改訂版 第6回 「翻訳で何をしたいか」 

第6回 5年後の未来履歴書を描く

あたかも、そうなっているかのように5年後の履歴書を書こう!! さて、いよいよこれまでの総まとめSTEP4、5年後の未来履歴書作成 Write your future resumeです。これまで描いてきたキャリアビジョンをあたかも現実であるかのように描いていきます。 1.5年後のあなたの‘ 売り ’は?
2.5年後の履歴書に書くあなたの獲得スキル、資格は?
3.5年後の履歴書に書くあなたの職歴は? 今、この時点でこんな注意を言う必要もないのですが、念のため。 日本的考え方である、目標、ゴールは今を起点に積み上げていくものという考えをまだお持ちであればこの時点でこれを払拭してください。重要なことは、SuccessをDefineする場であるキャリアビジョンはできるかぎり大きく、Vividに描き、そのうえで、そのビジョンと今との乖離を埋めていく、これが基本です。 1.の ‘売り’ を描くまえに、ゴール、すなわち、キャリアビジョンが十分に ‘自分の売り’ を描くに足るほど大きく描けているかを確認しましょう。 そのポイントのひとつは、前々回で説明したように、目標を描く時に、抽象の階段を上り下りしながら、その抽象度を上げ、揺るぎないゴールにしていくことです。 その時の視点のひとつはTrans-personalな視点を獲得すること。これもすでにお話しているように、小さなエゴを離れ、利他的視点を獲得すること。 こうして描かれたゴールは揺るぎないものと信じます。
そうして考えましょう、あなたの ‘売り’は? あなたのアピールポイントは?
これが、あなたのefficacy(自信)を裏付けてくれます。
また、その社会的価値( Social role )が確固としていれば、その対価としての報酬は必ずそれに見合うかたちでついてくると、決めましょう。 また、世に言う‘引き寄せの法則’は何かが幸運を引き寄せてくるのではなく、ご自身が描くゴールが大きく、鮮明であればあるほど目の前に現れる光景が違って見えてくるということを言っているわけです。すなわち、その大きな、強烈なゴールが自分の中に鮮明に描かれてくると、これまで見ていたと同じ光景であってもそこに新しい何かが出現したかのように、すなわち、あたかもそれを引き寄せたかのように見えるだけなのです。すでに前からそこに有ったのに!! 2.次に、その ‘売り’ を裏付けする、資格、スキルをリストアップしましょう。 その時のポイントのひとつは、これも以前申し上げたことですが、その分野、専門を徹底して絞り込むことです。すなわち、自分だけのユニークな専門分野を確立することです。これは、言わば、戦略的縦展開。そのうえで周辺の分野も専門とする領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的横展開。すなわち、翻訳を例にとれば、その特化した翻訳分野での業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、専門に関連した翻訳プロジェクトを率いること。この縦横のクロス戦略を実現できれば、安定収入は約束されるでしょう。 2つめのポイントは、以下のようなLimited Beliefを解き放つことです。
・私の才能は限られている。
・私には十分な時間がない
・私は一流の翻訳者にはなれない
・一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ
・私はお金に恵まれていない。
・私は運がない人間だ
 等々
自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。
自分に不都合に決めている自分を解放しましょう。 3.さて、ここまでくれば、次のキャリア履歴書は簡単かもしれません。 望む仕事歴を好きに書いてみましょう。
あたかも実現したかのように。 さあ、こうして描いた5年後の未来履歴書を、5年後の自分が確認している姿を想像してみましょう。
その時の現実と寸分違わない履歴書が出来上がっていることに気づくでしょう。 そう決めましょう。 ちなみに、この原理原則は個人、すなわち自然人でも、会社組織、法人でも同様です。
最後に、少し観点を変えてこんな視点をバベルグループを例にご紹介します。 それは、
1.MISSION   使命
2.GOAL    これを達成するためのゴール
3.OBJECTIVE そして、ゴールを実現するための具体的な施策
という考え方です、米国のバベル翻訳専門職大学院は以下のように1.2.3を掲げています。
https://www.babel.edu/mission/ 同様に、大学院事業を含む、42年の歴史を持つバベルグループは以下のようなMISSION、GOAL、OBJECTIVEを50年、100年に向けて掲げています。 バベルグループの使命
MISSION
智の宝庫である地球【 Global Knowledge Garden】 において、
翻訳を通じて智の共有を実現し、
人々に気づきをもたらし、
共に喜びを分かち合える環境を創ることです。
GOAL
そのために、
翻訳高等教育のプロフェショナリズムを確立し、
翻訳会社のプロフェショナリズムを確立し、
そして、
翻訳者のプロフェショナリズムを確立します。
OBJECTIVE
そして、これを実現するのがバベルグループの各事業です。
http://www.babel.co.jp/ ――――――――――――――――――――――――――――――――

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan

―――――――――――――――――――――――――――――――― それでは、STEP4の「5年後の未来履歴書作成」 は、以下からお願いします。
https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc4.html このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3,4と順にこなしてください。 今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」を試してみませんか。この未来の履歴書をいかにVIVIDに描けるか、これがあなたの未来を決める、そんな‘不思議’な体験をするでしょう。

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻165号より

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改訂版 第5回 「翻訳で何をしたいか」 

第5回 あなたのスキルの棚卸をしよう

まず、My Success Career – 私のしたい仕事、キャリアビジョンを大きく描けたか、そこから確認しましょう! 前回は「Define your own success」として,あなた自身のUniquenessに基づきMy Success Career – 私のしたい仕事を定義しました。みなさんはどんなキャリアビジョンを描きましたか。 そこでですが、次のステップとなるスキルの棚卸しに入る前に、あなたのキャリアビジョンが十分大きなものとして描けたか見直してみましょう。 そのビジョンが今のキャリアの延長線上に容易に想像つくものであれば、今一度、描き直してみましょう。年商を入れても、社会的評価を入れても、抽象表現を加えてでも、どんな形式でもよいので思いっきり大きなビジョンを描いてください。 思い出してください。前回、翻訳者として自立する時に、その分野を徹底的に絞り込む必要性を説明しました。と同時に申し上げたのは、その専門を軸に、翻訳スキルの横展開をすることです。すなわち、その専門分野で翻訳をするだけでなく、講演、レクチャーができるようになる、さらにはその分野のライターとなる。もちろん、その分野の大きな翻訳プロジェクトが発生したら、そのプロジェクトマネージャーとして仕事を仕切る。さらにそれを個人起業から例えば株式会社組織へと展開していくそんな、幅と厚みを持ったキャリアを創ることを提案いたしました。 あなたがあなたの限界を決めて、小さく収まってしまったら、それはキャリアビジョンとしては不十分です。あなたのLimited belief(自分の限界を自分で決める)がそのビジョンを大きく描くことを妨げていないか、再度、自身に問いかけてみてください。 私の才能は限られている。
私はお金に恵まれていない。
私は一流の翻訳者にはなれない。
一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ。
私は運がない人間だ。
私には十分な時間がない。
等々 自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。
自分に不都合に決めている自分を解放してみましょう。
そして、大きな成功をイメージしてみましょう。
年齢なんて関係ありません。 また、周りには親、親戚をはじめ多くのDream Killerが居ます。そんなこと時間の無駄だから、自分の才能を過信するな、などなど、これらの騒音からご自身を解放してください。 そして、この大きなビジョンがあってこそ、次のステップ、自分の棚卸しをする意味があります。 では、あなたのスキルの棚卸しをどのようにするか、説明して行きましょう。 初めに、みなさんが翻訳関連でキャリアビジョンをお持ちであるということを前提に、翻訳のキャリアを創り出すに必要な能力を以下の5つ、更にそれを成功に導く態度能力の合計6つに分けて考えてみましょう。これら6つを、資格、教育歴、実務経験等の指標を使って棚卸しをしてみます。 ・Language Competence
 これは翻訳、通訳等を職業にする場合は、当然必要な言語関連のスキルです。
 また、それを裏付けする資格、学習歴を考えてみましょう。 ・Cultural Competence
 異文化間の変換をするに必要な彼我の文化を熟知し、その価値を相対化できる心を持っているでしょうか。日頃から、そんな視点で自文化と異文化を知る努力を怠っていませんか。 ・Expert Competence
 翻訳、通訳でも専門分野を極めていくことは必須です。専門分野は日々進化していきます。そうした変化を捉える情報収集を常に行っていますか。 ・IT Competence
 自ら翻訳をする時だけではなく、プロジェクトを率いるような時でも、リサーチの技術、翻訳エディティングの技術、DTPの技術、そして翻訳支援ツールの活用技術、辞書化の技術、いずれもキャリア開発に不可欠な技術です。 ・Managerial Competence
 自立するための経営ノウハウ、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを仕切る際のマネージメント技術。自立を目指すに欠かせません。 *参考に日本翻訳協会が実施する「翻訳プロジェクトマネージャー資格試験」をご覧下さい。    ・Humanic Competence
 仕事をするには、人間関係能力は不可欠、リーダーシップにつながる関係構築能力を経験を積みながら磨いていきましょう。
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  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan

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さて、以上を参考に、まずはみなさんで、STEP3のスキルの棚卸しをしていきましょう。 その上で、現在の自分の強み、弱みを明確に自覚して、その強みを更に強め、弱みを段階的に改善していくことが必要です。しかし、以前にも申し上げましたように、長所伸展、強みを徹底的に強くする、その方が実は成功に結びつくのに近道のようです。 それでは、STEP3のスキルの棚卸し診断は、以下からお願いします。
https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc3.html このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3と順にこなしてください。 今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」を試してみませんか。次の関門は STEP4.( 5年後の未来履歴書作成  Write your future resume)です。未来の履歴書をいかにVIVIDに描けるか、これがあなたの未来を決する、そんな不思議な体験があなたを待っているかもしれません。 楽しみにしてください!! Today is the first day of the rest of your life.

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻164号より

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翻訳者の資格が問われる時代に突入!!

翻訳の国際規格が2015年4月、日本でスタート!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

EU発の翻訳の国際規格、ISO17100が2015年4月に日本でも発行されました。これまでISO(国際標準化機構、本部ジュネーブ)は様々な国際技術規格を世界標準とすべく、規格を策定、世界に普及させようとしてきました。

以下に翻訳関連する規格を列挙しましょう。

  • ・ISO 9001:2008   文書化プロセスと手順に適用される規格。
  • ・ISO 27001:2005   文書化された情報セキュリティマネジメントシステムの構築、導入、運用、監視、維持、改善のための要件を規定する規格。
  • ・EN 15038:2006   欧州標準化委員会によってヨーロッパの翻訳/ローカリゼーション専用に作られた品質規格。
  • ・ISO 13485:2003   ISO 9001を基にした規格で、医療機器と関連サービスの設計、開発、製造、設置に焦点を置いた規格。
  • ・ISO 14971:2007   医療機器の翻訳サービス全体を通してリスク管理のあらゆる側面が考慮されていることを確認するプロセスを提供する規格。(ISO 13485を補完するもの)

その内に、TC(Technical Committee)37という言語、内容及び情報資産の標準化をめざす専門委員会が設置され、その下にはいくつものSC(Sub Committee)が設置されています。この17100もこの中で検討され、ISO17100( Requirements for translation Services)は翻訳の国際規格として昨年誕生しました。

私は日本翻訳協会の一員としてこのISO17100DISの検討プロジェクトに参画してきました。

日本はとかくこのようなルール創りには蚊帳の外に置かれがちですが、我々翻訳者ひとりひとりの課題としても正面から向き合う時が来たように思います。

これが、我々バベルグループが40余年にわたり独自に追求してきた、‘ 翻訳のプロフェショナリズム ’を確立することでもあるからです。

また、私が関わっている日本翻訳協会において一昨年スタートした『JTA公認 翻訳プロジェクト・マネージャー資格試験』についても、このISO17100に準拠し、それを越える(翻訳品質のみならず、ビジネスとしての健全性を含む)資格としてスタートしました。 
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html

この業界で長い方はご承知かと思いますが、ISO9001という品質マネージメント規格は、ローカリゼーション翻訳の世界では、国際規格として採用され、翻訳会社( Translation Service Provider) によってはこの認証を取得して、クライアントにたいする営業のブランド力としていました。しかし、その後、翻訳の業界にはそぐわないとして欧州規格EN15038が創られ、これが次第に浸透するようになりました。そこでISOはこのEN15038をベースとして、ISO17100の開発に踏み切ったという訳です。

このISO17100は、‘翻訳のプロフェショナリズム’の確立という意味でも大事な視点を含んでいます。

まず注目すべきは、このISO17100は翻訳会社のみならず、クライアント、その他のステークホールダーを巻き込んだ規格であるということです。

また、この規格では翻訳者の資格(Qualification of Translators)、そしてチェッカー、リバイザーの資格を明確にしようとしていることです。すなわち、翻訳者を社会にどう認知させるかという視点をベースにもっているということです。

翻訳者の資格(Qualification of Translators)
(1) 翻訳の学位
(2) 翻訳以外の学位+実務経験2年
(3) 実務経験5年
(4) 政府認定の資格を有する
のいずれかが必要と謳っていました。 しかし、最終的には「(4) 政府認定の資格を有する」は訳あって外れました。
また、実務経験何年というのが曲者でどのようにはかるのでしょうか。
また、翻訳プロセスについても
Translate
⇒ Check
⇒ Revise
⇒ Review
⇒ Proofread
⇒ Final Verification
とその品質確保の要求プロセスを規定しています。
*Reviewはオプション

これらの要求項目は、まさに業界とそれを取り巻くクライアント、エンドユーザーが一体と ならないと達成できないことです。翻訳の品質を一定に保つためにはこれらの視点、プロセスが必要であることをクライアントが納得していただけなければならないわけで、それがなければ翻訳業界の発展も見込めないわけです。

私は、2000年、米国に翻訳専門職大学院( Babel University Professional School of Translation)を設立しAccreditationを取得するために、米国教育省が認定している教育品質認証団体、DEAC( Distance Education Accrediting Commission)のメンバー校になるべく交渉をした経験があります。

このAccreditationを取得するプロセスでは、約3年の年月と、1,000ページに及ぶ、Educational StandardsとBusiness Standards遵守の資料の作成が要求されました。
その後、これらの資料に基づき、監査チーム(5名)を米国事務所に迎え、プレゼンテーションをし、査問、監査を受けるわけですが、こうしたルールにどう準拠するかのやり取りは、嫌というほど経験しています。

自分で選択したとは言え、その経験があるがゆえに、既に作られたルールに意図に反して従わざるを得ない無念さを痛感していました。翻訳の教育はこうなんだ、他の学科を教えるのとはこう違うのだといっても、所詮、ヨーロッパ系言語間のより容易な‘翻訳’を‘翻訳’と考えている彼らには、その意味が通じず、いつも隔靴掻痒の思いがありました。

従って、ルールメーキングの段階からこの種のプロジェクトに関わる必要性を痛切に感じてきました。

ISOに指摘される以前に、私の持論としては‘ 翻訳者は翻訳専門の修士以上の教育プログラムを修めるべき’ と考えています。翻訳は専門と言語力の統合があってこそ可能、すなわち、大学院レベルの教育であってしかるべきと考えています。

ということで、時代は動いています。ISOが一番に指摘しているように、翻訳者は少なくとも翻訳のディグリー、できれば修士号を持ちたいものです。 それこそが、翻訳業界の発展、‘翻訳のプロフェショナリズム’の確立でもあるからです。

以上
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– 副学長から聞く - 翻訳専門職大学院で翻訳キャリアを創る方法

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海外からも参加できるオンライン説明会

◆ 卒業生のキャリアカウンセリングを担当する副学長が、入学及び学習システムからカリキュラム、各種奨学金制度、修了生の活躍、修了後のフォローアップなどを総合的に説明いたします。

◆ 海外在住の方にも参加いただけるように、インターネットweb会議システムのZoomを使って行います。 奮ってご参加ください。Zoomのやさしい使い方ガイドはこちらからお送りします。

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改訂版 第4回 「翻訳で何をしたいか 」

第4回 Define your own success―自分のキャリアビジョンを導き出す

前号では「MY OWN UNIQUENESSを探る」と題して、キャリアサクセス実現シートのPhase 1を完成させました。今回、Phase 2では、そのuniquenessに、仕事の満足度の視点を加味し、肉付けしていきます。ここでは、言わばIdentityを再度考えることになります。

そして、Uniqueness +Satisfaction⇒ Identityを導き出し、更に、その仕事、その キャリアのもつ意味、Missionとその仕事を後押しする外部環境、すなわちTrendを考え、その3つの視点の交わる場となる【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を求めていくことになります。

そこが、言わば、あなたが your own successをDefine、 定義する場となるでしょう。

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan

それでは、Phase 1でUniqueness、‘ 自分の売り ’ を絞り込んだあなたはPhase 2では、それに加え、仕事に対して何を求めるか、その満足度、Satisfactionを考えてみましょう。
お金、名誉、地位、専門性、いや私は自己実現、そんな人もいるでしょう。

ところで、みなさんはマズローの欲求5段階説をご存知でしょうか。

基本的な生理的欲求から、安全(安定性)欲求、愛情(所属 / 社会的)欲求、尊敬(承認)欲求、そして自己実現欲求に至る5段階の欲求をマズローは説いています。

ところで、こんなことをご存知ですか。

マズローは亡くなる間際に、欲求を5段階に分類したけれど、人間の欲求には6段階目があるのではと主張したのです。それはTrans-personal、すなわち個人の利益を越える欲求、利他の欲求が最も高度な欲求ではないかと考えたのです。

さてあなたは、仕事に何を求めているのでしょう。これは必ずしもひとつということではないでしょうから、3つ挙げてその優先順位を%で考えてみましょう。

次に、Missionを考えてみましょう。

Social Roleと言い換えても良いのでしょう。

その仕事が、社会にどんな影響をもたらしているのか。

それを考える手がかりになるのは、前号でお伝えした、「抽象の階段を登る」方法でしょう。

その仕事、キャリアが具体的にもたらす利だけではなく、より抽象度の高いところで、その仕事の恩恵を考えてみましょう。

例えば翻訳の場合、できれば翻訳それ自体より、もう一歩踏み込んでどんな分野の翻訳か、絞り込んだうえで、「抽象の階段を登る」ことにチャレンジしてみましょう。

ご存知のように、Missionは日本語では使命と翻訳されます。その言葉の通り、その選択したことは自分の‘命を使う’に値することなのかを熟考してみましょう。

次に、Trendを考えてみましょう。

もちろん、ここでいうトレンドはfadというような一過性にものを言いません。

事象が移り変わろうとも、変わらぬ大きな潮流とも言えましょうか。

これを考えるには、Mission同様に、前に申し上げた具象から抽象への階段を登っていく必要があるかもしれません。翻訳であれば、その分野を絞り込んで考えてみましょう。

細やかな流行の底流に流れる普遍的流れ。

翻訳においてその分野を選んだのはなぜか、その底流にあるトレンドを考えてみましょう。

さて、以上を参考に、まずはみなさんで、この3つの視点の交点となる

【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を描いてみましょう。

Phase2の診断に進むには、以下のPhase1の記入を終えてから、次に進んでください。

するとページはPhase2に移ります。

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc1.html

Phase 1の解答が未だの方は、今からでも始めてください。

このキャリアサクセス実現シートによるキャリア形成は、ここまでのPhase1とPhase 2が基本となります。従って、このPhase1,2は、一旦すべてを中断してでも、真剣に取り組んでもらいたいステップです。

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻163号より

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改訂版 第3回 「翻訳で何をしたいか 」

第3回 Find your own uniqueness―自分さがしの試み さてこれから、ご一緒にご自身のキャリアサクセス実現シートを作成して行きましょう。 そのプロセスは以下の5つのステップより成ります。今回はその第1ステップです。

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
皆さんはすでに、以下のフレーズをご存知でしょうか。 Find your own uniqueness, define your own success. 米国の教育理念の基本コンセプトを表す言葉です。 個々人の個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は決まります。 長所伸展法、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす,その方が成功への確率が高い、と言われますが、これも同根の考え方です。 更に言えば、have to からwant to 、何々しなければならないからするのではなく、そうしたいからそうする、という発想です。 日本では得てして、右に倣えの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向にあるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価をするそんな傾向には流されないようにしましょう。 生まれながらに持った固有の特性を活かし生ききることが人間としての生きがいでしょう。 「ジョハリの窓」でご存知のように ・自分も他人も知っている自分 ・自分は知っているが他人が知らない自分 ・他人は知っているが自分は知らない自分 ・自分も他人も知らない自分 なかでも、他人は知っているが自分は知らない自分に驚かされることもあるかもしれません。身近な人にでもいいので聞いてみましょう。 また、この診断を詰めていくと、やがて、自分も他人も知らない自分があぶりだせるかもしれません。 どんな仕事を自分の天職と考え、選ぶのか、これも自分のuniquenessを徹底的に追求することから出会うのかもしれません。 いや、逆に、偶然、たまたま天職に出会った、それが意外と真実かもしれません。 日経新聞に「私の履歴書」というコラムがあることはご存知の方も多いかもしれません。日本が誇るべき人物にその履歴を語っていただく記事です。皆様はこの記事の中で最も多く使われるフレーズをご存知でしょうか。それは、「たまたま」、「偶然」といった表現だそうです。このフレーズは深読みすれば「必然的に」と読み替えることができるでしょう。 世の中を動かしている真実は’たまたま’を’必然’に読み替える仕組みかもしれません。 たまたま’翻訳’というキーワードに遭遇するとします。 そうしたら、次には、‘翻訳’とは何かを深く読み込み、なぜ翻訳をしたいのか、これを徹底的に追求して、どんどん抽象化していきましょう。そこで突き当たる何かが、あなたの使命かもしれません。 以下のSTEP1 自己発見シートで、ゼロベースでご自身を振り返って見ましょう。 STEP1. シート これを終えたら、STEP2. Define your own success ご自身のキャリアビジョンを描くことに移ります。 この2つのステップがこのキャリアサクセス実現シートの核となるプロセスです。 なお、次のSTEP2は、次号で解説をいたしますので、解答はお待ちください。 全てステップを終え、全てを書き終えたところで、改めて自己評価を試みましょう。 最後に、今さら、キャリアデザインなんて、と年齢を気にしている人がいたら、こんなことばをお送りしましょう。 Today is the first day of the rest of my life. 物事をはじめるのに、早い、遅いはないはずです。  

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻162号より

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改訂版 第2回 「翻訳で何をしたいか 」

第2回 「抽象のはしごを自在に上り下りし、どこに至る」 先回は翻訳者としてのEfficacyを高める重要性を力説しました。そうは言っても、という方も多いかとは思いますが。ここは、一度過去をふり切って思い切って演じてみましょう。 Efficacy、それは能力の自己評価、これを高く設定したうえで、次回以降の以下のMy Domain( My Success Career) 設定のためのワークをしたいと思います。

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
では、そのEfficacyをどう高めるか、以下の視点で考えて見ましょう。 Efficacyを高める、自己の自己評価をどう高めるか、自己の目標を高いところでどう合理化するか、いまの自分にどう自信をつけるか。 みなさんは「抽象のはしご」をご存知ですか。 抽象のはしごを上がるとは、例えば、動物の犬という概念を例にとるなら、パピオン→洋犬→犬→哺乳類→動物→生物→生命という具合に抽象度を上げていくことを言います。逆に、抽象のはしごを降りるにはその逆をたどればよいことになります。 としてみると、一般的には、文化、文明度が高い人ほど、抽象のはしごの上り下りが自由にできる、すなわち、抽象―具象思考ができると言えるでしょう。 これを、こうした概念操作から、行動に視点を当ててみましょう。 例えば、日常生活を振り返って見ましょう。お掃除をする、料理をする、食事をする、テレビを観る、すべて具体化された‘こと’のエンドレスの連続です。 では仕事ではどうでしょう。計算を入れる、メールを書く、書類を作る、会議をする、これもそんな具体的行為の連続です。 しかし、我々はこうした具体的行為に忙殺され、それが生活すること、それが働くこと、と考えてしまうと、つい、どう生きるか、なんのために働くのかを看過してしまいがちです。 そこで一度、とどまって、抽象のはしごを上がってみましょう。なんのためにお掃除をし、料理をし、食事をし、テレビを観ているのでしょう。また、なんのためにメールを書き、書類を作り、計算を入れている、会議をしているのか、はしごを上がって俯瞰してみましょう。 すると、それらの意味が蘇生し、自分に主体性を取り戻せ、生きているという実感、働くことの意味を実感できるように なるかもしれません。 さらに、皆さんが翻訳の勉強をしている場を考えて見ましょう。原書を読む、訳文を作る、それを提出する、指導を受ける、それを復習する、等々、これも一旦、中断しその抽象のはしごをのぼり、なんのために翻訳学習をしているのか、思いを巡らせて見ましょう。 それは、単に私は絵本の翻訳家になるため、ミステリーの翻訳家になるため、リーガル翻訳者になるため、という抽象化にとどまらず、その更に先の抽象化を考えてみてください。 なんのための翻訳、そもそも翻訳って何、そんな抽象思考を試みるとあらたな気づきに出会えるかもしれません。 もちろん、抽象世界にとどまっていては先に進みません。具体化と抽象化を行き来することで、事象が俯瞰でき、目標により深みが加わり、目標がしっくり自分のものになり、それが、ひいてはEfficacyが高まることになると言えるのではないでしょうか。 翻って、特化型AIから汎用型AIに移行する2030年前後は第4次産業革命と言われるように、ビジネスは新しいパラダイムの時代にはいると言われています。翻訳においても当然、AIを活用した人間主体の考え方、働き方が求められて来るでしょう。 すなわち、‘翻訳で何をする’、翻訳の先に何を想い、翻訳で何を実現しようとするか、です。受け身的に翻訳の仕事を受けるだけでなく、自ら使命とする翻訳のプロジェクトを提案するなど、マイドメインに沿ったオンリーワンの翻訳情報ビジネスを立ち上げてほしいと思います。 汎用型AIが言語の壁を越え発展しようと、それにより自動通訳、自動翻訳の技術が一定程度の成果を上げてきても、‘翻訳で何をするか’、翻訳でどんな課題を設定し、翻訳の原理である‘智の共有’をどの領域で実現し、そこからどんな社会効用を生み出すのか、これこそ人間でなければなしえないことでしょう。 翻訳者たちがそれぞれの使命に目覚め、その課題を発見し、これを翻訳情報ビジネスに発展させ、以って社会貢献する。そして、そのこと自体を人生の楽しみとする、今やそんな翻訳環境を創造していくステージに入ってきたと確信します。 ここが抽象と具象の行き来から到達する次のステージかもしれません。

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻161号より

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改訂版 第1回 「翻訳で何をしたいか 」

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
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  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
  • 今回は、その‘MY DOMAIN’ づくりのワークに入る前の準備のお話しです。 それは、まず、「なぜあなたは翻訳という仕事を選んだのか」という問いから始まります。‘MY DOMAIN’ づくりの前提として、ご自分の翻訳ビジネスへ向かう動機を、今一度、考えてみましょう。そこで考えていただきたいのが‘翻訳者としてのエフィカシー’ということです。 あなたはエフィカシー(efficacy)ということばを聞いたことがあるでしょうか。 コーチング理論等で使われる用語で、簡単に言えば、能力の自己評価のこと。このエフィカシー(efficacy)が低いと常に自己嫌悪に陥り、目標も達成できず、悪循環となりがちです。 あなたは、翻訳者、翻訳業として、高いefficacyをもち続けているでしょうか。 翻訳者の社会的役割、いや、地球的、いや、宇宙的役割までも気づいているでしょうか。 翻訳では大金は稼げないと、半ばあきらめ、達観していませんでしょうか。お金を稼ぐことだけが目的なら、職業を変えれば良い訳で、それは安易に翻訳という職業を選んだ結果だ、とも言えるのではないでしょうか。 ただし、この点に限って言えば、翻訳でも十分お金は稼げます。翻訳出版で何億円もの印税収入が得られた例もご存知ですね。でも、そんな上手い話は少ないと思う方は、ビジネス翻訳で戦略的に専門分野のキャリアを創れば、コンスタントに収入が得られます。 お金でお金を稼ぐ投資家のような商売であっても、上手くいく人もいれば、失敗する人もいます。何が成功と、失敗を分けるのでしょうか? では、翻訳ビジネスではどうすれば、望む収入を得られるようになるのでしょうか? それには、2つの方法があります。この詳細は、これ以降、ワークシートに沿って説明しますが、ここでは簡単に説明しましょう。 そのひとつは、翻訳の分野、専門を徹底して絞り込むこと。自分だけの専門分野を確立することです。そのうえで周辺の翻訳分野もその対応領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的縦展開。 そして、2つめはその翻訳ジャンルを戦略的に横展開すること。 すなわち、その特化した分野での翻訳業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、リサーチ(レポートを書く)等、翻訳の専門分野に基づく領域を横に広げていくことです。 翻訳という職業でお金を稼ぐことを考えるうえでは、この様な縦横のクロス戦略を実現できれば、安定収入につながります。 話をもとに戻しましょう。ここで改めて自らを省みる意味で、翻訳者としての、あるいは翻訳ビジネスに就くものとしてのエフィカシー(efficacy)を考えてみましょう。 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)、高い自己評価をあなたは持っていますか、自信はありますか?それができないから、こうして悩んでいる・・・・。そんな声が聞こえてきそうですね。 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)をどう高めるか、それは、あなたのドメインを作る上で欠かせないもので、翻訳のもつ本質的な意味を考えることに等しいと思います。 あなたは翻訳者をめざし、翻訳業に携わり、翻訳をどうとらえて、翻訳にどんな生きがい、やりがいを感じていますか。 ふと出会った、ある国のある書籍の翻訳書から、人生を変えるヒントをもらい、そこから人生の景色は一変したという方もいらっしゃるでしょう。 また、ある国、ある地域の人々が行っていたその土地固有の社会習慣を字幕翻訳付きビデオで見て、自分の国、地域社会を動かすひとつの仕組みとして利用できると気づいて、これをきっかけに社会起業家として自立したという方も知っています。 そのように、翻訳という行為は、世界の‘智’の共有を実現し、新たな気づきを誘発するのに重要な役割を果たしています。 このように、翻訳者の世界的、宇宙的役割に目を向ける時、翻訳に携わるものとして、そのefficacy(自己評価)が一変するように信じます。 世の中には、お金を稼ぐだけなら、翻訳者より稼げる職業は山とあるでしょう。 しかし、皆さんが、そして、BABELグループが翻訳という仕事を選んだ理由、その意味を今一度、自らに深く問いかけてみたいと思います。 バベルが、42年に亘り、バベル翻訳専門職大学院、バベルプレス、ブックス&ライツマーケットプレイス、翻訳者派遣・紹介業、翻訳サービス等の事業を行い、今、『The library for Professional Translators』、そしてその発展としての『地球図書館(Babel Library)』創りを進めようとしているのは、まさにバベルの使命と信じる翻訳のもつ地球的、宇宙的意義に気づいたからです。 皆さんも、この機会に‘私は、今、なぜ翻訳なのか’を改めて自らに問いかけてみてはいかがでしょうか。そこから再出発するのも回り道とはならないでしょう。 では、次々回から、5つのワークシートの作成方法を解説していきます。それまでに、あなたのドメイン(あなた固有の専門領域)について思いを巡らし、あなた自身の エフィカシーを意識してみましょう。

    WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻160号より

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    GLOCALISMの潮流にみる翻訳の意義

    GLOCALISMの潮流にみる翻訳の意義

    米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹 Brexit(Britain+Exit), 英国の国民投票によるEU離脱の衝撃は、日本、そして世界の経済、政治に大きな影響を与えつつあることはご承知かと思います。 円高、ドル高、株安、貿易の縮小、難民の無制限な移動の制限と世界はある方向急展開しつつあることを実感させます。 EUは解体に向けて歩む?のかもしれません。実際、オランダ、イタリア、オーストリア、フランス、デンマーク、スウェーデンももしかしたら、という状況のようです。 では、このBrexit以降、世界はどんな方向へ急展開しているのでしょうか。 それは、 GlobalismからNeo-nationalism (Localism)へ 国境を無くし、人の交流を自由化し、市場を開放する方向から、難民の無制限な移動の制限をし、国家を取り戻す方向へ ElitismからPopulismへ 国際金融資本家に代表されるエリート主導から大衆主導の時代へ ここに、ヒラリーVSトランプの構図も見え隠れしています。 翻って、翻訳を考えてみましょう。英語至上主義、日本でも喧しく企業内の英語公用語化の話題がマスコミを賑わせていますが、これこそグローバリスト、国際金融資本家の思う壺。 最近では日本の東大がアジア地域での大学ランキングが昨年までの第一位から七位に転落とマスコミでは自虐的論調が聴かれますが、おそらくその理由は、授業が英語で行われている割合が少ない、執筆される英語論文の割合が少ないなどが問題にされているように思います。 しかし、考えてみてください。英語圏以外で先進の学問を日本語、自国言語で学べる国は日本以外ではあるでしょうか。また、世界中の古典が読める稀有な国日本。 今まさに、大きな潮流は、ローカル、それもグローカル、開かれたローカリズムの時代に突入しつつあるように見えます。 ここにこそ翻訳の意義があります。個々の自立した文化をお互いに尊重し、そのうえで翻訳による相互交流を行う、そんな翻訳的価値が見直されています。 皆さんは‘遠読’( Distance reading )ということばをご存知でしょうか。Close Reading、精読に対して言われる用語です。これまで世界文学を語るときは常に原典主義をとってきたわけで、自ずと英語をはじめとする主要言語で世界文学が語られてきたわけです。しかし、世界文学を語るときにマイナー言語の国の文学も視野に入れるべき時代で、その際採用されるのが‘遠読’??なのです。つまり翻訳で読むわけです。 米国では今、多言語の翻訳出版の会社が続々と起業され、イギリスも英連邦の本のみを対象にしていたブッカ―賞をゆくゆくは、翻訳文学も対象にすることを考えていると言います。マイナー言語のプレゼンスが高まってきたと言えそうです。更に面白いのは、自分の作品が英語に訳されることを想定して書く作家も出てきているということです。 ことほど左様に、世界は個々の自立を前提にそのコミュニケーションの方法論として‘翻訳’を求めています。グローバリストの脅し、誘惑に左右されずに、これからの世界における翻訳の意義を堂々と主張しましょう。 お互いの文化を尊重し翻訳を通じてハーモナイゼーションを計る、素晴らしい時代の到来です。 [box color=”lgreen”]

    – 副学長から聞く - 翻訳専門職大学院で翻訳キャリアを創る方法

    hotta1 海外からも参加できるオンライン説明会 ◆ 卒業生のキャリアカウンセリングを担当する副学長が、入学及び学習システムからカリキュラム、各種奨学金制度、修了生の活躍、修了後のフォローアップなどを総合的に説明いたします。 ◆ 海外在住の方にも参加いただけるように、インターネットweb会議システムのZoomを使って行います。 奮ってご参加ください。Zoomのやさしい使い方ガイドはこちらからお送りします。
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    これからの翻訳プロフェショナルとは

    『 BABEL GROUPのミッション 翻訳プロフェッショナリズム の構築― 40年目の私の中間総括2014 』と題して、これまで翻訳界に対する課題提起を以下のようにしました。

    1. 翻訳業のプロフェッショナリズムは確立しているか。
    2. 翻訳の品質を保証する翻訳者、翻訳会社の生産能力の標準化はできているか。
    3. 翻訳者の資格は社会に定着しているか。翻訳会社の適格認証制度は構築可能か。
    4. 翻訳、翻訳専門職養成の大学、大学院は存在しているか。
    5. 翻訳専門職のための高等教育機関のプロフェッショナル・アクレディテーションは実現しているか。
    6. 翻訳教育においての翻訳教師養成の必要性を認識しているか。
    そして、そのソリューションをバベルグループ40年の活動中間総括としてまとめました。 ソリューション1. 翻訳者の能力の標準化 ⇒ 翻訳者の国家資格の構築 80%達成 ソリューション2. 翻訳の品質保証システム構築 ⇒ 翻訳会社の適格認証制度の構築 50%達成 ソリューション3. 翻訳専門職大学院の確立 90%達成 ソリューション4. 翻訳専門職高等教育機関のプロフェッショナル アクレディテーションの実施 準備中 ソリューション5. そして、翻訳プロフェッショナリズムの確立 70%達成 以上、中間総括を要約、まとめてみました。 次に、バベルグループが計画している、 翻訳のプロフェショナリズムを高める更なる施策を簡単にご紹介いたします。 施策 1 研究所構想 BABEL UNIVERSITY System内に翻訳者のプロフェショナリズムを確立するための 4つの翻訳研究所の設立を予定しています。 1.翻訳テクノロジー研究所 2.翻訳教育・キャリア研究所 3.ビジネス翻訳リサーチ研究所 日本国内にはビジネス翻訳マーケットに対する十分な情報分析がなされていません。 しかし、米国では労働省が以下のように翻訳業界の情報を開示しています。 http://www.bls.gov/ooh/Media-and-Communication/Interpreters-and-translators.htm 翻訳立国日本としても、翻訳の技術・教育情報、翻訳マーケット情報は欠かせない情報です。 4.出版翻訳リサーチ研究所 翻訳出版においても翻訳出版に関するデータの集積、分析が十分になされていません。 従って、各研究所より定期研究レポートの発刊を目指していきたいと考えています。 施策 2 専門職法人構想 スタッフ全員が専門翻訳分野のマスター・ディグリーを持つ翻訳専門職法人を分野別に設立したいと考えています。更には、翻訳に関わる世界標準の資格を取得すること。 http://www.jta-net.or.jp/index.html これも世界初の試みです。院生の皆さんのご協力、ご理解を期待します。 施策 3 地球図書館 構想 地球図書館は、既にスタートを切っていますが、さらに充実させます。人々に気づきと喜びをもたらす未発掘の良書、多言語コンテンツを発掘し、翻訳し、デジタルコンテンツとしてストック、共有、享受できるデジタル図書館システムを本格的に創りたいと考えています。 http://www.babelpress.co.jp/html/page69.html 施策 4 Professional Partnersとの連携構想 翻訳関連のProfessional Partners、すなわち 一般企業 翻訳会社 出版社 研究所 教育機関 図書館 翻訳団体 等 との連携、協力により、研究協力、JOB FAIRの実施等、翻訳のプロフェショナリズムを深め、社会的貢献をさらに高めていきます。 ここまで皆様にお伝えして、はて、と考えてしまいました。 あれ、翻訳者ひとりひとりの実像が結べない。 いくら、事業を発展しても、主役である翻訳者が希薄になってしまっては本末転倒。そこで、改めて原点に却って、では ‘翻訳プロフェショナリズムの確立’のなかでの‘ 翻訳プロフェショナルとは’を考えてみましょう。 例えば次のような実績、 1.翻訳専門職大学院のマスターを取得した。 2.翻訳者としての公的資格を取得した。 3.働いている翻訳会社やクライアントから高品質評価を受けている。 4.翻訳プロジェクト・マネージャー の資格も取得した。 これが、めざす翻訳プロフェショナルでしょうか? これが、めざしたい翻訳プロフェショナルでしょうか? 本誌でも何度かふれてきたのでこの点を改めて考えてみましょう。 はじめに、Find your own uniqueness, define your own success.という言葉を 覚えていますか。米国の教育理念の基本的コンセプトを表す言葉です。 個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は始まります。 長所伸展法、すなわち、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす,その方が成功への確率が高い、と言われます。 日本では得てして、右に倣えの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向に あるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価するそんな傾向には流されないようにしたいものです。 更に、翻訳者として自立する時に、その分野を徹底的に絞り込む必要性を訴えました。 と同時に申し上げたのは、その専門を軸に、スキルの横展開をすることを勧めました。すなわち、その専門分野で翻訳をするだけでなく、講演、レクチャーができるようになる、さらにはその分野のライター、研究者となることです。また、その分野の大きな翻訳プロジェクトが発生したら、そのプロジェクト・マネージャーとして仕事を仕切る。そんな、幅と奥行を持ったキャリアを創ることを提案いたしました。 加えて、日頃から申し上げているのは、ビジネス翻訳者といえども、必ず、その専門分野の啓蒙書、研究書等の翻訳出版物をもつということです。これにより、翻訳者として別格のブランディングができます。デジタル、POD出版が盛んになってきた今では十二分に可能なことです。 そして、更に、エフィカシー(efficacy)についてもふれました。 これは、コーチング理論等で使われる用語で、簡単に言えば、自己の能力の自己評価のことです。このエフィカシー(efficacy)が低いと常に自己嫌悪に陥り、目標も達成できず、悪循環となりがちです。 あなたは、翻訳者、翻訳業として、高いefficacyをもち続けているでしょうか。 翻訳者の社会的役割、いや、地球的、いや、宇宙的役割までも気づいているでしょうか。 また、 あなたがあなたの限界を決めてはいませんか。あなた自信が小さく収まってしまったら、それを越えることは絶対できません。あなたのLimited belief(自分の限界を自分で決める)がそのビジョンを大きく描き、エフィカシー(efficacy)高めることを妨げていないか、再度問いかけてみてください。 もしやあなたは、次のように考えていませんか? 私の才能は限られている。 私はお金に恵まれていない。 私は一流の翻訳者にはなれない。 一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ。 私は運がない人間だ。 私には十分な時間がない。  等々 自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。 自分に不都合に決めている自分を解放してみましょう。 人がどう言おうと、振り回されないでください。 なぜなら、エフィカシー(efficacy)とは、自己の自己評価だからです。 さて、みなさんはここまでで どんな翻訳プロフェショナル像を結べましたか。 私が手前勝手にまとめさせていただければ、 1.翻訳専門職大学院のマスター・ディグリーを取得し、 2.専門の軸足(Uniqueness)をしつかりもち、その分野の公的資格を取得し、 3.翻訳力にとどまらず、プロジェクトを率いるマネージメント資格と実績を保持し、 4.翻訳のみならず、出版・執筆活動、講演活動、研究活動にも積極的に取り組み、 5.翻訳の社会的、地球的、宇宙的役割を深く認識するとともに、 6.翻訳者としての高いエフィカシー(自己の自己評価)をもち、 7.翻訳プロフェショナルとして生きることに深い喜びをもつている そんな翻訳プロフェショナルに私はなりたい。 最後に、再び、そんな理想、私には無理、とお考えのあなたに福澤諭吉のことばをお送りしましょう。 ・やってもみないで「事の成否」を疑うな ・自分の力を発揮できるところに運命は拓ける ・挑戦することは「天命」さえも変える
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    – 副学長から聞く - 翻訳専門職大学院で翻訳キャリアを創る方法

    hotta1 海外からも参加できるオンライン説明会 ◆ 卒業生のキャリアカウンセリングを担当する副学長が、入学及び学習システムからカリキュラム、各種奨学金制度、修了生の活躍、修了後のフォローアップなどを総合的に説明いたします。 ◆ 海外在住の方にも参加いただけるように、インターネットweb会議システムのZoomを使って行います。 奮ってご参加ください。Zoomのやさしい使い方ガイドはこちらからお送りします。
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    翻訳のアマチュアリズムを極める

    米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

    本誌、前々号でバベルグループの使命に関して「翻訳のプロフェショナリズムの確立」 と言ったそばから、なぜアマチュアリズム?とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。 別に、ボランティア翻訳を推進しようと言うわけではありません。 これを別の言い方をすれば、「教育的翻訳を極める」と言っていただいても構いません。 教育的翻訳というと馴染みがないと思いますが。 教育的ディベート(Academic Debate)をご存知でしょうか。バベルでも90年代に約10年間、米国のディベートチャンピオンとコーチ(教授)を日本に招請して、日本全国の教育的興行を全面的に後援しておりました。日本語と英語でディベートを行い、ディベートの効用を謳ってきました。当時は松本茂先生(バベルプレスで「英語ディベート実践マニュアル」刊行、現立教大学経営学部国際経営学科教授、米国ディベートコーチ資格ホールダー)、故中津燎子先生(書籍「なんで英語やるの?」で大宅壮一ノンフィクション賞受賞)にお力添えをいただいておりました。 話が横道に逸れてしまいましたが、教育的ディベートとは、論理構成力を涵養する教育の 一環としてディベートの手法を活用しようという考え方でした。 ここで私が言う、「教育的翻訳とは」大学生以上の成人層を対象とするものと小中学生等を対象にするものとを考えているのですが、プロ翻訳家の養成という意図はありません。 ここでは説明をわかりやすくするために、後者の例をお伝えします。 バベルグループの歴史が40年となることはこれまでにお伝えしました。その間、翻訳に関しても様々な実験的な試みをしてきました。私が前職(JTB外人旅行部)からバベルに転職したときのバベルの面接官が、当時教育部長をされていた故長崎玄弥先生でした。長崎先生は海外に行くこともなく、英語を自由に操る天才的な方でした。当時は奇跡の英語シリーズで100万部を越えるロングセラーを執筆されておりました。 その面談は急に英語での面談に切り替わって慌てた覚えがあります。 その長崎先生と翻訳に関するある実験的な企画をしました。 当時、中学の1,2年生を7,8人募集して、中学生に翻訳(英文解釈、訳読ではない)の授業をするという試みでした。週に2,3回、夕方を利用して、かれらに英米文学(ラダーエディション)の翻訳をさせたのです。詳細は置くとして、それから約1年後は、なんと彼らの英語、国語、社会の成績が1,2ランク上がったのです。英語の成績が上がるのはもっともとしても、社会、国語の成績が上がった時は、翻訳という教育の潜在力を実感したものです。あれから20余年、懸案を実現するに、時が熟して来たと感じています。 現在の英語教育では、文法訳読形式が否定され、コミュ二カティブな英語教育が推進されるなか、実効性が上がらないのを目の当たりにして、明治時代以前の教育にも見られる「教育的翻訳」の必要性をうすうす感じているのは私だけではないのかと思います。 また、余談を言わせて頂ければ、コミュ二カティブな英語を涵養する優れた教育方法は 「教育的通訳」とバベルでの企業人向け教育の経験で実感してきました。 これはのちに上智大学の渡辺昇一先生(現上智大学名誉教授、書籍「知的生活の方法」で一世を風靡)が、その実効性に関する大部のレポートを発表されておりました。 話が横道に逸れてしまいましたが、この「教育的翻訳の普及」が、言語教育、異文化理解、異文化対応、感性の涵養等、小中高等教育のみならず成人教育、更には日本の世界における新たな役割認識に新しい地平を拓くものと信じています。 詳細は、次号以降でお伝えします。

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    – 副学長から聞く - 翻訳専門職大学院で翻訳キャリアを創る方法

    hotta1

    海外からも参加できるオンライン説明会

    ◆ 卒業生のキャリアカウンセリングを担当する副学長が、入学及び学習システムからカリキュラム、各種奨学金制度、修了生の活躍、修了後のフォローアップなどを総合的に説明いたします。

    ◆ 海外在住の方にも参加いただけるように、インターネットweb会議システムのZoomを使って行います。 奮ってご参加ください。Zoomのやさしい使い方ガイドはこちらからお送りします。

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