改訂版 第7回 「翻訳で何をしたいか」

第7回 自分の‘売り’をつくる5年間の計画を描く

さて、いよいよSTEP5、最終段階です。 STEP4では、Write your future resume、5年後の未来履歴書を作成しました。 1.5年後の自分の‘ 売り ’を明確にする。
2.5年後に履歴書に書くあなたの獲得スキル、資格を明確にする。
3.5年後に履歴書に書くあなたの職歴を描く。 そして、STEP5では、この未来履歴書を現実にするための向う5年間のアクションプランを作成します。
Make your action plan. このプロセスはSTEP3で行った自分棚卸に対応するもので、棚卸して明らかになった自分のスキルマップを再編していきます。 STEP3では、みなさんが翻訳でキャリア目標をお持ちであるということを前提に、翻訳のキャリア目標を達成するのに必要な5つの能力、更にそれを成功に導く態度能力の合計6つに分けて考えてみました。 以下の6つを、資格、教育歴、実務経験等の指標を使って棚卸しをしていきました。 ・Language Competence
 これは翻訳、通訳等を職業にする場合は、当然柱となる言語関連のスキルです。また、それを裏付けする資格、学習歴を考えてみましょう。
・Cultural Competence
 異文化間の変換をするに必要な彼我の文化を熟知し、その価値を相対化できる視点を持ち合わせているでしょうか。日頃から、そんな視点で自文化と異文化を知る努力を怠っていませんか。
・Expert Competence
 翻訳、通訳でも専門分野を極めていくことは必須です。専門分野は日々進化していきます。そうした変化を捉える情報収集を常に行っていますか。
・IT Competence
 自ら翻訳をする時だけではなく、プロジェクトを率いるような時でも、プロジェクトマネージメントの知識、リサーチの技術、翻訳エディティングの技術、DTPの技術、そして翻訳支援ツールの活用技術、辞書化の技術、いずれもキャリア開発に不可欠な知識と技術です。
・Managerial Competence
 自立するための経営ノウハウ、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを仕切る際のプロジェクトマネージメントの知識と技術、自立を目指すに欠かせません。   *参考に日本翻訳協会が実施する「翻訳プロジェクトマネージャー資格基礎試験」をご覧下さい。   更に、
・Humanic Competence
 仕事をするには、人間関係能力は不可欠、リーダーシップにつながる関係構築能力を経験を積みながら磨いていきましょう。 ここで更に、今一度、STEP1とSTEP2を振り返ってみましょう。なぜなら、このSTEP1と2が全ての基本だからです。 STEP 1. 自己発見シートの作成
   Find your own uniqueness
STEP2.キャリアビジョン作成
   Define your own success このステップで考えた‘売り’、Uniquenessと、ステップ4で考えた5年後の未来履歴書‘売り’、Uniquenessは変化していますか。変化が見られたら臆することなく書き直しましょう。 ここでSTEP1とSTEP2を復習してみましょう。
Find your own uniqueness, define your own success. 自分の個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は始まります。
長所伸展法、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす。
その方が成功への確率が高い、と考えてください。 日本では得てして、右へならえの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向にあるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価とするそんな傾向には流されないようにしましょう。 もっている個性、特性を生かし生ききることが人間としての醍醐味でしょう。
従って、STEP4で導き出した‘売り’を明確に意識しましょう。 それでは、いよいよ、STEP5 5年間のアクションプラニングを作成しましょう。
Make your action plan ここで、大切なのは、当然ですが、自分の‘売り’を生かすために、どのコンピタンスに重点を置くかです。すなわち、長所進展法、どのコンピタンスに力点を置くか考えましょう。 ここで、それぞれのコンピタンスがどんな内容か改めて確認しましょう。 そして、ご自身の売り、UniquenessをもとにSuccessをdefineするには、どのコンピタンスにどの程度のウエイトを置くのか、改めて考えてみましょう。 その上で、それぞれのコンピタンスをどう伸長させるか、1年ごとにマイルストーンを切って行きましょう。 どんなスキル、資格を取得するのか、どんな仕事に携わるのか、具体的にしていきましょう。 そして改めて申し上げますが、
そのためには、その分野、スキル、資格を徹底して絞り込むことです。
すなわち、自分だけのユニークなスキル、資格を獲得することです。
これは、戦略的縦展開。そのうえで周辺のスキル、資格も専門とする領域に取り込みます。
これは、言わば、戦略的横展開。 すなわち、その特化した翻訳分野での業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、専門に関連した翻訳プロジェクトを率いること。
この縦横のクロス戦略が重要です。 さて、それではSTEP5. Make your action planに進んでください。 ――――――――――――――――――――――――――――――――

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan

―――――――――――――――――――――――――――――――― このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3,4,5と 順にこなしてください。今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」にチャレンジください。

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻166号より

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改訂版 第6回 「翻訳で何をしたいか」 

第6回 5年後の未来履歴書を描く

あたかも、そうなっているかのように5年後の履歴書を書こう!! さて、いよいよこれまでの総まとめSTEP4、5年後の未来履歴書作成 Write your future resumeです。これまで描いてきたキャリアビジョンをあたかも現実であるかのように描いていきます。 1.5年後のあなたの‘ 売り ’は?
2.5年後の履歴書に書くあなたの獲得スキル、資格は?
3.5年後の履歴書に書くあなたの職歴は? 今、この時点でこんな注意を言う必要もないのですが、念のため。 日本的考え方である、目標、ゴールは今を起点に積み上げていくものという考えをまだお持ちであればこの時点でこれを払拭してください。重要なことは、SuccessをDefineする場であるキャリアビジョンはできるかぎり大きく、Vividに描き、そのうえで、そのビジョンと今との乖離を埋めていく、これが基本です。 1.の ‘売り’ を描くまえに、ゴール、すなわち、キャリアビジョンが十分に ‘自分の売り’ を描くに足るほど大きく描けているかを確認しましょう。 そのポイントのひとつは、前々回で説明したように、目標を描く時に、抽象の階段を上り下りしながら、その抽象度を上げ、揺るぎないゴールにしていくことです。 その時の視点のひとつはTrans-personalな視点を獲得すること。これもすでにお話しているように、小さなエゴを離れ、利他的視点を獲得すること。 こうして描かれたゴールは揺るぎないものと信じます。
そうして考えましょう、あなたの ‘売り’は? あなたのアピールポイントは?
これが、あなたのefficacy(自信)を裏付けてくれます。
また、その社会的価値( Social role )が確固としていれば、その対価としての報酬は必ずそれに見合うかたちでついてくると、決めましょう。 また、世に言う‘引き寄せの法則’は何かが幸運を引き寄せてくるのではなく、ご自身が描くゴールが大きく、鮮明であればあるほど目の前に現れる光景が違って見えてくるということを言っているわけです。すなわち、その大きな、強烈なゴールが自分の中に鮮明に描かれてくると、これまで見ていたと同じ光景であってもそこに新しい何かが出現したかのように、すなわち、あたかもそれを引き寄せたかのように見えるだけなのです。すでに前からそこに有ったのに!! 2.次に、その ‘売り’ を裏付けする、資格、スキルをリストアップしましょう。 その時のポイントのひとつは、これも以前申し上げたことですが、その分野、専門を徹底して絞り込むことです。すなわち、自分だけのユニークな専門分野を確立することです。これは、言わば、戦略的縦展開。そのうえで周辺の分野も専門とする領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的横展開。すなわち、翻訳を例にとれば、その特化した翻訳分野での業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、専門に関連した翻訳プロジェクトを率いること。この縦横のクロス戦略を実現できれば、安定収入は約束されるでしょう。 2つめのポイントは、以下のようなLimited Beliefを解き放つことです。
・私の才能は限られている。
・私には十分な時間がない
・私は一流の翻訳者にはなれない
・一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ
・私はお金に恵まれていない。
・私は運がない人間だ
 等々
自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。
自分に不都合に決めている自分を解放しましょう。 3.さて、ここまでくれば、次のキャリア履歴書は簡単かもしれません。 望む仕事歴を好きに書いてみましょう。
あたかも実現したかのように。 さあ、こうして描いた5年後の未来履歴書を、5年後の自分が確認している姿を想像してみましょう。
その時の現実と寸分違わない履歴書が出来上がっていることに気づくでしょう。 そう決めましょう。 ちなみに、この原理原則は個人、すなわち自然人でも、会社組織、法人でも同様です。
最後に、少し観点を変えてこんな視点をバベルグループを例にご紹介します。 それは、
1.MISSION   使命
2.GOAL    これを達成するためのゴール
3.OBJECTIVE そして、ゴールを実現するための具体的な施策
という考え方です、米国のバベル翻訳専門職大学院は以下のように1.2.3を掲げています。
https://www.babel.edu/mission/ 同様に、大学院事業を含む、42年の歴史を持つバベルグループは以下のようなMISSION、GOAL、OBJECTIVEを50年、100年に向けて掲げています。 バベルグループの使命
MISSION
智の宝庫である地球【 Global Knowledge Garden】 において、
翻訳を通じて智の共有を実現し、
人々に気づきをもたらし、
共に喜びを分かち合える環境を創ることです。
GOAL
そのために、
翻訳高等教育のプロフェショナリズムを確立し、
翻訳会社のプロフェショナリズムを確立し、
そして、
翻訳者のプロフェショナリズムを確立します。
OBJECTIVE
そして、これを実現するのがバベルグループの各事業です。
http://www.babel.co.jp/ ――――――――――――――――――――――――――――――――

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan

―――――――――――――――――――――――――――――――― それでは、STEP4の「5年後の未来履歴書作成」 は、以下からお願いします。
https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc4.html このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3,4と順にこなしてください。 今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」を試してみませんか。この未来の履歴書をいかにVIVIDに描けるか、これがあなたの未来を決める、そんな‘不思議’な体験をするでしょう。

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻165号より

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改訂版 第5回 「翻訳で何をしたいか」 

第5回 あなたのスキルの棚卸をしよう

まず、My Success Career – 私のしたい仕事、キャリアビジョンを大きく描けたか、そこから確認しましょう! 前回は「Define your own success」として,あなた自身のUniquenessに基づきMy Success Career – 私のしたい仕事を定義しました。みなさんはどんなキャリアビジョンを描きましたか。 そこでですが、次のステップとなるスキルの棚卸しに入る前に、あなたのキャリアビジョンが十分大きなものとして描けたか見直してみましょう。 そのビジョンが今のキャリアの延長線上に容易に想像つくものであれば、今一度、描き直してみましょう。年商を入れても、社会的評価を入れても、抽象表現を加えてでも、どんな形式でもよいので思いっきり大きなビジョンを描いてください。 思い出してください。前回、翻訳者として自立する時に、その分野を徹底的に絞り込む必要性を説明しました。と同時に申し上げたのは、その専門を軸に、翻訳スキルの横展開をすることです。すなわち、その専門分野で翻訳をするだけでなく、講演、レクチャーができるようになる、さらにはその分野のライターとなる。もちろん、その分野の大きな翻訳プロジェクトが発生したら、そのプロジェクトマネージャーとして仕事を仕切る。さらにそれを個人起業から例えば株式会社組織へと展開していくそんな、幅と厚みを持ったキャリアを創ることを提案いたしました。 あなたがあなたの限界を決めて、小さく収まってしまったら、それはキャリアビジョンとしては不十分です。あなたのLimited belief(自分の限界を自分で決める)がそのビジョンを大きく描くことを妨げていないか、再度、自身に問いかけてみてください。 私の才能は限られている。
私はお金に恵まれていない。
私は一流の翻訳者にはなれない。
一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ。
私は運がない人間だ。
私には十分な時間がない。
等々 自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。
自分に不都合に決めている自分を解放してみましょう。
そして、大きな成功をイメージしてみましょう。
年齢なんて関係ありません。 また、周りには親、親戚をはじめ多くのDream Killerが居ます。そんなこと時間の無駄だから、自分の才能を過信するな、などなど、これらの騒音からご自身を解放してください。 そして、この大きなビジョンがあってこそ、次のステップ、自分の棚卸しをする意味があります。 では、あなたのスキルの棚卸しをどのようにするか、説明して行きましょう。 初めに、みなさんが翻訳関連でキャリアビジョンをお持ちであるということを前提に、翻訳のキャリアを創り出すに必要な能力を以下の5つ、更にそれを成功に導く態度能力の合計6つに分けて考えてみましょう。これら6つを、資格、教育歴、実務経験等の指標を使って棚卸しをしてみます。 ・Language Competence
 これは翻訳、通訳等を職業にする場合は、当然必要な言語関連のスキルです。
 また、それを裏付けする資格、学習歴を考えてみましょう。 ・Cultural Competence
 異文化間の変換をするに必要な彼我の文化を熟知し、その価値を相対化できる心を持っているでしょうか。日頃から、そんな視点で自文化と異文化を知る努力を怠っていませんか。 ・Expert Competence
 翻訳、通訳でも専門分野を極めていくことは必須です。専門分野は日々進化していきます。そうした変化を捉える情報収集を常に行っていますか。 ・IT Competence
 自ら翻訳をする時だけではなく、プロジェクトを率いるような時でも、リサーチの技術、翻訳エディティングの技術、DTPの技術、そして翻訳支援ツールの活用技術、辞書化の技術、いずれもキャリア開発に不可欠な技術です。 ・Managerial Competence
 自立するための経営ノウハウ、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを仕切る際のマネージメント技術。自立を目指すに欠かせません。 *参考に日本翻訳協会が実施する「翻訳プロジェクトマネージャー資格試験」をご覧下さい。    ・Humanic Competence
 仕事をするには、人間関係能力は不可欠、リーダーシップにつながる関係構築能力を経験を積みながら磨いていきましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan

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さて、以上を参考に、まずはみなさんで、STEP3のスキルの棚卸しをしていきましょう。 その上で、現在の自分の強み、弱みを明確に自覚して、その強みを更に強め、弱みを段階的に改善していくことが必要です。しかし、以前にも申し上げましたように、長所伸展、強みを徹底的に強くする、その方が実は成功に結びつくのに近道のようです。 それでは、STEP3のスキルの棚卸し診断は、以下からお願いします。
https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc3.html このキャリアサクセス実現シートによるキャリアビジョン創りは、STEP1,2,3と順にこなしてください。 今からでも遅くありません、5つのSTEPからなる「キャリアサクセス実現シート」を試してみませんか。次の関門は STEP4.( 5年後の未来履歴書作成  Write your future resume)です。未来の履歴書をいかにVIVIDに描けるか、これがあなたの未来を決する、そんな不思議な体験があなたを待っているかもしれません。 楽しみにしてください!! Today is the first day of the rest of your life.

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻164号より

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改訂版 第4回 「翻訳で何をしたいか 」

第4回 Define your own success―自分のキャリアビジョンを導き出す

前号では「MY OWN UNIQUENESSを探る」と題して、キャリアサクセス実現シートのPhase 1を完成させました。今回、Phase 2では、そのuniquenessに、仕事の満足度の視点を加味し、肉付けしていきます。ここでは、言わばIdentityを再度考えることになります。

そして、Uniqueness +Satisfaction⇒ Identityを導き出し、更に、その仕事、その キャリアのもつ意味、Missionとその仕事を後押しする外部環境、すなわちTrendを考え、その3つの視点の交わる場となる【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を求めていくことになります。

そこが、言わば、あなたが your own successをDefine、 定義する場となるでしょう。

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan

それでは、Phase 1でUniqueness、‘ 自分の売り ’ を絞り込んだあなたはPhase 2では、それに加え、仕事に対して何を求めるか、その満足度、Satisfactionを考えてみましょう。
お金、名誉、地位、専門性、いや私は自己実現、そんな人もいるでしょう。

ところで、みなさんはマズローの欲求5段階説をご存知でしょうか。

基本的な生理的欲求から、安全(安定性)欲求、愛情(所属 / 社会的)欲求、尊敬(承認)欲求、そして自己実現欲求に至る5段階の欲求をマズローは説いています。

ところで、こんなことをご存知ですか。

マズローは亡くなる間際に、欲求を5段階に分類したけれど、人間の欲求には6段階目があるのではと主張したのです。それはTrans-personal、すなわち個人の利益を越える欲求、利他の欲求が最も高度な欲求ではないかと考えたのです。

さてあなたは、仕事に何を求めているのでしょう。これは必ずしもひとつということではないでしょうから、3つ挙げてその優先順位を%で考えてみましょう。

次に、Missionを考えてみましょう。

Social Roleと言い換えても良いのでしょう。

その仕事が、社会にどんな影響をもたらしているのか。

それを考える手がかりになるのは、前号でお伝えした、「抽象の階段を登る」方法でしょう。

その仕事、キャリアが具体的にもたらす利だけではなく、より抽象度の高いところで、その仕事の恩恵を考えてみましょう。

例えば翻訳の場合、できれば翻訳それ自体より、もう一歩踏み込んでどんな分野の翻訳か、絞り込んだうえで、「抽象の階段を登る」ことにチャレンジしてみましょう。

ご存知のように、Missionは日本語では使命と翻訳されます。その言葉の通り、その選択したことは自分の‘命を使う’に値することなのかを熟考してみましょう。

次に、Trendを考えてみましょう。

もちろん、ここでいうトレンドはfadというような一過性にものを言いません。

事象が移り変わろうとも、変わらぬ大きな潮流とも言えましょうか。

これを考えるには、Mission同様に、前に申し上げた具象から抽象への階段を登っていく必要があるかもしれません。翻訳であれば、その分野を絞り込んで考えてみましょう。

細やかな流行の底流に流れる普遍的流れ。

翻訳においてその分野を選んだのはなぜか、その底流にあるトレンドを考えてみましょう。

さて、以上を参考に、まずはみなさんで、この3つの視点の交点となる

【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を描いてみましょう。

Phase2の診断に進むには、以下のPhase1の記入を終えてから、次に進んでください。

するとページはPhase2に移ります。

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc1.html

Phase 1の解答が未だの方は、今からでも始めてください。

このキャリアサクセス実現シートによるキャリア形成は、ここまでのPhase1とPhase 2が基本となります。従って、このPhase1,2は、一旦すべてを中断してでも、真剣に取り組んでもらいたいステップです。

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻163号より

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改訂版 第3回 「翻訳で何をしたいか 」

第3回 Find your own uniqueness―自分さがしの試み さてこれから、ご一緒にご自身のキャリアサクセス実現シートを作成して行きましょう。 そのプロセスは以下の5つのステップより成ります。今回はその第1ステップです。

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
皆さんはすでに、以下のフレーズをご存知でしょうか。 Find your own uniqueness, define your own success. 米国の教育理念の基本コンセプトを表す言葉です。 個々人の個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は決まります。 長所伸展法、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす,その方が成功への確率が高い、と言われますが、これも同根の考え方です。 更に言えば、have to からwant to 、何々しなければならないからするのではなく、そうしたいからそうする、という発想です。 日本では得てして、右に倣えの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向にあるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価をするそんな傾向には流されないようにしましょう。 生まれながらに持った固有の特性を活かし生ききることが人間としての生きがいでしょう。 「ジョハリの窓」でご存知のように ・自分も他人も知っている自分 ・自分は知っているが他人が知らない自分 ・他人は知っているが自分は知らない自分 ・自分も他人も知らない自分 なかでも、他人は知っているが自分は知らない自分に驚かされることもあるかもしれません。身近な人にでもいいので聞いてみましょう。 また、この診断を詰めていくと、やがて、自分も他人も知らない自分があぶりだせるかもしれません。 どんな仕事を自分の天職と考え、選ぶのか、これも自分のuniquenessを徹底的に追求することから出会うのかもしれません。 いや、逆に、偶然、たまたま天職に出会った、それが意外と真実かもしれません。 日経新聞に「私の履歴書」というコラムがあることはご存知の方も多いかもしれません。日本が誇るべき人物にその履歴を語っていただく記事です。皆様はこの記事の中で最も多く使われるフレーズをご存知でしょうか。それは、「たまたま」、「偶然」といった表現だそうです。このフレーズは深読みすれば「必然的に」と読み替えることができるでしょう。 世の中を動かしている真実は’たまたま’を’必然’に読み替える仕組みかもしれません。 たまたま’翻訳’というキーワードに遭遇するとします。 そうしたら、次には、‘翻訳’とは何かを深く読み込み、なぜ翻訳をしたいのか、これを徹底的に追求して、どんどん抽象化していきましょう。そこで突き当たる何かが、あなたの使命かもしれません。 以下のSTEP1 自己発見シートで、ゼロベースでご自身を振り返って見ましょう。 STEP1. シート これを終えたら、STEP2. Define your own success ご自身のキャリアビジョンを描くことに移ります。 この2つのステップがこのキャリアサクセス実現シートの核となるプロセスです。 なお、次のSTEP2は、次号で解説をいたしますので、解答はお待ちください。 全てステップを終え、全てを書き終えたところで、改めて自己評価を試みましょう。 最後に、今さら、キャリアデザインなんて、と年齢を気にしている人がいたら、こんなことばをお送りしましょう。 Today is the first day of the rest of my life. 物事をはじめるのに、早い、遅いはないはずです。  

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻162号より

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改訂版 第2回 「翻訳で何をしたいか 」

第2回 「抽象のはしごを自在に上り下りし、どこに至る」 先回は翻訳者としてのEfficacyを高める重要性を力説しました。そうは言っても、という方も多いかとは思いますが。ここは、一度過去をふり切って思い切って演じてみましょう。 Efficacy、それは能力の自己評価、これを高く設定したうえで、次回以降の以下のMy Domain( My Success Career) 設定のためのワークをしたいと思います。

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
では、そのEfficacyをどう高めるか、以下の視点で考えて見ましょう。 Efficacyを高める、自己の自己評価をどう高めるか、自己の目標を高いところでどう合理化するか、いまの自分にどう自信をつけるか。 みなさんは「抽象のはしご」をご存知ですか。 抽象のはしごを上がるとは、例えば、動物の犬という概念を例にとるなら、パピオン→洋犬→犬→哺乳類→動物→生物→生命という具合に抽象度を上げていくことを言います。逆に、抽象のはしごを降りるにはその逆をたどればよいことになります。 としてみると、一般的には、文化、文明度が高い人ほど、抽象のはしごの上り下りが自由にできる、すなわち、抽象―具象思考ができると言えるでしょう。 これを、こうした概念操作から、行動に視点を当ててみましょう。 例えば、日常生活を振り返って見ましょう。お掃除をする、料理をする、食事をする、テレビを観る、すべて具体化された‘こと’のエンドレスの連続です。 では仕事ではどうでしょう。計算を入れる、メールを書く、書類を作る、会議をする、これもそんな具体的行為の連続です。 しかし、我々はこうした具体的行為に忙殺され、それが生活すること、それが働くこと、と考えてしまうと、つい、どう生きるか、なんのために働くのかを看過してしまいがちです。 そこで一度、とどまって、抽象のはしごを上がってみましょう。なんのためにお掃除をし、料理をし、食事をし、テレビを観ているのでしょう。また、なんのためにメールを書き、書類を作り、計算を入れている、会議をしているのか、はしごを上がって俯瞰してみましょう。 すると、それらの意味が蘇生し、自分に主体性を取り戻せ、生きているという実感、働くことの意味を実感できるように なるかもしれません。 さらに、皆さんが翻訳の勉強をしている場を考えて見ましょう。原書を読む、訳文を作る、それを提出する、指導を受ける、それを復習する、等々、これも一旦、中断しその抽象のはしごをのぼり、なんのために翻訳学習をしているのか、思いを巡らせて見ましょう。 それは、単に私は絵本の翻訳家になるため、ミステリーの翻訳家になるため、リーガル翻訳者になるため、という抽象化にとどまらず、その更に先の抽象化を考えてみてください。 なんのための翻訳、そもそも翻訳って何、そんな抽象思考を試みるとあらたな気づきに出会えるかもしれません。 もちろん、抽象世界にとどまっていては先に進みません。具体化と抽象化を行き来することで、事象が俯瞰でき、目標により深みが加わり、目標がしっくり自分のものになり、それが、ひいてはEfficacyが高まることになると言えるのではないでしょうか。 翻って、特化型AIから汎用型AIに移行する2030年前後は第4次産業革命と言われるように、ビジネスは新しいパラダイムの時代にはいると言われています。翻訳においても当然、AIを活用した人間主体の考え方、働き方が求められて来るでしょう。 すなわち、‘翻訳で何をする’、翻訳の先に何を想い、翻訳で何を実現しようとするか、です。受け身的に翻訳の仕事を受けるだけでなく、自ら使命とする翻訳のプロジェクトを提案するなど、マイドメインに沿ったオンリーワンの翻訳情報ビジネスを立ち上げてほしいと思います。 汎用型AIが言語の壁を越え発展しようと、それにより自動通訳、自動翻訳の技術が一定程度の成果を上げてきても、‘翻訳で何をするか’、翻訳でどんな課題を設定し、翻訳の原理である‘智の共有’をどの領域で実現し、そこからどんな社会効用を生み出すのか、これこそ人間でなければなしえないことでしょう。 翻訳者たちがそれぞれの使命に目覚め、その課題を発見し、これを翻訳情報ビジネスに発展させ、以って社会貢献する。そして、そのこと自体を人生の楽しみとする、今やそんな翻訳環境を創造していくステージに入ってきたと確信します。 ここが抽象と具象の行き来から到達する次のステージかもしれません。

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻161号より

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改訂版 第1回 「翻訳で何をしたいか 」

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
  • 今回は、その‘MY DOMAIN’ づくりのワークに入る前の準備のお話しです。 それは、まず、「なぜあなたは翻訳という仕事を選んだのか」という問いから始まります。‘MY DOMAIN’ づくりの前提として、ご自分の翻訳ビジネスへ向かう動機を、今一度、考えてみましょう。そこで考えていただきたいのが‘翻訳者としてのエフィカシー’ということです。 あなたはエフィカシー(efficacy)ということばを聞いたことがあるでしょうか。 コーチング理論等で使われる用語で、簡単に言えば、能力の自己評価のこと。このエフィカシー(efficacy)が低いと常に自己嫌悪に陥り、目標も達成できず、悪循環となりがちです。 あなたは、翻訳者、翻訳業として、高いefficacyをもち続けているでしょうか。 翻訳者の社会的役割、いや、地球的、いや、宇宙的役割までも気づいているでしょうか。 翻訳では大金は稼げないと、半ばあきらめ、達観していませんでしょうか。お金を稼ぐことだけが目的なら、職業を変えれば良い訳で、それは安易に翻訳という職業を選んだ結果だ、とも言えるのではないでしょうか。 ただし、この点に限って言えば、翻訳でも十分お金は稼げます。翻訳出版で何億円もの印税収入が得られた例もご存知ですね。でも、そんな上手い話は少ないと思う方は、ビジネス翻訳で戦略的に専門分野のキャリアを創れば、コンスタントに収入が得られます。 お金でお金を稼ぐ投資家のような商売であっても、上手くいく人もいれば、失敗する人もいます。何が成功と、失敗を分けるのでしょうか? では、翻訳ビジネスではどうすれば、望む収入を得られるようになるのでしょうか? それには、2つの方法があります。この詳細は、これ以降、ワークシートに沿って説明しますが、ここでは簡単に説明しましょう。 そのひとつは、翻訳の分野、専門を徹底して絞り込むこと。自分だけの専門分野を確立することです。そのうえで周辺の翻訳分野もその対応領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的縦展開。 そして、2つめはその翻訳ジャンルを戦略的に横展開すること。 すなわち、その特化した分野での翻訳業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、リサーチ(レポートを書く)等、翻訳の専門分野に基づく領域を横に広げていくことです。 翻訳という職業でお金を稼ぐことを考えるうえでは、この様な縦横のクロス戦略を実現できれば、安定収入につながります。 話をもとに戻しましょう。ここで改めて自らを省みる意味で、翻訳者としての、あるいは翻訳ビジネスに就くものとしてのエフィカシー(efficacy)を考えてみましょう。 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)、高い自己評価をあなたは持っていますか、自信はありますか?それができないから、こうして悩んでいる・・・・。そんな声が聞こえてきそうですね。 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)をどう高めるか、それは、あなたのドメインを作る上で欠かせないもので、翻訳のもつ本質的な意味を考えることに等しいと思います。 あなたは翻訳者をめざし、翻訳業に携わり、翻訳をどうとらえて、翻訳にどんな生きがい、やりがいを感じていますか。 ふと出会った、ある国のある書籍の翻訳書から、人生を変えるヒントをもらい、そこから人生の景色は一変したという方もいらっしゃるでしょう。 また、ある国、ある地域の人々が行っていたその土地固有の社会習慣を字幕翻訳付きビデオで見て、自分の国、地域社会を動かすひとつの仕組みとして利用できると気づいて、これをきっかけに社会起業家として自立したという方も知っています。 そのように、翻訳という行為は、世界の‘智’の共有を実現し、新たな気づきを誘発するのに重要な役割を果たしています。 このように、翻訳者の世界的、宇宙的役割に目を向ける時、翻訳に携わるものとして、そのefficacy(自己評価)が一変するように信じます。 世の中には、お金を稼ぐだけなら、翻訳者より稼げる職業は山とあるでしょう。 しかし、皆さんが、そして、BABELグループが翻訳という仕事を選んだ理由、その意味を今一度、自らに深く問いかけてみたいと思います。 バベルが、42年に亘り、バベル翻訳専門職大学院、バベルプレス、ブックス&ライツマーケットプレイス、翻訳者派遣・紹介業、翻訳サービス等の事業を行い、今、『The library for Professional Translators』、そしてその発展としての『地球図書館(Babel Library)』創りを進めようとしているのは、まさにバベルの使命と信じる翻訳のもつ地球的、宇宙的意義に気づいたからです。 皆さんも、この機会に‘私は、今、なぜ翻訳なのか’を改めて自らに問いかけてみてはいかがでしょうか。そこから再出発するのも回り道とはならないでしょう。 では、次々回から、5つのワークシートの作成方法を解説していきます。それまでに、あなたのドメイン(あなた固有の専門領域)について思いを巡らし、あなた自身の エフィカシーを意識してみましょう。

    WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻160号より

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