやすいツールだったからだと言えます。今回のアンケートでは、そのツールを使う仕事になぜ満足感があったのか、という問いがあり、そこでさらに一歩踏み込んだ分析をすることになりました。その分析の過程で気づいたことに「言葉」の役割は何かということがありました。言語という道具は自己表現であると同時に、それを他に伝える、という重い役目も担っています。その認識が明らかになってきたのが、step2-2への回答でした。

 Step2-2では、これまでの自分の経験ではなく、これからの自分という視点からの問いかけで、では、本来はどんな仕事をしたいのか、それはなぜなのかという問いかけでした。 そこで私が考えたのが、step2-1で回答した「これまでの仕事への満足度、なぜあなたはその仕事に満足を感じたのか、それはなぜなのか」を基にした方向性でした。最も満足度が高かった「自分の興味のある文章表現」がやはりこれからも関わりたい仕事であり、それによって何ができるのか改めて考えたときに、他の人にまたは社会に何ができるのか、という問いかけになりました。その問いかけがさらに「カウンセリングなどの仕事」という、自分の心のどこかでは考えていたけれどもなかなか表面には出てこなかった選択になって表れました。では、カウンセリングと言う仕事で何にどうやって貢献できるのか。過去の経験、特にアメリカの高校生など若い世代に日本語を教えてきた経験から学んだことは、教えると言うのは単なる知識の伝達ではなく、教える側の人格や人生への視点にも深く関わってくる、ということでした。それが次の選択「仕事をすることによって自分にも学ぶことのできるもの」という答えに発展していきました。なぜなら、自分が学び自分の中の容量を高めないことには他の人に与えることのできる経験の許容量が小さいのではないか、と考えたからです。

Step2-3「興味ある社会的トレンド」では、では自分が関わりたいと思っている他者、社会とは自分にとってどんなものなのかを分析する問いかけでした。いくつか私自身が関心を持っている事柄を列記し、なぜそうした社会事象に興味があるのか答えていくうちに気づいたのが、結局のところ根っこにある想いは一つで、人の想いをどう理解し、他者に何をどう伝えていくのか、ということでした。そこで、グルリと一回りして、戻ってきた原点が言語の役割、その言葉を使いこなせる自分自身のスキルの向上ということです。 Step2のまとめで「自分らしさ、自分の売り」「仕事に求めるもの」「社会的役割」に関して、ほぼ自分の求める方向がまとまってきたのを感じました。自分という人間の特徴と限界、その認識の中でどんな仕事をやりたいか、そしてその仕事を通して社会に何ができるのか、結局、何を求めて社会とかかわり、それが自分の生きがいというか生き方の指針になっていくのか、大きく言えば人生観の再確認ということです。

私たちは2013年という21世紀の始まりの時代を生きています。社会との関わりとは現在の事象との関わりです。その中で自分が何を考えどう生きていくか、そして自分に何ができるのか、何のために何がしたいのか、そうした根本の問いかけがこのまとめの回答でさらに拡大していくのですが、同時にはっきりと彼方に見えてくるものがあるように思いました。その見えてきたものを言葉にすると、すなわちそれが「My Success Career 私のしたい仕事は」という最後の問いかけに対する答えです。言葉を使う翻訳者として何ができるのか、何がしたいのか、或いは翻訳を超えて自分に何ができるのか、何を目指したいのか、それらの問いかけに対する第一歩がここにあるように思います。

小池 堯子(こいけ ぎょうこ)
バベル翻訳大学院在校生。現在修了作品の英訳チェックと編集、英文の作成作業に取り組んでいる。3年前にアメリカから岡山へ移住。現在アメリカ人の夫と田舎暮らし。雑誌編集者、レストラン経営、日本語教師を経て、現在編集、翻訳業に携わっている。

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「キャリアビジョン作成過程の独り言」  関口 佳子さん

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年齢のことは、あまりいうべきではないかもしれませんが、私はこの秋の誕生日で55歳になります。私たちの父親の世代なら、ちょうど定年を迎える年齢です。だからでしょうか、このキャリアコンサルの設問に回答してみるまで、あまりこれからのキャリアのことを考えてみることはありませんでした。とにかく、いつか引退する時が来るまで今までの続きの仕事を無難に続けていこうという考え方であったと思います。

実のところ、普段の生活では日々舞い込んでくる短納期の仕事などに追われることもあり、このような長期的なビジョンに思いをめぐらせることはなかなかできません。メールを目にして回答をはじめたときも、なんとなく途中でめんどうになって中断してしまうのではないかな、などと思っていました。ところが、「自分が輝いていたのはどういうときか」という設問から入ったのがよかったのでしょうか、気が付いてみると、キャリアコンサルに回答するのが楽しくて仕方ないという気持ちになっていたのでした。

こうして回答をすすめていくうちに、自分でも日頃気づかなかった、ある1つのことがはっきりとしてきました。それは、私が仕事の上でまだ何か新しいことにチャレンジしたがっているようだ、ということでした。もちろん、フリーランス翻訳者という今の仕事は自分にとって非常に大切なものであり、非常に満足しています。しかし、設問に答えていくうちに、10年ほど前に会社勤めを辞めたときの心境などを思い出し、この新しい仕事にチャレンジしていたときの楽しさが記憶の中によみがえってきました。回答の中にも、ずいぶん「チャレンジ」という言葉を使うようになっていきます。

そして自分なりに思ったことは、たとえばこれからの5年、10年という長期的な人生計画を考えたとき、「引退まで無難に」というような消極的な姿勢はやめよう、ということでした。やはり、私が生き生きと仕事を続けていくためには、何か新しい計画を立て続けることが必要なようです。ただ、新しいことにチャレンジといっても、さすがにこれから音大に入りなおして音楽家への道を進むというようなわけにはいかないだろうな、とは思いました。

仕事の話からは脱線になりますが、音楽は私の人生のもう1つの重要なテーマになっています。30代のころにはMIDI音源を使った演奏に没頭し、とある地方自治体の教育委員会の人から、私の作った演奏データをコンピュータ音楽のサンプルとして学校の授業に使いたいという打診をいただいたこともあります。数年前には一念発起してフルートとジャズ理論を習い始め、簡単なアドリブ演奏ならば人前で披露できるようにもなりました。

  しかし、そういったことはあくまでも人生を豊かにするための趣味として、アマチュアだからこそ続けていけるのであって、音楽のプロとして食べていくのは大変なことなのだ、ということくらいは私にも理解できます。

さて、それでは何が自分にとって新しいチャレンジなのだろうかと考えてみると、可能性は意外にたくさんありそうです。たとえば、請け負う翻訳の分野を広げて新しい分野にチャレンジすることもできるでしょう。あるいはIT翻訳者という立場からマニュアルライティングやテクニカルコミュニケーションの分野にかかわってみる、などということも面白いかもしれません。せっかくジャズ理論などを学んだので、翻訳という仕事の範囲内で音楽の分野に挑戦してみるのもいいかもしれません。長時間座ってコンピュータの画面を見ながらキーボードをタイプし続けるのが体力的にきつくなってきたら、後進を育てるようなビジネスを考えてもいいかもしれません。

 「自分って、意外といろいろな可能性を持っているじゃない」
これが、回答を終えたときの感想でした。そして、なんだかとてもスッキリしました。
時間はある程度かかってしまいましたが、こうして将来のことをじっくり考えて人生の棚卸をしたことはよい経験でした。私の長期ビジョンは、もう「引退まで無難に過ごす」ではなくなりました。年齢がいくつになっても、将来の夢が広がっていくのはうれしいものです。

関口 佳子
大学では日本思想史を専攻。マスコミ就職を志すも希望する職種に就けず、20代では通信社の校閲部、新聞社の記事データベース編集部などを転々とする。30代、パソコン通信・インターネットサービスプロバイダに就職し、カスタマーサポート業務に専念。海外の顧客対応のため、会社負担で英語を学習。40代、外資系のIT企業に転職し、IT翻訳という仕事を知る。2002年、この仕事を極めてみたくなり独立。仕事をつづけながら、バベル翻訳大学院でテクニカル翻訳を専攻、2010年修了。2013年、フリーランス翻訳者として11年目を迎える。

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「かけがえのない生命・健康に貢献する医療通訳を目指して」 今井 里子さん

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それはロサンゼルスのホテルで友人の迎えを待っていた時のことでした。
複数の救急隊員がストレッチャーにアジア系の女性を乗せて搬送するのがロビーの向こうに見えました。配偶者らしき初老の男性がフロント係の問いにも答えられず慌てている様子に、いたたまれずソファから腰を上げた時、救急隊員の一人から”Are you Japanese? Yes, you are, right?”と呼び止められました。
救急車に連れていかれ、客室で倒れた女性について意識があるから質問を通訳して欲しいと言われました。彼女に名前、年齢、既往症、服薬している薬など尋ねているとどうやら糖尿病による低血糖を起こしたことが分かりました。当時、PR代理店で外資系製薬企業を顧客に成人病の検査啓発活動に携わっていたことでdiabetes, insulin shot, dialysis,など関連用語に知識があったことが幸運でした。また一分一秒を争うような状態ではなかったことも、適切な言葉を探す余裕を持てたのではないかと思います。英語が話せる家族が到着するまでフロント係、救急隊、配偶者との間を取り持ったところ、家族だけでなくホテルのフロントからも感謝された上にバーラウンジの一杯無料券を頂いてしまいました。

留学を決めたのは、これからの時代英語は必須だと思った20歳の時。
そして10年経って英語は話せるだけではダメ、何か得意分野を持たなければ、そう決意した出来事でした。

製薬会社勤務時には消化器内科、心療内科と栄養学、PR代理店に移り成人病全般と頭痛、外資系化粧品メーカーでは毛髪、化学薬品とその成分についてと日英で学ぶことができました。仕事と自身の関心事がマッチしていたので非常に充実していたように思います。目標は人気ドラマ「ER」を字幕なしで観られるようになる!と思っていましたが、出演されている俳優のインタビュー記事で「疾患名や部位の名称は外国語みたいだった」というコメントを見てあっけなく頓挫…ネイティブの人たちにとっても医療用語は未知の世界とは、医学部に進んだ同じ留学生たちを心底尊敬しました。それでもこの経験から言葉が分からなくて不安な人たちのお手伝いをしたい、特に生命や健康に関わる現場では人々の不安も大きいのではとの思いは残り、専門家と対等は無理でも疾患名や栄養素、臓器名称や化合物(薬品名)等を覚えていくこうと頭を切り替え、単語帳を作りました。最初は調べた単語をそのまま記載していましたが、今は単語帳をジャンル別に作ることで整理をしています。

さらに従来の辞書では載ってないような小さな骨や用語を理解し、少しでも語彙力を増やそう、バベルでの専攻を「医療翻訳」に変更することで、ステッドマン医学大辞典を購入しました。製薬会社であればオフィスに必ずある書籍の一冊ですが、まさか個人で購入するとは思いませんでした。課題に取り組むにあたり、側に置いておかねばならない辞書がまた増えてしまいました。
まずは馴染のある分野から取り組むべきなのか、人体模型の頭部から始めるべきなのか、元素周期表や栄養素動態から始めるべきなのか効率的な学習方法があったら、同専攻・同分野を学んでいる皆様からご意見を頂けるのではと考え今回スカラシップ業務の一環として執筆、悩みを公示する次第です。他にも役立つ書籍や辞書があればぜひ情報を共有したいと思っています。

この大辞典が蛍光マーカーで埋め尽くされる頃、使い込んだ証しに修了証が届けられることを祈る今日この頃です。

今井 里子(いまい さとこ)
1970生まれ。愛知県在住。前職は塾運営会社社員として勤務し、教室では算数・数学を担当。現在は、パソコン教室を運営の傍ら、同教室内で、小学生から成人までを対象とした個別学習教室を併設して実践中。

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「自分の経験に、無駄なものはない」 伊藤 靖史さん

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今回の、STEP3に回答させて頂く中で、私は自分自身、つくづく、人生に無駄な経験は一つとしてないな、と痛感致しました。今回のSTEP3では、私は、あらゆる項目が早急に習得しなければならない緊急課題である、と実感致しました。しかしながら、対人対応能力だけは、それなりのプラスの自己評価をつけられました。これには、正直驚いています。実は、私は、学生時代を終えて社会に出た時、最初に静岡県内にある大手進学塾運営会社に入社し、数学担当教師して勤務致しましたが、その時の生徒さん達からは「継続して受けたくない」というアンケート評価結果を受け、それを改善できないまま、退職することとなった経験があるからです。

塾教師とはある種のカリスマ性とユーモアや遊び心を備えた上での教科指導的専門性を有する必要性に加え、人気稼業であり、1教室全体(40人から60人)のうちの約80%、最低でも60%は親派にしていなければなりません。そのために、先の会社では出社と同時に社員や上役を生徒に見立て、勤務中、いかに彼らを仕事で満足させるか、を考え、常に問題を見出して解決し、さらには、嫌味にならない程度にその成果を皆に知らしめることを継続するよう要求されます。これが、つまり様々な生徒の「ご機嫌」を取り、言われなくても「希望」に応え、ひいては実際の教室で親派を得て、親派集団に育て上げる上での訓練になるのだそうです。しかし、私には、この「社員教育」は単なる“ゴマすり行為の練習に過ぎない”と映り、心底受け入れられず、自分の教科指導力向上にのみ、重点を置いてしまいました。自分にとってこれが必要だ、と自分が信じてきたことしか行動に移せなかったのです。

私は現在43歳で、一人でパソコン教室及び小学生から社会人までを対象とした学習室を運営しております。現在では、「問題を自ら見出し、解決策も自分で導き、そして実行し成果を知らしめる」という能力の重要性は、痛いほど理解できます。その大手進学塾運営会社に務めた頃の思い出には良いものは何一つありませんが、今回のSTEP3に回答させて頂く際に、その会社の「社員教育」について、「思えば、こうして自分一人で教室を運営してみて、あの大手進学塾の社員教育はそれなりの意味があった」と気づくに至りました。

現在、私は、個々人の現状と短期目標を聞き出し、それぞれに見合った援助方法と進行計画を概略として各生徒さんにお伝えし、共有した上で進める、という形を取っております。しかし、成人の方であれ、どなたも自分の壁は越えたいが不必要な苦労はしたくないのが本音です。加えて、レッスン回数とレッスン料を少なくしたいのです。真面目路線だけでは、“さっさと教えてよ。考えさせて悩ませて、回数稼いでいるんじゃないの?”言わんばかりのメッセージが来てしまうのです。そこで、個々にスモール・トークをし、レッスンの合間に苦労されたことを聞き出してその努力を大いに認め、お帰り時には本日得たことの確認に加えてとにかく「嘘にならない程度に」評価できるところをレッスン中に「必死に」探して帰り際に意地でも褒めちぎる! すると、“パソコン操作なんて、簡単に教えてくれるものでしょ? どうしてさっさと教えないのよ”と内心思っていたかもしれない生徒さんも、次も自分でやってみようかな、と思って下さいます。その結果、生徒であるご年配の奥様が「年だからすぐ忘れちゃう」と逃げ口上を述べても、「ここ、ご自身で理由づけして二度と忘れないようにしましょうよ! 私がお伝えしてしまっては忘れてしまいますよ!」と多少キツイ口調でお伝えしても、頑張って壁を乗り越えて下さるし、キツく当たった私も嫌われることなく、継続して頂けるのです。“ゴマすりの練習”に映り、受け入れ難かった、先の大手進学塾運営会社の「社員教育」が、今では気に入ってもらうための方便を適宜取り入れていることに、今回のSTEP3を通して気づかせて頂いた、と思っております。

STEP3では、自分の弱点ばかりが目についたのですが、その中で、対人関係能力だけは、それなりのプラスの自己評価ができました。それは、上記の静岡県内に本社を持つ大手進学塾運営会社での経験が基礎にあったように、今更ながら気づいたのです。自分自身にとっては決して「良い思い出」ではない経験であったにもかかわらず、その価値に改めて気づかせて頂いたことに、驚きと共に、感謝の思いをお伝えさせて頂きます。この度は、貴重な気づきを得させて頂き、誠にありがとうございました。また一つ、前向きに日々の業務に邁進できるよう、頑張ります。では、失礼致します。

伊藤 靖史
1970生まれ。愛知県在住。前職は塾運営会社社員として勤務し、教室では算数・数学を担当。現在は、パソコン教室を運営の傍ら、同教室内で、小学生から成人までを対象とした個別学習教室を併設して実践中。

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