‘翻訳的ものの考え方’(翻訳者意識)で世界を変える

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

「世界が一つの言葉を取り戻す」再考 バベルと長いお付き合いの方はバベルの塔の神話をご存知のかたは多いことでしょう。
しかし、バベルの塔の神話の真のメッセージは必ずしも人間の傲慢を諌めることだけではないというところから出発したいと思います。 それは、20年以上前にオーストラリアの書店で見かけた子供向けの聖書に書かれた解釈でした。 神は、人が、ひとところに止まらず、その智恵と力を世界に広げ繁栄するようにと願い、
世界中に人々を散らしたという解釈でした。すると、かれらはその土地、風土で独自の言葉と文化を育み、世界中に多様な言語と文化を織りなす、一つの地球文化を生み出したのです。
しかし、もともとは一つだったことば(文化)ゆえに翻訳も可能であるし、弁証法的に発展した文化は、常に一定のサイクルで原点回帰をしているので、ただ視点を変えるだけで、結局、同じことを言っていることが分かるのではないでしょうか。 しかし、人間のエゴの働きと言えるでしょうか、バベルの塔のころからの傲慢さゆえに、 自文化が一番と考えることから抜けきれないでいると、もともと一つであるものでさえ見えず、理解できず、伝える(翻訳)ことさえできなくなってしまうのかもしれません。 翻訳の精神とは、自らの文化を相対化し、相手文化を尊重し、自立した二つの文化を等距離に置き、等価変換する試みであるとすると、この過程こそ、もともと一つであったことを 思い返す試みなのかもしれません。 「世界が一つの言葉を取り戻す」、それは決してバベルの塔以前のように、同じ言語を話すことではないでしょう。それは、別々の言語をもち、文化を背負ったとしても、相手の文化の自立性を尊重し、その基底にある自文化を相対化し理解しようとする‘翻訳者意識’を取り戻すことなのではないでしょうか。 バベルの塔の神話はそんなことまでも示唆しているように思えます。 また、ここに翻訳の本質が見えてきます。 あるテレビ番組で、日本料理の達人がルソン島に行き、現地の子供の1歳のお祝いの膳を用意するという番組を観ました。おそらく番組主催者の意図は世界遺産となった日本料理が、ガスも、電気コンロもない孤島で通用するかを面白く見せようとしていたのでしょう。 この日本料理の達人は自らの得意技で様々な料理を、現地の限られた食材を使い、事前に現地の人々に味みをしてもらいながら試行錯誤で料理を完成させいくというストーリーでした。そして、最後は大絶賛を得られたという番組でした。 しかし、かれはその間、自ら良しとする自信作で味みをしてもらうわけですが、一様にまずいと言われてしまいます。しかし、何度も現地のひとの味覚を確認しながら、日本料理を ‘翻訳’していくのでした。そこには自文化の押し付けもなければ、ひとりよがりの自信も見られません。ただ、現地のひとの味覚に合うよう、これが日本料理という既成概念を捨て、日本料理を相対化し、自らのものさしを変えていくのです。 世界には7,000を越える言語、更にそれをはるかに越える文化が有るなか、翻訳者が翻訳ができるとはどういうことなのでしょうか。 翻訳ができるということは、もともと一つだからであり、
翻訳ができるということは、具象と抽象の梯子を上がり下がりできるからであり、
翻訳ができるということは、自己を相対化できるからということでしょう。
例えば、世の中には様々な宗教があり、お互いを翻訳しえないと考えている方が多いのではないのではないでしょうか。 しかし、誰しも翻訳者であると考えてみましょう。翻訳者という役割が与えられた時点で、自らの言語、文化を相対化する必要があります。翻訳する相手の文化を尊重し、自国の文化を相対化し、相手の国の人々がわかるよう再表現をする。 「翻訳とは、お互いの違いは表層的なものであり、もともとは一つであることに気づき、お互いを認め、尊重し合う行為である」と考えられるでしょう。 翻訳こそ、鋭い感性と深い精神性をもつ日本人(日本語を母国語とするもの)に適した役割でしょうし、‘翻訳的ものの考え方’、すなわち翻訳者意識で世界を変える、これを先導するのがバベルの使命のひとつであると確信しています。 以上

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グローバル時代の英語教育を考える

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

40余年前、1974年に「英語教育大論争」が日本のマスコミを騒がせ、米国のNewsweek誌でも取り上げられたことを覚えている方はいらっしゃるでしょうか。
当時、私は熱心?に英語を勉強し、JTBで通訳をしていたこともあり、今でもその議論は鮮明に覚えています。 当時は、日本の経済も伸び盛り、世界第2位のGDPを誇っていました。 そんな時代に、英語教育は一部のもの(国民の5%)に提供すればよいとした元外交官、当時自民党参議院議員の平泉渉氏は、
  ・英語教育の成果が上がっていないのは、不効率な教え方で受験英語を強制しているから
  ・高校の外国語課程は志望者のみにして、大学入試に外国語を課さなくてもよい
  ・志望者には毎日2時間以上、毎年1か月以上の集中訓練を行い、「技能士」の称号を設ける

と主張、    一方、積極的推進派の先鋒の上智大学名誉教授の渡部昇一氏は、これを亡国の英語教育改革試案として、
  ・平泉案は現状分析から結論に至るまで、すべて誤解と誤謬で成っている
  ・英語教師は伝統的な方法(英訳、英作文、文法)にゆるぎない自信を持て
  ・英語学習は知力の極限まで使ってやる母国語との格闘である
  ・外国語によって知をひらくのは聖徳太子以来の日本の伝統である

と主張しました。 一方、現在に目を転じると、教育再生を掲げる安倍内閣は2020年から小学校5年生を対象に英語を教科化し、大学入試にはTOEFLを導入すると言い、各界で物議を醸し出しています。 ことほど左様に、今の日本においても、未だに平泉氏VS渡部氏のこの40年前のディベートは古びていないと感じるのは私だけでしょうか。 翻って、英語を背景とする日本の経済環境は
・マーケットの縮小
・インターネットビジネスによる英語情報の氾濫
・アジアビジネスの英語化

と当時と状況は大きく変化しています。 また、世界はボーダレス化の反動として、アイルランド問題をはじめとするローカル問題が際立ってきています。
言わば、多様化、Boundary Spanningの時代に突入したわけです。 とすると、これからの英語教育はどうあるべきでしょうか。 楽天を典型に、英語の社内公用語化がマスコミを騒がせ、海外のビジネススクールのケーススタディの素材になっていると聞きます。
しかし、日本人同士が、業務の生産性を落とすリスクを負ってまで英語でコミュニケーションをとることがはたしてモデルと言えるのでしょうか。100年たっても、企業内で日本人同士が英語でコミュニケーションをとる時代は来ないように思います。 とすると、このグローバル化、そして、多様化の時代に英語教育はどうあるべきでしょうか。日本語(国語)教育の必要性はもちろんのこと、英語そのものの教育以前に必要なことがあるのではないでしょうか。そもそも英語力はその母国語としての日本語力を凌ぐことはないわけですから。 この分野の第一人者、渥美育子さんはこれを世界共通教育と称し、自文化をはじめとして、世界各国の歴史に根づく価値観、文化観を共有することが必要と説きます。 ここで敢えて、翻訳的観点から言わせていただくとすれば 価値観が多様化し、異文化対応が要求される状況では
 ・使う英語も一種、グロービッシュを志向するPlain English(バベルではこの英語教育を20余年にわたって実施しています)を採用すべきでしょうし、また、お互いの文化、言語を尊重したうえでの
 ・教育的通訳
 ・教育的翻訳
の導入を主張したいと考えます。
2つの言語を等距離で変換できる通訳的、翻訳的教育が今後求められていくように思います。
そして、その先に見えてくるのが、バベルグループが10年来主張していますBilingual Managementです。 Globally Integrated Stageに在る在日外資系企業は多国籍企業グループの一員として、社内の日本人間のコミュニケーションは日本語でありながらも世界のグループ各社間のコミュニケーションはもちろん、英語話者が会議に一人でもいるときは英語に切り替えるといったバイリンガルマネージメントを当然のように採用しています。 日本企業のうち電機、自動車などの先進型海外進出企業は長く日本国内においては日本語、海外進出先においては英語、といった分離した二言語による経営運営をしていましたが、グローバリゼーションの進行によって一挙に国内海外一体経営体制が進められ、上記のような日本語と英語によるバイリンガルマネージメントが進行しています。 グローバル3.0(自分のルーツを意識したコスモポリタニズム)を引き合いに出さずとも、企業が効率、効果的に、自らの根っこを大事に企業運営していくことが必要な時代ではないでしょうか。 以上

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バーチャル・ワーク 新しい働き方は‘いつでも、どこでも’

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

先々回に、本誌で「米国の教育の新潮流 CBE ― 型にはまった教育からの脱却」と称して、教育の形態が従来のキャンパススタイルで行われる縛りの多い教育から遠隔教育に代表される自由な形態に移行しつつあることを書きました。 それは、Competency Based Education(CBE)、教材、教室、単位、修学時間、修学年限、単位当たりの学費といった旧来の教育の枠組みを越えて、目標とするCompetency、すなわち、知識、能力、態度といった統合的目標に基づいて学習効果を評価、達成しようとする試み、いわば、学習者主体の自由な教育の形態を志向していると書きました。 Competency Based Education には、
1. 教材より評価主体、評価重点
2. 資格認定試験との連携
3. 産学連携、キャリア重視の教育
4. 自由度が高い科目選択
5. 教えるというよりメンター的指導を重視
6. 先行学習評価を加味、すなわち実績を考慮 いずれも、バベルの翻訳専門職大学院という遠隔教育で実現しようとしている方向と一致しています。 今回は、‘学び方’から、‘ 働き方 ’を考えてみたいと思います。
しかし、このテーマも面白いように、そのパラダイムを同じくしていることに気づきます。 すなわち、働くもの主体の自由な就業の形態です。 これを称して、ロンドンビジネススクール教授、Lynda Grattonはバーチャル・ワーク 第3の波としています。
The Third Wave of Virtual Work 第一の波 バーチャル・フリーランサー
1980年代より、インターネット、eメールネットワークの普及により、翻訳者をはじめ、その高い専門スキルを武器にインディペンデント・コントラクターとしてフリーランス共同体を形成するようになりました。 第二の波 バーチャル社員
9・11等も契機となり、社員がオフィスに集まらなくてもオペレーションの継続性を維持し、一定の成果を上げる方法が模索されました。
結果、バーチャル・ワークは企業と社員双方の利益になるよう工夫されてきました。
結果、IBMでは社員の内、リモート・ワーカーが45%を上回るようになったといいます。 第三の波 バーチャル・コワーカー
バーチャル・ワークにより失われがちなチームワーク、コラボレーション、暗黙知の共有を、コワーキング・スペース(コラボレーションする作業空間)を設けて、これを補うようになっています。  今や、出勤して職場にいることをもって自己アピールする時代は終わろうとしていると言うことでしょうか。
 `Presenteeism’ has come to mean showing up at an office even when you could be more productive elsewhere. しかし、落ち着くところ、バーチャルな自由な働き方とリアルな顔を合わせての働きの双方を適度に融合する働き方が望ましいということでしょうか。 バベルグループの働き方がまさにこの路線に乗っていることに気づくとともに、‘働く’を生きると融合した、自由で、愉快な人生を送りたいと改めて願います。 以上

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‘グローバル人材’は英語とは無縁―というのは言い過ぎですが

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

2018年からの小学5年生に対する英語教育導入の周辺には、会社内の公用語の英語化と並んでグローバル化の方向性をややはき違えているような議論があるように思います。 日本が経済力、技術力、文化力、社会力で世界のトップレベルに至ったのはなぜなのか、この機会に改めて、我々が持つ文化遺産(日本語、日本文化、翻訳)を見直してみたいと考えます。 おかげさまの認識が足りないと言えないでしょうか。 先人から受け継いだ知的資産に対する感謝の気持ちをしっかりと受け止めてまず、我々は何をすべきかを考えたいと思います。 翻訳文化、‘方法翻訳’という資産
・6,7世紀から中国文明を消化、吸収するに中国文化を和漢折衷で受け入れ、真名、仮名、文化を作り上げ
・明治維新以降、先人、福澤諭吉、西周、森有礼等々が、西欧文化、技術、制度、法律等、日本にない抽象概念を数々の翻訳語を創って受け入れてきた実績
・そして、ロシア文学をはじめ世界中の古典を翻訳で読める稀有な国日本 日本語、日本文化という資産
・50万語という世界一豊かな語彙をもつ日本語。英語は外来語の多くを含んでの50万語、ドイツ語35万語、仏語10万語。言霊の幸はふ国日本
・古事記、日本書紀、万葉集など、1000年前文献を読める日本。英米では古代ギリシア語、ヘブライ語が読めないと当時の作品は読めない
・世界200の国、6,000以上の民族、6,500以上の言語の内、50音の母音中心に整然と組み立てられ、・平仮名、片仮名、アルファベット、漢数字、ローマ数字等多様な表現形式を持つ稀有な言語、日本語
・脳科学者角田忠信が指摘しているように、子音を左脳、母音を機械音、雑音と同じ右脳で処理、また、小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音をノイズとして右脳で受けている西欧人。対して、子音、母音、さらには小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音までも言語脳の左脳で受け止める日本人
・ユーラシア大陸の東端で、儒、仏、道、禅、神道文化を発酵させ、鋭い感性と深い精神性を育んできた日本
・「日本語の科学が世界を変える」の著者、松尾義之が指摘しているように、ノーベル賞クラスの科学の発明は実は日本語のおかげ しかし、一方、榊原英資氏はその著「日本人はなぜ国際人になれないのかー翻訳文化大国の蹉跌」で翻訳によって日本人の国際性が削がれたと言いますが、それ以上に余りある資産を翻訳によって手に入れたはずではないでしょうか、 経済大国
文化大国
科学大国 東洋思想の集積地として
するどい感性と
深い精神性を獲得した日本人
こうして翻訳立国を果たしてきた我々はまず何をすべきなのでしょうか まずは、先人が作った‘方法翻訳’を構築し、翻訳のプロフェショナリズムを確立することが先決ではないでしょうか。 バベルはこの40年にわたり、翻訳のプロフェショナリズムを確立するために以下に専念してきました。それは、 1. 翻訳者の資格の確立―翻訳専門職大学院(修士号)、翻訳資格
2. 翻訳会社の品質認証の確立
3. 翻訳高等教育の確立と翻訳教育専門の品質認証(Professional Accreditation)の確立
そしてこれらのゴールの先に、グローバル人材が活躍できる環境、ソフトインフラが整備されると考えます。 間もなく施行されるEU発の翻訳の世界基準、ISO17100の検討会議で、翻訳立国である日本に翻訳の大学、学部がないというので恥ずかしい思いをしているのは私だけではないでしょう。 こうして翻訳のプロフェショナリズムを確立し、翻訳者、更には通訳者を自在に活用する環境をつくることです。大事な場面では中途半端な英語を使って臨むより、プロの翻訳者、そして通訳者を活用すべきです。 また、翻訳教育と通訳教育は全く別物ではなく、同じ教育機能のなかで行うことができるものです。誤解を恐れず言えば、通訳技術に深みを付加するのが翻訳技術とも言えるでしょう。英語のTranslateという言葉は通訳と翻訳の区別がないことでもこれは容易に想像できます。 翻訳のプロフェショナリズムの確立、これが日本のグローバル化にとって最優先事項と考えます。 バベルはプロの翻訳力は、5つのコンピタンスから成ると考えます。従って、バベルの米国翻訳大学院のカリキュラムは以下の5つから成っています。 1. Language Competence(翻訳文法、Plain English)
2. Cultural Competence(国際教養、リベラルアーツ)
3. Expert Competence(専門知識)
4. IT Competence(リサーチ力、DTP編集力)
5. Managerial Competence (起業、プロジェクトマネージメント力)
また、受信型の翻訳のみならず、発信型の翻訳に重点を置いています。 その柱となるのがLanguage CompetenceにおいてはPlain English、Plain English(Globish)の運用力が備わっていれば口頭でも十二分に発信できると考えています。なぜなら、Plain Englishの目標は、
Write as you talk.
Talk as you write.
だからです。 そして、翻訳のプロフェショナリズムの確立のうえで,中学生、高校生、大学生に対するグローバル教育を考えてみたいと思います。 バベルは中学生、高校生、大学生の教科に、‘教育的翻訳’を、そして‘教育的通訳’を取り込むべきであると考えています。 ‘教育的翻訳’というと馴染みがないと思いますが。 教育的ディベート(Academic Debate)をご存知でしょうか。バベルでも90年代に約10年間、米国のディベートチャンピオンとコーチ(教授)を日本に招請して、日本全国での教育的興行を全面的に後援しておりました。日本語と英語でディベートを行い、ディベートの効用を謳ってきました。当時は、松本茂先生(バベルプレスで「英語ディベート実践マニュアル」刊行、現立教大学経営学部国際経営学科教授、米国ディベートコーチ資格ホールダー)、故中津燎子先生(「なんで英語やるの?」で大宅壮一ノンフィクション賞受賞)にお力添えをいただいておりました。 ‘教育的ディベート’とは、論理構成力を涵養する教育の手段としてディベートの手法を活用しようという考え方でした。 従って、ここで私が言う、‘教育的翻訳’では、プロ翻訳家の養成という意図はありません。ここでは理解していただくために、その例をお伝えします。 私が前職(JTB外人旅行部)からバベルに転職したときのバベルの面接官が、当時教育部長をされていた故長崎玄弥先生でした。長崎先生は海外に行くこともなく、英語を自由に操る天才的な方でした。当時は奇跡の英語シリーズで100万部を越えるロングセラーを執筆されておりました。その面談では急に英語に切り替わって慌てた覚えがあります。その長崎先生と翻訳に関するある実験的な試みをしました。 当時、中学の1,2年生を7,8人募集して、中学生に翻訳(英文解釈、訳読ではない)の授業をするという試みでした。週に2,3回、夕方を利用して、かれらに英米文学(ラダーエディション)の翻訳をさせたのです。詳細は置くとして、それから約1年後は、なんと彼らの英語、国語、社会の成績が1,2ランク上がったのです。英語の成績が上がるのは当然としても、社会、国語の成績が上がった時は、翻訳という教育の潜在力を実感したものです。あれから20余年、‘教育的翻訳’を考えるに時が熟して来たと感じています。 現在の英語教育では、文法訳読形式が否定され、コミュ二カティブな英語教育が推進されるなか、その実効性が上がらないのを目の当たりにして、明治時代以前の教育にも見られる「教育的翻訳」の必要性をうすうす感じているのは私だけではないのかと思います。 また、コミュ二カティブな英語力を涵養するのに‘教育的通訳’が有効であることを、バベルでの企業人向け語学教育のなかで実感してきました。 これは後に、上智大学の渡辺昇一先生(現上智大学名誉教授、書籍「知的生活の方法」で一世を風靡)が、その実効性を検証する大部のレポートを発表されておりました。 話が横道に逸れてしまいましたが、この‘教育的翻訳’の普及が、母国語と外国語の習得、異文化理解、異文化対応、感性の涵養等に役立つと確信します。 もちろん、当時行った‘教育的翻訳’は、上記の翻訳教育の5つのコンピタンスから言えば、一番目のLanguage Competenceと若干のCultural Competenceにとどまるものでした。 従って、今後は、中学生にとどまらず、高校生、大学生を対象とする、‘教育的翻訳’においては以下の5つのコンピタンスをそれぞれのレベルに合わせてアレンジすることが必要と考えます。 Language Competence(翻訳文法、Plain English― 受信と発信力)
Cultural Competence(国際教養、リベラルアーツ)
Expert Competence(専門知識)
IT Competence(リサーチ力、DTP編集力)
Managerial Competence (起業、プロジェクトマネージメント力)
そして、ここに‘教育的通訳’を付加することによって、いわばゲーム感覚で口頭の言語能力が涵養されてくると考えます。 そしてこうして培った能力の土台には、 自文化に対する相対化力

異文化に対する包容力

そして、異文化対応に対するしたたかさ が育まれていくように思います。
これらが、翻訳という行為、‘教育的翻訳’がもたらす学習効果と考えます。 なぜなら、翻訳とは、自らの文化を相対化し、相手文化を尊重し、自立したふたつの文化を等距離に置き、等価変換をする忍耐力を伴う試みだからです。 しかし、これこそがグローバル教育の基本精神と言えないでしょうか。
これが、私がグローバル教育は単なる英語教育にとどまらないと考える理由です。
以上

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‘バベルグループのグローバル翻訳サービス再編へ向けて’

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

バベルは40周年を契機に、15周年を迎える米国翻訳大学院をバックに、圧倒的に優位な専門別の翻訳サービスプロバイダー創りを準備中です。 ・出版翻訳サービスプロバイダー
・リーガル翻訳サービスプロバイダー
・IR翻訳サービスプロバイダー
・多言語・WEB翻訳サービスプロバイダー
・特許翻訳サービスプロバイダー
・医薬翻訳サービスプロバイダー
すでにバベルの様々な媒体でお伝えしてありますように、EU発のISO17100、翻訳の世界基準が4月24日に発行されました。 これは翻訳会社(翻訳者含む)として必須の基準ではありませんが、我々が目標とする一つの指標となります。 この観点では、まずは以下がグローバル翻訳プロバイダー(翻訳会社)としての第一の目標となります。 1.登録翻訳者の資格を確固たるものにする。
登録者がバベル翻訳大学院(USA)のマスターディグリーを保持していること。
https://www.babel.edu/
また、一般社団日本翻訳協会の翻訳検定試験で専門分野の2級以上を取得していること。
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_all.html 2.翻訳生産工程の品質管理を徹底する。
翻訳―リバイズ -レビュー -プルーフリードの工程順守。
*レビューは状況により判断する。
顧客の要望、翻訳生産効率、効果を考え必要な場合はCAT(Computer Assisted Tool)を活用する。 3.プロジェクトマネージメントの技術を獲得する。
プロジェクト管理者は日本翻訳協会実施のプロジェクトマネージャー資格基礎試験を取得、プロジェクト管理の基本を習得していること。
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm.html プロジェクトマネージャー資格基礎試験内容
1.時間管理(TIME MANAGEMENT)
2.人材管理 (PERSONNEL MANAGEMENT)
3.資源管理 (DATA & RESOURCES MANAGEMENT)
4.コスト管理 (COST MANAGEMENT)
5.顧客管理 (CLIENT MANAGEMENT)
6.コンプライアンス管理 (COMPLIANCE MANAGEMENT)
その上で、更に、翻訳サービスプロバイダーとしての絶対優位を獲得するために、以下を目標とします。 1.教育的機能の充実―教育的翻訳サービスプロバイダー
2.研究的機能の充実―研究的翻訳サービスプロバイダー
具体的には、以下を目標とします。 1. 教育的機能の充実
翻訳の仕事をしながら技術の向上を実現するために以下を実施する。
・翻訳者に対するリバイズ、もしくはレビューのデータのフィードバックの徹底
・大学院での継続教育機会を提供
・日本翻訳協会の資格検定を実力認定の基準とし、継続受験の機会を提供する 2.研究的機能の充実
翻訳サービスプロバイダーとしての研究機能強化し、翻訳技術力を向上する。
・クライアントへの貢献のための翻訳マーケット研究
・効率、効果的翻訳を実現するための翻訳テクノロジーの研究
・翻訳技術の進歩革新に対応できる翻訳教育の研究
・Bilingual Managementの方法研究 更には、翻訳業としてのプロフェショナリズムを高めるために今回の特集で触れているように登録翻訳者には、翻訳者の倫理、行動規範(Code of Conduct)を心掛けてほしいと考えています。 1.一般的規律
・一般倫理・法令順守
・品位
・情報の悪用の禁止
2.顧客との関係
・秘密保持
・専門職としての注意義務
・利益相反行為
・正直性
・説明責任
3.提供するサービス
・高い水準のサービス
・保証
・自身によるサービス
・監督責任
・手に負えないものを引き受けない責任
・サービス料金と内容・条件の開示
4.同業者との関係
・清廉性
・相互扶助と連帯
・同業者の批評
・職業基準の確立
5.水準の向上
・自己啓発
・査読及び校閲 バベルグループがめざす専門別グローバル翻訳サービスプロバイダーは米国翻訳大学院、翻訳研究所と連携を図り、規模の利益を追わず、真に日本の翻訳業界、世界の翻訳業界を先導する組織でありたいと考えています。
関係者の方々の協力を改めてお願いいたします。 以上

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ISO17100(翻訳の国際規格)4月24日に発行!!翻訳者の資格、そして翻訳プロジェクト・マネージャーの資格が問われる時代に突入!!!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

翻訳の世界基準ISO17100が去る4月24日に発行されました。 本稿では、ISO17100 とバベル翻訳大学院(USA)が受験を推奨している「翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験」(一般社団法人日本翻訳協会主催)との関係を整理させていただきます。 ISO(国際標準化機構、本部ジュネーブ)とは、様々な国際技術規格を世界標準とすべく、規格を策定、世界に普及させようとしている団体です。 このなかに、TC(Technical Committee)37という言語、内容及び情報資産の標準化をめざす専門委員会が設置されています。その下にはいくつものSC(Sub Committee)が設置されています。このISO17100もこの中で検討され、4月24日に翻訳の国際規格、ISO17100( Requirements for Translation Services)として発行されました。 この業界で長い方はご承知かと思いますが、ISO9001という品質マネージメント規格は、ローカリゼーション翻訳の世界では、国際規格として採用され、翻訳会社( Translation Service Provider) によってはこの認証を取得して、クライアントにたいする営業のブランド力として活用していました。しかし、その後、これは翻訳の業界にはそぐわないとして欧州規格EN15038が創られ、これが次第に欧州各国に浸透するようになりました。
そこでISOはこのEN15038をベースとして、ISO17100の開発に踏み切ったという訳です。 このISO17100を順守することは翻訳者、翻訳会社として必須の条件ではありませんが、一つの目安となります。また、‘翻訳のプロフェショナリズム’の確立という意味でも大事な視点を含んでいます。 まず注目すべきは、このISO17100は翻訳会社のみならず、翻訳者、チェッカー、クライアント、その他のステークホールダーを巻き込んだ規格であるということです。 また、この規格では翻訳者の資格(Qualification of Translators)、そしてチェッカー、リバイザー、レビューアーの資格を明確にしようとしていることです。すなわち、翻訳者、翻訳関係者を社会的に認知させるという視点もベースにもっているということです。 翻訳者の資格(Qualification of Translators)には、
(1) 翻訳の学位(大卒資格)
 *日本には翻訳の学士号さえありません。
  バベル翻訳大学院で授与されるのは米国の翻訳修士号です。

(2) 翻訳以外の学位(大卒資格)+実務経験2年
 *経験の基準があいまいなままです。
(3) 実務経験5年
 *経験の基準があいまいなままです。
( 政府認定の資格を有する) 
 *これは最終段階ではずれましたが、資格の重要性を指摘しています。

のいずれかが必要と謳っています。 また、翻訳プロセスについても
Translate
⇒ Check
⇒ Revise
⇒ Review
⇒ Proofread
⇒ Final Verification
とその品質確保の要求プロセスを規定しています。
*Reviewはオプション これらの要求項目は、まさに業界とそれを取り巻くクライアント、エンドユーザーが一体とならないと達成できないことです。翻訳の品質を一定に保つためにはこれらの視点、プロセスが必要であることをクライアントが納得していただけなければならないわけで、それがなければ翻訳業界の発展も見込めないわけです。 ここで本題に入りますと、30余年の歴史を経た日本翻訳協会では、翻訳者、翻訳プロフェショナルの能力評価として様々な検定試験を実施してまいりました。 ●翻訳専門職資格試験(日英・英日、中日・日中、独日、仏日)
●翻訳プロジェクト・マネージャー資格試験 
●ビジネス翻訳能力認定試験
   ・ IR / 金融翻訳能力検定試験
   ・ リーガル翻訳能力検定試験
   ・ 医学 / 薬学翻訳能力検定試験
   ・ 特許翻訳能力検定試験
●出版翻訳能力認定試験
   ・シノプシス検定試験
・絵本翻訳能力検定試験 
   ・ヤングアダルト・児童書翻訳能力検定試験
   ・エンターテインメント小説翻訳能力検定試験
   ・ロマンス翻訳能力検定試験
   ・スピリチュアル翻訳能力検定試験
   ・一般教養書(ビジネス関連)翻訳能力検定試験
   ・一般教養書(サイエンス関連)翻訳能力検定試験 ここで、今回、ISO17100に寄せて特にご紹介したいのは、『JTA公認 翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験』です。 本試験では、4肢択一方式で以下の6つの分野の翻訳プロジェクトマネージャーとしての管理能力を審査、認定する試験を実施しています。
      1.時間管理(TIME MANAGEMENT)
      2.人材管理 (PERSONNEL MANAGEMENT)
      3.資源管理 (DATA & RESOURCES MANAGEMENT)
      4.コスト管理 (COST MANAGEMENT)
      5.顧客管理 (CLIENT MANAGEMENT)
      6.コンプライアンス管理 (COMPLIANCE MANAGEMENT)
ご承知のように、限られた時間内に大量の翻訳データの処理を要求される時代においては、複数の翻訳者、チェッカー等を束ねて、翻訳プロジェクトを結成して翻訳を進めるのはビジネス分野の翻訳に限らず、出版翻訳においても当然のプロセスとなります。 更に言えば、翻訳会社(Translation Service Provider)そのものが翻訳プロジェクトそのものであるといっても過言ではありません。 すなわち、翻訳会社(Translation Service Provider)とは
      1.時間管理(TIME MANAGEMENT)
      2.人材管理 (PERSONNEL MANAGEMENT)
      3.資源管理 (DATA & RESOURCES MANAGEMENT)
      4.コスト管理 (COST MANAGEMENT)
      5.顧客管理 (CLIENT MANAGEMENT)
      6.コンプライアンス管理 (COMPLIANCE MANAGEMENT)
のベストプラクティスをめざすビジネス組織体であると言っても過言ではありません。
従って、本題のISO17100と『JTA公認 翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験』の関係を整理してみるとこうなります。 以下の分析データをご覧下さい。以下のような比較分析ができます。(多少の誤差はあるかもしれません) 1.ISO17100の規格がカバーしている翻訳プロジェクトマネージメント (「翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験」)の範囲       ①時間管理 75%
      ②人材管理 90%
      ③資源管理 80%
      ④コスト管理15%
      ⑤顧客管理 50% 
      ⑥コンプライアンス管理 20%
2.ISO17100の前の段階ISO11669の規格がカバーしている翻訳プロジェクトマネージメント(「翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験」)の範囲       ①時間管理 70%
      ②人材管理 60%
      ③資源管理 80%
      ④コスト管理50%
      ⑤顧客管理 80% 
      ⑥コンプライアンス管理 30% ここで言いたいことは、上記の分析で明らかなように、ISO17100は、コスト管理、顧客管理、コンプライアンス管理を重視していない、すなわち、あくまでも翻訳工程管理の規格であり、必ずしも、翻訳ビジネスそれ自体の標準化を含んだ規格ではない、ということです。 その点、日本翻訳協会の翻訳プロジェクト・マネージャー資格試験は、
      翻訳のQuality Standard
      翻訳のBusiness Standard
をカバーした翻訳ビジネスの全体をカバーした資格認定試験であるということです。 日本の翻訳会社のベストプラクティスは世界のどの翻訳会社も追従できないレベルと確信しています。このことを世界に認知させるためにも、多くの翻訳者、翻訳会社の方々が本試験を受験されて、共に、翻訳プロジェクトマネージメントの世界基準を構築したいと考えています。 次回の「翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験」は7月11日実施です。 また、待望の「翻訳プロジェクト・マネージャー資格試験」の上級試験(ケーススタディ方式)が今年9月12日に実施が予定されています。
http://www.jta-net.or.jp/about_pro_exam_tpm_2.html
バベルの院生、修了生は人数の限定がありますが、特待価格で受験できます。
お早めにお申し込みください。 以上

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– 副学長から聞く - 翻訳専門職大学院で翻訳キャリアを創る方法

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海外からも参加できるオンライン説明会

◆ 卒業生のキャリアカウンセリングを担当する副学長が、入学及び学習システムからカリキュラム、各種奨学金制度、修了生の活躍、修了後のフォローアップなどを総合的に説明いたします。

◆ 海外在住の方にも参加いただけるように、インターネットweb会議システムのZoomを使って行います。 奮ってご参加ください。Zoomのやさしい使い方ガイドはこちらからお送りします。

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世界で働く翻訳者の条件 ― 世界のイチローをめざす!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

皆様は翻訳者として未だ国内という枠に縛られて仕事をしていませんか。 ・取引先(クライアント、翻訳会社)はトランスナショナルにしていますか。
・トランスナショナルなプロジェクトに参加した経験はありますか。
・報酬は円、ドル、ユーロいずれで受けていますか。 Nomadワーカーという言葉も聞いたことがあるかと思いますが、企業に先行して個人がますます国の枠を越えた新しい就業形態を定着させつつあるように思います。
ましてや、翻訳者という職業を考えると、一国の枠を越えて就業することは当たり前の時代になりつつあります。 次月の本誌The Professional Translatorの特集では、4回にわたり、トルコ在住の‘グローバルトランスレータ’であるハクセヴェルひろ子さん(米国バベル翻訳大学院修了生)、そして、世界中で翻訳、通訳業を営む、バベルの院生、修了生から、翻訳者として国を跨いで働く上でのノウハウを語っていただきます。 以下は、来る9月2日に、ハクセヴェルひろ子さんが日本翻訳協会主催のセミナー「世界で働く翻訳者の条件」で講演される内容です。 http://www.jta-net.or.jp/seminar_global_translator.html 1.グローバルトランスレーターになろう
・円高はチャンス?
・ISO17100:2015の発行で翻訳業界はどう変わるか 2.グローバル翻訳市場の最新状況
・グローバル翻訳市場の二極化と求められる翻訳者像
・自分で働き方を決める 3.グローバル翻訳市場で活躍するには
・翻訳支援ツールの使いこなしと生産性
・自分を売り込むためのマーケティングスキル 4.グローバル翻訳市場に存在するリスクとリスク管理
・リスクの種類(国別、ウェブサイト偽装、PC)
・リスクを軽減するには 前後はしますが、翻訳者個人の仕事の仕方の前に、翻訳の仕事の発注もとである企業が現在どういう状況にあるか、そこから話を始めましょう。 企業活動のグローバル化への進化という視点から見てみましょう。 企業のグローバル化の4つの進化ステージ
1.Domestic Stage
2.International Stage
3.Multinational Stage
4.Globally Integrated Stage 一般的に企業は、国内で作り、国内で売る、国内マーケットからスタートし、第2ステージでは、「海外で作る・海外で売る」、すなわち、本社にすべての機能が集約され、海外子会社が製造、販売等の一部の機能を担当するステージへと移ります。
そして、第3ステージでは「海外への権限委譲」が進み、本社には共通機能のみが集約され、自律的子会社が設立されることになります。
そして、第4、最終ステージでは、「地球でひとつの会社」、世界中で一番ふさわしい場所にそれぞれの機能を分散させ、最適地で経営資源を調達する段階となります。 こうして、企業の進化過程を見ますと、皆さんがお仕事を受注している、もしくはしようとしている企業が現在、どのステージにあるかを考えてみましょう。 そして皆さんが次に考えるべきは、こうした企業の進化の段階によってどんな文書が発生するかということです。そのためには、まず、購買・仕入⇒製造⇒出荷・物流⇒販売・マーケティング⇒回収という、企業の基本ビジネスサイクルでどんな文書が発生するかを改めて考えてみましょう。 そして、次に、このビジネスサイクルを側面からささえる機能
   法務
   会計・税務
   インフラ管理
   人事・労務
   研究開発・知財
の分野で、どんな翻訳が発生するかを考えてみましょう。翻訳の仕事をデザインするには
まず、相手(クライアント)を知ることが必要です。 さて、ここで本題に戻ります。 世界で働く翻訳者の条件を考えるには、対処療法的な視点ではなく、
まず『My marketを創る』ことから始めましょう。

すなわち、あなたのUNIQUENESSをベースに自分の生存領域を創ることが先決です。 以下が、バベルの大学院の専攻ですが、皆さんはどのマーケットでどんな翻訳者をめざしているのでしょうか。できれば、以下の5つの更に下位の分野まで落とし込みましょう。
その上で、その分野の周辺に職域を拡げることは健全なアプローチです。 ・出版翻訳マーケット
・金融・IR翻訳マーケット
・特許・技術翻訳マーケット
・医薬・バイオ翻訳マーケット
・法律翻訳マーケット そして、そのドメインが決まったら、もう関係者には耳たこでしょうが、以下の3つの翻訳者として成功するための3つのブランディング確立することです。 1つ目は、マスター・ディグリーを取得する!!
ISO17100でも、翻訳者たるもの翻訳のデグリーを持つことを第一要件としています。ご承知のように、バベルの翻訳大学院の修士号(MST)は米国教育省が認可した教育 品質認証団体 ( DEAC ) のメンバー校として米国連邦政府が認証する資格です。 2つ目は、翻訳書を出版する!!
翻訳出版することが翻訳者としての強力なブランディングです!!ビジネス翻訳者というと得てして、出版翻訳とは無縁と考えがちですか、とんでもない。文芸分野はもちろん、金融IR、特許・医薬・技術、リーガルなど社会、自然科学分野の書籍で翻訳されるのを待っている出版物は数限りなくあります。 3つ目は、翻訳の世界標準資格をとる!!
翻訳力の第三者認証を受けることが第三の強力なブランディングです。 翻訳の修士号(MST)取得に加え、翻訳業界の世界標準資格を取得してください。
業界で30余年の実績を持つ一般社団法人日本翻訳協会が実施する翻訳専門職資格試験、翻訳出版能力検定試験、翻訳ビジネス能力検定試験、翻訳プロジェクトマネージャー試験等、ご自身の専門とする分野の資格を取得ください。
http://www.jta-net.or.jp/index.html 世界で働くためのリスクマネージメントを考える以前に、以上の3つのブランディングが不可欠です。 The Professional Translatorの次月からの特集は、海外で翻訳者として働く際の、リスクマネージメントを主体に話を進めていきます。 忘れてはいけないのは、まず、しっかりとした自身のキャリアデザインです。 自らを知り、自らを信じ、その生き方を自分流にデザインし、これを生き切るイチローのような生き方です。パワーヒッターが多い大リーグにあって彼は長打をめざさず、俊足を生かし、ヒットメーカーという独自の路線を創りだし世界のオンリーワン、いや世界一を実現しているのです。 以上

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いまこそ、翻訳の意義と価値を見直すときでは ― 安易な英語化は日本を滅ぼす?!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

昨年8月に内閣官房管理下のクールジャパンムーブメント推進会議が「公用語を英語とする英語特区をつくる」という提言をしました。これに対して、九州大学准教授の施光恒(せてるひさ)さんは、英語化は日本人の愚民化政策と批判しました。 また、夏目漱石は「英語で行っていた明治初期の教育は一種の屈辱であった」とまで言ったと言います。 経済学者水野和夫氏は、英語を使えるかどうかで国民に分断を持ち込み、格差社会化を進展させ、日本国民の一体感も失わせると言います。 津田幸男氏は英語化の進展は世界を不当な、英語圏諸国を上層に置く英語支配の序列構造のもとに落とし込んでしまうと主張しています。 前号で触れたように、文部科学省が大学に文化社会学部、教養はいらないから職業訓練校にしろというのも、日本人を英語支配の序列構造の最下層の沈黙階級へ貶めるものと言えそうです。 また、2018年からの小学5年生に対する英語教育導入の周辺には、会社内の公用語の英語化と並んで、グローバル化の方向性をややはき違えている議論がまかり通っているように思います。 日本が経済力、技術力、文化力、社会力で世界のトップレベルに至ったのはなぜなのか、この機会に改めて、我々が持つ文化遺産(日本語、日本文化、翻訳)を見直してみたいと考えます。 おかげさまの認識が足りないと言えないでしょうか。ここで先人から受け継いだ知的資産について考えたいと思います。 翻訳文化、‘方法翻訳’という資産
・6,7世紀から中国文明を消化、吸収するに中国文化を和漢折衷で受け入れ、真名、仮名、文化を作り上げ
・明治維新以降、先人、福澤諭吉、西周、森有礼等々が、西欧文化、技術、制度、法律等、日本にない抽象概念を数々の翻訳語を創って受け入れてきた実績
・そして、ロシア文学をはじめ世界中の古典を翻訳で読める稀有な国、翻訳大国日本 日本語、日本文化という資産
・50万語という世界一豊かな語彙をもつ日本語。英語は外来語の多くを含んでの50万語、ドイツ語35万語、仏語10万語。言霊の幸はふ国日本
・古事記、日本書紀、万葉集など、1000年前文献を読める日本。英米では古代ギリシア語、ヘブライ語が読めないと当時の作品は読めない
・世界200の国、6,000以上の民族、6,500以上の言語の内、50音の母音中心に整然と組み立てられ、・平仮名、片仮名、アルファベット、漢数字、ローマ数字等多様な表現形式を持つ稀有な言語、日本語
・脳科学者角田忠信が指摘しているように、子音を左脳、母音を機械音、雑音と同じ右脳で処理、また、小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音をノイズとして右脳で受けている西欧人。対して、子音、母音、さらには小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、風の音までも言語脳の左脳で受け止める日本人
・ユーラシア大陸の東端で、儒、仏、道、禅、神道文化を発酵させ、鋭い感性と深い精神性を育んできた日本
・「日本語の科学が世界を変える」の著者、松尾義之が指摘しているように、ノーベル賞クラスの科学の発明は実は日本語のおかげ しかし、一方で、榊原英資氏はその著「日本人はなぜ国際人になれないのか- 翻訳文化大国の蹉跌」で翻訳によって日本人の国際性が削がれたと主張します。しかし、日本はそれ以上に余りある資産を翻訳によって手に入れたはずではないでしょうか、 経済大国
文化大国
社会大国
科学大国
そして、東洋思想の集積地として
するどい感性と
深い精神性を獲得した日本人 こうして翻訳立国を果たしてきた我々は、先人が作った‘方法翻訳’を明らかにし、英語化を云々する前に、翻訳のプロフェショナリズムを確立することが先決ではないでしょうか。 バベルはこの41年にわたり、翻訳のプロフェショナリズムを確立するために以下に専念してきました。それは、 1. 翻訳者の資格の確立―各種翻訳能力検定の実施
2. 翻訳会社の翻訳品質管理と経営の技術の標準化
3. 翻訳高等教育(翻訳専門職大学院)の確立と翻訳教育専門の品質認証(Professional Accreditation)の準備
本年4月24日に発行されたEU発の翻訳の世界規格、ISO17100の検討会議で、翻訳立国、翻訳大国である日本に翻訳の大学、学部がないというので恥ずかしい思いをしているのは私だけではないでしょう。 こうして翻訳のプロフェショナリズムを確立し、翻訳者、更には通訳者を自在に活用できる環境をつくることです。大事な場面では中途半端な英語を使って臨むより、プロの翻訳者、そして通訳者を活用すべきです。 英語の公用語化という無意味な施策はいりません。100年たっても日本人同士が無意味に英語で会話をする光景は現れないでしょう。 私はむしろ、日本語と英語を大事にして、英会話教育ではなく、‘教育的翻訳’を、そして‘教育的通訳’に取り込むべきであると考えています。 ‘教育的翻訳’というと馴染みがないと思いますが。 教育的ディベート(Academic Debate)をご存知でしょうか。バベルでも90年代に約10年間、米国のディベートチャンピオンとコーチ(教授)を日本に招請して、日本全国での教育的興行を全面的に後援しておりました。日本語と英語でディベートを行い、ディベートの効用を謳ってきました。当時は、松本茂先生(バベルプレスで「英語ディベート実践マニュアル」刊行、現立教大学経営学部国際経営学科教授、米国ディベートコーチ資格ホールダー)、故中津燎子先生(「なんで英語やるの?」で大宅壮一ノンフィクション賞受賞)にお力添えをいただいておりました。 ‘教育的ディベート’とは、論理構成力を涵養する教育の手段としてディベートの手法を活用しようという考え方でした。 従って、ここで私が言う、‘教育的翻訳’では、プロ翻訳家の養成という意図はありません。ここでは理解していただくために、そのわかりやすい例をお伝えします。 私が前職(JTB外人旅行部)からバベルに転職したときのバベルの面接官が、当時教育部長をされていた故長崎玄弥先生でした。長崎先生は海外に行くこともなく、英語を自由に操る天才的な方でした。当時は奇跡の英語シリーズで100万部を越えるロングセラーを執筆されておりました。その面談では急に英語に切り替わって慌てた覚えがあります。その長崎先生と翻訳に関するある実験的な試みをしました。 当時、中学の1,2年生を7,8人募集して、中学生に翻訳(英文解釈、訳読ではない)の授業をするという試みでした。週に2,3回、夕方を利用して、かれらに英米文学(ラダーエディション)の翻訳をさせたのです。詳細は置くとして、それから約1年後は、なんと彼らの英語、国語、社会の成績が1,2ランク上がったのです。英語の成績が上がるのは当然としても、社会、国語の成績が上がった時は、翻訳という教育の潜在力を実感したものです。あれから20余年、‘教育的翻訳’を考えるに時が熟して来たと感じています。 現在の英語教育では、文法訳読形式が否定され、コミュ二カティブな英語教育が推進されるなか、その実効性が上がらないのを目の当たりにして、明治時代以前の教育にも見られる「教育的翻訳」の必要性をうすうす感じているのは私だけではないのかと思います。 また、コミュ二カティブな英語力を涵養するのに‘教育的通訳’が有効であることを、バベルでの企業人向け語学教育のなかで実感してきました。
これは後に、上智大学の渡辺昇一先生(現上智大学名誉教授、書籍「知的生活の方法」で一世を風靡)が、その実効性を検証する大部のレポートを発表されておりました。 話が横道に逸れてしまいましたが、この‘教育的翻訳’の普及が、母国語と外国語の習得、異文化理解、異文化対応、深みのある文化の熟成、感性の涵養等に役立つと確信します。 そして、ここに‘教育的通訳’を付加することによって、いわばゲーム感覚で口頭の言語能力(日本語・英語)が涵養されてくると考えます。 そしてこうして培った能力には、 日本語、日本文化という、自文化に対する相対化力
    と
英語、英語文化という異文化に対する包容力
    と
そして、異文化に対するしたたかな対応力
    と
文化の熟成と深み が備わっているように思います。
これらが、翻訳という行為がもたらす学習効果と考えます。 翻訳とは、自らの文化を相対化し、相手文化を尊重し、自立したふたつの文化を等距離に置き、価値の等価変換をする忍耐力を伴う試みだからです。 私がグローバル化は単なる英語化を越えるべきと考えるのはそのためです。 更に言えば、施光恒が主張するように、日本は、途上国が現地の言葉を使って近代化するための援助をしていくべきであると考えます。 日本は非欧米圏で初めて科学技術などを翻訳して近代化できたわけで、今のグローバル化=英語化と違う近代化の手伝いこそ、これから日本が誇れる国際貢献となると確信します。 以上

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翻訳者意識’で世界を変える

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

「世界が一つの言葉を取り戻す」 バベルと長いお付き合いの方はバベルの塔の神話をご存知のかたは多いことでしょう。 しかし、バベルの塔の神話の真のメッセージは必ずしも人間の傲慢を諌めることだけではないというところから出発したいと思います。 それは、20年以上前にオーストラリアの書店で見かけた子供向けの聖書に書かれた解釈でした。 神は、人が、ひとところに止まらず、その智恵と力を世界に広げ繁栄するようにと願い、 世界中に人々を散らしたという解釈でした。すると、かれらはそれぞれの土地、風土で独自の言葉と文化を育み、世界中に多様な言語と文化の織りなす地球文化を生み出したのです。 しかし、もともとは一つだったことば(文化)ゆえに翻訳も可能であるし、弁証法的に発展した文化は、常に一定のサイクルで原点回帰をしているので、ただ視点を変えるだけで、結局、同じことを言っていることが分かるのではないでしょうか。 しかし、人間のエゴの働きと言えるでしょうか、バベルの塔のころからの傲慢さゆえに、自文化が一番と考えることから抜けきれないでいると、もともと一つであるものでさえ見えず、理解できず、伝える(翻訳)ことさえできなくなってしまうのかもしれません。 翻訳の精神とは、自らの文化を相対化し、相手文化を尊重し、自立した二つの文化を等距離に置き、等価変換する試みであるとすると、この過程こそ、もともと一つであったことを思い返す試みなのかもしれません。 「世界が一つの言葉を取り戻す」、それは決してバベルの塔以前のように、同じ言語を話すことではないでしょう。それは、別々の言語をもち、文化を背負ったとしても、相手の文化の自立性を尊重し、その基底にある自文化を相対化し理解しようとする‘翻訳者意識’を取り戻すことなのではないでしょうか。 バベルの塔の神話はそんなことまでも示唆しているように思えます。 ここに翻訳の本質が見えるエピソードをご紹介しましょう。 あるテレビ番組で、日本料理の達人がルソン島に行き、現地の子供の1歳のお祝いの膳を用意するという番組を観ました。おそらく番組主催者の意図は世界遺産となった日本料理が、ガスも、電気コンロもない孤島で通用するかを面白く見せようとしていたのでしょう。 この日本料理の達人は自らの得意技で様々な料理を、現地の限られた食材を使い、事前に現地の人々に味みをしてもらいながら試行錯誤で料理を完成させいくというストーリーでした。そして、最後は大絶賛を得られたという番組でした。 しかし、かれはその間、自ら良しとする自信作で味みをしてもらうわけですが、一様にまずいと言われてしまいます。しかし、何度も現地のひとの味覚を確認しながら、日本料理を‘翻訳’していくのでした。そこには自文化の押し付けもなければ、ひとりよがりの自信も見られません。ただ、現地のひとの味覚に合うよう、これが日本料理、という既成概念を捨て、日本料理を相対化し、自らのものさしを変えていくのです。 世界には7,000を越える言語、更にそれをはるかに越える文化が有るなか、翻訳者が翻訳ができるとはどういうことなのでしょうか。 翻訳ができるということは、もともと一つだからであり、
翻訳ができるということは、具象と抽象の梯子を上がり下がりできるからであり、
翻訳ができるということは、自己を相対化できるからということでしょう。
例えば、世の中には様々な宗教があり、お互いを翻訳しえないと考えている方が多いのではないのではないでしょうか。 しかし、誰しも翻訳者であると考えてみましょう。翻訳者という役割が与えられた時点で、自らの言語、文化を相対化する必要があります。翻訳する相手の文化を尊重し、自国の文化を相対化し、相手の国の人々がわかるよう再表現をする。 「翻訳とは、お互いの違いは表層的なものであり、もともとは一つであることに気づき、お互いを認め、尊重し合う行為である」と考えられるでしょう。 翻訳こそ、鋭い感性と深い精神性をもつ日本人(日本語を母国語とするもの)に適した役割でしょうし、‘翻訳的ものの考え方’、すなわち翻訳者意識で世界を変える、これを先導するのがバベルの使命のひとつであると確信しています。 以上

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2016年、丙申(ひのえ さる)の年は、2015年に地上に出た芽が、いよいよ勢いよく伸びる年です!!

米国翻訳専門職大学院(USA)副学長 堀田都茂樹

新年の平成28年(2016年)は丙申(ひのえ さる/へいしん)の年。数千年の歴史が生んだ易経から言うとどんな年なのか、私が約20年師事する東洋思想の泰斗、田口佳史先生は以下のように語ってくれました。 『一昨年の2014年は甲午(きのえうま)で新事業にしろ新体制にしろ、新しいことをスタートさせるべき年でした。昨年2015年は乙未(きのとひつじ)で、そのスタートさせた新しいことの芽が地上に出はしたが、世間の風は厳しくぐにゃっと曲ってしまった年。しかし目に見える芽は曲ってしまい、停滞の様に見えても、実は地下の根はその風に揺すぶられてかえってしっかりと強固になる、根が張って根本が出来た年です。 したがって今年(2016年丙申)は炳(あき)らかで「いよいよその芽が勢いよく伸びる年」です。丙の横棒一は陽気(発展拡大、外への働き)の一層の活発なる状態を表して、この流れは2017年の丁(ひのと)の横棒まで続きますから、今年、来年と発展拡大するチャンスです。』 では、バベルグループは何をしようとし、何処に向かっているのか、改めて皆様にお知らせし、パートナーの皆さまにもご協力をお願いしたいと思います。 ここで改めて、企業活動のグローバル化への進化の過程を点検してみましょう。
企業のグローバル化の4つのステージ
1.Domestic Stage
2.International Stage
3.Multinational Stage
4.Globally Integrated Stage 一般的に企業は、国内で作り、国内で売る、国内マーケットからスタートし、第2ステージでは、「海外で作・驕E海外で売る」、すなわち、本社にすべての機能が集約され、海外子会社が製造、販売等の一部の機能を担当するステージへと移ります。 そして、第3ステージでは「海外への権限委譲」が進み、本社には共通機能のみが集約され、自律的子会社が設立されることになります。 そして、第4、最終ステージでは、「地球でひとつの会社」、世界中で一番ふさわしい場所にそれぞれの機能を分散させ、最適地で経営資源を調達する段階となります。 バベルグループは1974年創立、来年で42年目を迎えます。そして、バベル翻訳大学院は米国で設立以来、まもなく16年を迎えることになります。 すでにご承知のように、日本では年間約18万社が起業するなか、1年で自主退場(倒産)するのが4割、5年で6割、10年で8割と言われます。そんな中、世界で100年以上の歴史をもつ企業が一番多い国はなんと日本なのです。2万社を越える企業が日本では100年存続しています。 企業がGoing Concernと言われる意味を改めて実感します。 そして、世界最古の企業は日本の金剛組、神社仏閣の建築をしている宮大工の会社です。創業したのが578年、聖徳太子の時代という大阪市天王寺区の「金剛組」は、今年何と 1437歳。日本国内どころか世界で最古とされる老舗企業です。 では100年続く組織、企業の条件、日本の100年続く企業の共通点はなんだと思いますか。それは2つあります。   1.信仰 ― Mission
  2.ゆるんだ組織 ― Resilient、「柔弱は剛強に勝る」 BABEL UNIVERSITYの信仰は東西融合、東(W)の文化と西(E)の文化を、翻訳を通じてつなぐということです。WEからEW(【ju´;】)へ、そしてYOUからWEへ。
世界の智を共有し、共に幸せになるということです。 翻訳を通じての東西融合、幸せつくり、バベルグループはこれをめざします。 バベルグループはそのために、自立した個々人の‘ゆるんだ’、ネットワーク型の組織を 選択しました。それは大企業、マンモス大学のような、丸抱えの発想から、自立した専門領域をもつ皆様とのパートナーシップのネットワーク、言わば、自立×分散×循環型のプロフェッショナルのグローバルワーキングネットワークです。  ◇ 大学院を中心とする循環型ビジネス
 ◇ 分散×集合型のビジネスプロジェクトネットワーク
 ◇ 世界に居住する大学院の人材が専門性を活かしてリモートワーキング それは、図式化すると以下のようなイメージになります。 babelgroup_s2 ここで、ある意味のさらに先端を行く企業をご紹介しましょう。今年最も注目すべき 企業として大前研一さんはまだIPOもしていないUberとAirbnbという、米シリコンバレーの染色体を持つ企業を上げています。両社とも、今年になってそのサービスがやっと世の中に知られ始めてきたばかりの新しい企業で、世間的には無名に近い存在だそうです。 “生まれた時から世界最先端”と言われる2つの企業を紹介しましょう。 米『Fortune』誌が記事に取り上げているスマートフォンのアプリを使ったタクシーやハイヤー配車サービス「ウーバー(Uber)」。創業後わずか5年でグローバル化した同社には、従来の企業が有していた「組織」や「経営システム」の概念は存在しないと言います。
http://bit.ly/1UHFHCp Uberは、まず「タックス・プラニング(法人税の仕組み、特徴、計算方法から合法的な節税計画を立てること)を全地球ベースで行い、法人税を最も軽減するためにはどうすればよいか、という観点から会社の仕組みを構築しているそうです。(もっとも、この点では 健全、適正な納税で国づくりに貢献することがむしろ本分であると我々は考えます) これまでのグローバル化は、日本企業であれば、まずアジア各国に展開し、次に米国そして欧州というように、段階を踏んで国別・地域別に現地法人を設立しながらネットワークを拡大していったわけです。しかし、Uberは、現地に子会社や代理店を作ると納税義務が発生してしまい、本社を置くオランダより割高な法人税を支払わなければならなくなるから、従来の組織は持ってないそうです。 また、Airbnbは、個人が所有する空き部屋を有料で貸し出す「民泊」をネット上で仲介する企業で、日本法人こそ置くものの、やはり支店や現地法人のような一般的な企業形態にはなっていないそうです。 同社は世界190カ国以上で事業を展開しているのに、日本語のウェブサイトにはブライアン・チェスキーという代表者名やアイルランドの首都ダブリンにある世界本社の住所と電話番号と問い合わせ先のメールアドレスが記載してあるだけで、日本法人の所在地や電話番号や代表取締役の名前の記載が見当たらないそうで、これが21世紀最先端企業の形と言えそうです。  http://bit.ly/1Mkzp4Y 海外販売に関しても、昔のように10年、20年かけて国別・地域別にコツコツと自前の代理店網を作っていく時代ではなくなりました。そんな悠長にしていたら、競合他社に先を越されてしまいます。 UberやAirbnbといった世界最先端企業は生まれた時から“本籍地:地球”であり、全ての機能について「地球上で最適化」を追究するという発想で構築していると言います。生まれてまもなく本社をアイルランドに移したり、製造をすべて中国企業に委託したり、研究開発や開発業務においてはサイバースペース上の人材を活用したりして全世界の制度と 機能と人をとことん使い、すべての業務を「地球上で最適化」しているという、米シリコンバレーのDNAを持った21世紀の世界最先端企業と言います。 バベルグループもUberとAirbnbのような世界最先端企業の仕組みをベンチマークして、来年は更に次のステージをめざして進化していきたいと考えています。 本年は、皆さまにお世話になりました。
ありがとうございました。 以上

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