改訂版 第4回 「翻訳で何をしたいか 」

第4回 Define your own success―自分のキャリアビジョンを導き出す

前号では「MY OWN UNIQUENESSを探る」と題して、キャリアサクセス実現シートのPhase 1を完成させました。今回、Phase 2では、そのuniquenessに、仕事の満足度の視点を加味し、肉付けしていきます。ここでは、言わばIdentityを再度考えることになります。

そして、Uniqueness +Satisfaction⇒ Identityを導き出し、更に、その仕事、その キャリアのもつ意味、Missionとその仕事を後押しする外部環境、すなわちTrendを考え、その3つの視点の交わる場となる【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を求めていくことになります。

そこが、言わば、あなたが your own successをDefine、 定義する場となるでしょう。

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan

それでは、Phase 1でUniqueness、‘ 自分の売り ’ を絞り込んだあなたはPhase 2では、それに加え、仕事に対して何を求めるか、その満足度、Satisfactionを考えてみましょう。
お金、名誉、地位、専門性、いや私は自己実現、そんな人もいるでしょう。

ところで、みなさんはマズローの欲求5段階説をご存知でしょうか。

基本的な生理的欲求から、安全(安定性)欲求、愛情(所属 / 社会的)欲求、尊敬(承認)欲求、そして自己実現欲求に至る5段階の欲求をマズローは説いています。

ところで、こんなことをご存知ですか。

マズローは亡くなる間際に、欲求を5段階に分類したけれど、人間の欲求には6段階目があるのではと主張したのです。それはTrans-personal、すなわち個人の利益を越える欲求、利他の欲求が最も高度な欲求ではないかと考えたのです。

さてあなたは、仕事に何を求めているのでしょう。これは必ずしもひとつということではないでしょうから、3つ挙げてその優先順位を%で考えてみましょう。

次に、Missionを考えてみましょう。

Social Roleと言い換えても良いのでしょう。

その仕事が、社会にどんな影響をもたらしているのか。

それを考える手がかりになるのは、前号でお伝えした、「抽象の階段を登る」方法でしょう。

その仕事、キャリアが具体的にもたらす利だけではなく、より抽象度の高いところで、その仕事の恩恵を考えてみましょう。

例えば翻訳の場合、できれば翻訳それ自体より、もう一歩踏み込んでどんな分野の翻訳か、絞り込んだうえで、「抽象の階段を登る」ことにチャレンジしてみましょう。

ご存知のように、Missionは日本語では使命と翻訳されます。その言葉の通り、その選択したことは自分の‘命を使う’に値することなのかを熟考してみましょう。

次に、Trendを考えてみましょう。

もちろん、ここでいうトレンドはfadというような一過性にものを言いません。

事象が移り変わろうとも、変わらぬ大きな潮流とも言えましょうか。

これを考えるには、Mission同様に、前に申し上げた具象から抽象への階段を登っていく必要があるかもしれません。翻訳であれば、その分野を絞り込んで考えてみましょう。

細やかな流行の底流に流れる普遍的流れ。

翻訳においてその分野を選んだのはなぜか、その底流にあるトレンドを考えてみましょう。

さて、以上を参考に、まずはみなさんで、この3つの視点の交点となる

【目標とするキャリア=キャリアビジョン】を描いてみましょう。

Phase2の診断に進むには、以下のPhase1の記入を終えてから、次に進んでください。

するとページはPhase2に移ります。

https://www.babel.co.jp/bcc/mailform/bcc1.html

Phase 1の解答が未だの方は、今からでも始めてください。

このキャリアサクセス実現シートによるキャリア形成は、ここまでのPhase1とPhase 2が基本となります。従って、このPhase1,2は、一旦すべてを中断してでも、真剣に取り組んでもらいたいステップです。

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻163号より

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改訂版 第3回 「翻訳で何をしたいか 」

第3回 Find your own uniqueness―自分さがしの試み さてこれから、ご一緒にご自身のキャリアサクセス実現シートを作成して行きましょう。 そのプロセスは以下の5つのステップより成ります。今回はその第1ステップです。

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
皆さんはすでに、以下のフレーズをご存知でしょうか。 Find your own uniqueness, define your own success. 米国の教育理念の基本コンセプトを表す言葉です。 個々人の個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は決まります。 長所伸展法、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす,その方が成功への確率が高い、と言われますが、これも同根の考え方です。 更に言えば、have to からwant to 、何々しなければならないからするのではなく、そうしたいからそうする、という発想です。 日本では得てして、右に倣えの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向にあるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価をするそんな傾向には流されないようにしましょう。 生まれながらに持った固有の特性を活かし生ききることが人間としての生きがいでしょう。 「ジョハリの窓」でご存知のように ・自分も他人も知っている自分 ・自分は知っているが他人が知らない自分 ・他人は知っているが自分は知らない自分 ・自分も他人も知らない自分 なかでも、他人は知っているが自分は知らない自分に驚かされることもあるかもしれません。身近な人にでもいいので聞いてみましょう。 また、この診断を詰めていくと、やがて、自分も他人も知らない自分があぶりだせるかもしれません。 どんな仕事を自分の天職と考え、選ぶのか、これも自分のuniquenessを徹底的に追求することから出会うのかもしれません。 いや、逆に、偶然、たまたま天職に出会った、それが意外と真実かもしれません。 日経新聞に「私の履歴書」というコラムがあることはご存知の方も多いかもしれません。日本が誇るべき人物にその履歴を語っていただく記事です。皆様はこの記事の中で最も多く使われるフレーズをご存知でしょうか。それは、「たまたま」、「偶然」といった表現だそうです。このフレーズは深読みすれば「必然的に」と読み替えることができるでしょう。 世の中を動かしている真実は’たまたま’を’必然’に読み替える仕組みかもしれません。 たまたま’翻訳’というキーワードに遭遇するとします。 そうしたら、次には、‘翻訳’とは何かを深く読み込み、なぜ翻訳をしたいのか、これを徹底的に追求して、どんどん抽象化していきましょう。そこで突き当たる何かが、あなたの使命かもしれません。 以下のSTEP1 自己発見シートで、ゼロベースでご自身を振り返って見ましょう。 STEP1. シート これを終えたら、STEP2. Define your own success ご自身のキャリアビジョンを描くことに移ります。 この2つのステップがこのキャリアサクセス実現シートの核となるプロセスです。 なお、次のSTEP2は、次号で解説をいたしますので、解答はお待ちください。 全てステップを終え、全てを書き終えたところで、改めて自己評価を試みましょう。 最後に、今さら、キャリアデザインなんて、と年齢を気にしている人がいたら、こんなことばをお送りしましょう。 Today is the first day of the rest of my life. 物事をはじめるのに、早い、遅いはないはずです。  

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻162号より

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改訂版 第2回 「翻訳で何をしたいか 」

第2回 「抽象のはしごを自在に上り下りし、どこに至る」 先回は翻訳者としてのEfficacyを高める重要性を力説しました。そうは言っても、という方も多いかとは思いますが。ここは、一度過去をふり切って思い切って演じてみましょう。 Efficacy、それは能力の自己評価、これを高く設定したうえで、次回以降の以下のMy Domain( My Success Career) 設定のためのワークをしたいと思います。

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
では、そのEfficacyをどう高めるか、以下の視点で考えて見ましょう。 Efficacyを高める、自己の自己評価をどう高めるか、自己の目標を高いところでどう合理化するか、いまの自分にどう自信をつけるか。 みなさんは「抽象のはしご」をご存知ですか。 抽象のはしごを上がるとは、例えば、動物の犬という概念を例にとるなら、パピオン→洋犬→犬→哺乳類→動物→生物→生命という具合に抽象度を上げていくことを言います。逆に、抽象のはしごを降りるにはその逆をたどればよいことになります。 としてみると、一般的には、文化、文明度が高い人ほど、抽象のはしごの上り下りが自由にできる、すなわち、抽象―具象思考ができると言えるでしょう。 これを、こうした概念操作から、行動に視点を当ててみましょう。 例えば、日常生活を振り返って見ましょう。お掃除をする、料理をする、食事をする、テレビを観る、すべて具体化された‘こと’のエンドレスの連続です。 では仕事ではどうでしょう。計算を入れる、メールを書く、書類を作る、会議をする、これもそんな具体的行為の連続です。 しかし、我々はこうした具体的行為に忙殺され、それが生活すること、それが働くこと、と考えてしまうと、つい、どう生きるか、なんのために働くのかを看過してしまいがちです。 そこで一度、とどまって、抽象のはしごを上がってみましょう。なんのためにお掃除をし、料理をし、食事をし、テレビを観ているのでしょう。また、なんのためにメールを書き、書類を作り、計算を入れている、会議をしているのか、はしごを上がって俯瞰してみましょう。 すると、それらの意味が蘇生し、自分に主体性を取り戻せ、生きているという実感、働くことの意味を実感できるように なるかもしれません。 さらに、皆さんが翻訳の勉強をしている場を考えて見ましょう。原書を読む、訳文を作る、それを提出する、指導を受ける、それを復習する、等々、これも一旦、中断しその抽象のはしごをのぼり、なんのために翻訳学習をしているのか、思いを巡らせて見ましょう。 それは、単に私は絵本の翻訳家になるため、ミステリーの翻訳家になるため、リーガル翻訳者になるため、という抽象化にとどまらず、その更に先の抽象化を考えてみてください。 なんのための翻訳、そもそも翻訳って何、そんな抽象思考を試みるとあらたな気づきに出会えるかもしれません。 もちろん、抽象世界にとどまっていては先に進みません。具体化と抽象化を行き来することで、事象が俯瞰でき、目標により深みが加わり、目標がしっくり自分のものになり、それが、ひいてはEfficacyが高まることになると言えるのではないでしょうか。 翻って、特化型AIから汎用型AIに移行する2030年前後は第4次産業革命と言われるように、ビジネスは新しいパラダイムの時代にはいると言われています。翻訳においても当然、AIを活用した人間主体の考え方、働き方が求められて来るでしょう。 すなわち、‘翻訳で何をする’、翻訳の先に何を想い、翻訳で何を実現しようとするか、です。受け身的に翻訳の仕事を受けるだけでなく、自ら使命とする翻訳のプロジェクトを提案するなど、マイドメインに沿ったオンリーワンの翻訳情報ビジネスを立ち上げてほしいと思います。 汎用型AIが言語の壁を越え発展しようと、それにより自動通訳、自動翻訳の技術が一定程度の成果を上げてきても、‘翻訳で何をするか’、翻訳でどんな課題を設定し、翻訳の原理である‘智の共有’をどの領域で実現し、そこからどんな社会効用を生み出すのか、これこそ人間でなければなしえないことでしょう。 翻訳者たちがそれぞれの使命に目覚め、その課題を発見し、これを翻訳情報ビジネスに発展させ、以って社会貢献する。そして、そのこと自体を人生の楽しみとする、今やそんな翻訳環境を創造していくステージに入ってきたと確信します。 ここが抽象と具象の行き来から到達する次のステージかもしれません。

WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻161号より

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改訂版 第1回 「翻訳で何をしたいか 」

  • 【キャリアサクセス実現シート】
  • Phase 1. 自己発見シートの作成 Find your own uniqueness
  • Phase 2. キャリアビジョン作成 Define your own success
  • Phase 3. スキル棚卸しシート作成 Do your own inventory
  • Phase 4. 5年後の未来履歴書作成 Write your future resume
  • Phase 5. 5年間のアクションプラニング作成 Make your action plan
  • 今回は、その‘MY DOMAIN’ づくりのワークに入る前の準備のお話しです。 それは、まず、「なぜあなたは翻訳という仕事を選んだのか」という問いから始まります。‘MY DOMAIN’ づくりの前提として、ご自分の翻訳ビジネスへ向かう動機を、今一度、考えてみましょう。そこで考えていただきたいのが‘翻訳者としてのエフィカシー’ということです。 あなたはエフィカシー(efficacy)ということばを聞いたことがあるでしょうか。 コーチング理論等で使われる用語で、簡単に言えば、能力の自己評価のこと。このエフィカシー(efficacy)が低いと常に自己嫌悪に陥り、目標も達成できず、悪循環となりがちです。 あなたは、翻訳者、翻訳業として、高いefficacyをもち続けているでしょうか。 翻訳者の社会的役割、いや、地球的、いや、宇宙的役割までも気づいているでしょうか。 翻訳では大金は稼げないと、半ばあきらめ、達観していませんでしょうか。お金を稼ぐことだけが目的なら、職業を変えれば良い訳で、それは安易に翻訳という職業を選んだ結果だ、とも言えるのではないでしょうか。 ただし、この点に限って言えば、翻訳でも十分お金は稼げます。翻訳出版で何億円もの印税収入が得られた例もご存知ですね。でも、そんな上手い話は少ないと思う方は、ビジネス翻訳で戦略的に専門分野のキャリアを創れば、コンスタントに収入が得られます。 お金でお金を稼ぐ投資家のような商売であっても、上手くいく人もいれば、失敗する人もいます。何が成功と、失敗を分けるのでしょうか? では、翻訳ビジネスではどうすれば、望む収入を得られるようになるのでしょうか? それには、2つの方法があります。この詳細は、これ以降、ワークシートに沿って説明しますが、ここでは簡単に説明しましょう。 そのひとつは、翻訳の分野、専門を徹底して絞り込むこと。自分だけの専門分野を確立することです。そのうえで周辺の翻訳分野もその対応領域に取り込みます。これは、言わば、戦略的縦展開。 そして、2つめはその翻訳ジャンルを戦略的に横展開すること。 すなわち、その特化した分野での翻訳業務だけではなく、ライティング(本、記事を書くこと)、レクチャー(講義をすること)、リサーチ(レポートを書く)等、翻訳の専門分野に基づく領域を横に広げていくことです。 翻訳という職業でお金を稼ぐことを考えるうえでは、この様な縦横のクロス戦略を実現できれば、安定収入につながります。 話をもとに戻しましょう。ここで改めて自らを省みる意味で、翻訳者としての、あるいは翻訳ビジネスに就くものとしてのエフィカシー(efficacy)を考えてみましょう。 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)、高い自己評価をあなたは持っていますか、自信はありますか?それができないから、こうして悩んでいる・・・・。そんな声が聞こえてきそうですね。 翻訳者としてのエフィカシー(efficacy)をどう高めるか、それは、あなたのドメインを作る上で欠かせないもので、翻訳のもつ本質的な意味を考えることに等しいと思います。 あなたは翻訳者をめざし、翻訳業に携わり、翻訳をどうとらえて、翻訳にどんな生きがい、やりがいを感じていますか。 ふと出会った、ある国のある書籍の翻訳書から、人生を変えるヒントをもらい、そこから人生の景色は一変したという方もいらっしゃるでしょう。 また、ある国、ある地域の人々が行っていたその土地固有の社会習慣を字幕翻訳付きビデオで見て、自分の国、地域社会を動かすひとつの仕組みとして利用できると気づいて、これをきっかけに社会起業家として自立したという方も知っています。 そのように、翻訳という行為は、世界の‘智’の共有を実現し、新たな気づきを誘発するのに重要な役割を果たしています。 このように、翻訳者の世界的、宇宙的役割に目を向ける時、翻訳に携わるものとして、そのefficacy(自己評価)が一変するように信じます。 世の中には、お金を稼ぐだけなら、翻訳者より稼げる職業は山とあるでしょう。 しかし、皆さんが、そして、BABELグループが翻訳という仕事を選んだ理由、その意味を今一度、自らに深く問いかけてみたいと思います。 バベルが、42年に亘り、バベル翻訳専門職大学院、バベルプレス、ブックス&ライツマーケットプレイス、翻訳者派遣・紹介業、翻訳サービス等の事業を行い、今、『The library for Professional Translators』、そしてその発展としての『地球図書館(Babel Library)』創りを進めようとしているのは、まさにバベルの使命と信じる翻訳のもつ地球的、宇宙的意義に気づいたからです。 皆さんも、この機会に‘私は、今、なぜ翻訳なのか’を改めて自らに問いかけてみてはいかがでしょうか。そこから再出発するのも回り道とはならないでしょう。 では、次々回から、5つのワークシートの作成方法を解説していきます。それまでに、あなたのドメイン(あなた固有の専門領域)について思いを巡らし、あなた自身の エフィカシーを意識してみましょう。

    WEB雑誌 「The Professional Translator」通巻160号より

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    学長メッセージ Part6 『2013年、バベルの塔の意味を問い直す試み -その4 』

    [caption id="attachment_994" align="alignleft" width="170"]湯浅 美代子 Chancellor
    湯浅 美代子[/caption]

    “バベルの塔” それは本当に傲慢の象徴か?

     2013年を この様な静けさの中で迎えられたことは、この10年以上にわたる人類の未来への不安が続いてきたことを考えると、何か奇跡的な感じがします。皆様はいかがお考えでしょうか?読者の皆様は、世界各地にお住まいでしょうから、地域によっては大きな気候変動に遇われておいでかもしれませんが・・・。

     日本では、この二、三年の間に歴史の真実を語ろうとする出版物が増えてきています。いや、日本ばかりでなく、米国を中心に、世界各地でも同じく、真実を暴露する出版物が増えてきています。そうして、以前とはっきり変わったのは、これらの本を多くの人がまじめに読み始めていることです。

     歴史はとりわけ、支配者側に有利なように書かれるものですし、未だその時代を体験した人々が多く存命している第2次世界大戦と、その戦後の歴史でさえも、何が真実かは分からないのです。日本の戦後の歴史をどうとらえていくのか、過去のお仕着せの歴史観とは違った見方で、著者である若手の研究者がはっきりとした意見を述べています。

     この様な書籍が、多くの読者を獲得し、現代のとりわけ若い人々が認識をあらたにするチャンスが多く登場してきました。書籍だけでなく、ユーチューブやインターネットのソーシャルネットワークを通じて生の体験を共有することができる時代になったのです。

     これまでは、政府のコメントや専門家のコメントをマスコミの解釈を通じてしか、私達は知ることはできませんでした。それが、当事者の生の声を、表情を、ユーチューブや、インターネットTVで、いつでも、誰でも、どこででも見聞きし、反応出来ます。

     これらのITの発達によって形成された今と言う時代を、インターネットの世紀と呼ぶことにします。この新世紀は、1994年に始まったばかりで、未だ、18年しかたっていないのです。ところが、この18年の間に、とてつもないことが起きてきたのです。

     そしてそれが、ますます加速しています。いつの間にか、私達は新しいタイムライン、従来の緩やかな延長線上ではなく、1994年の変化の扉が開いたことによって出来あがった、新しいタイムラインに飛躍してしまったのではないかと思えるのです。

     そのうえ、このタイムラインはスパイラルを描いています。ですから時の変化が、時間の流れが益々早くなっていくようにも思います。政治や、経済の世界ばかりでなく科学の発見も、よりち密になり、究極の発見や、従来の理論の間違いが発見され、世界観を全く覆されてしまうことさえ起きています。

     これが、この間の人類の未来への不安のもとなのかもしれません。もっとゆっくり変化してほしい。そう願いたいことも多くあります。バージョンアップは毎年ですし、ちょっと目を離していたら、携帯と言う言葉は昔のことばになりそうですね。

     スマホ、タブレット、iPad、iPhone の時代は、ある意味でとても便利なツールですが、どうもずっと払い続けなければならないという、あの独特の料金体系と言うビジネスモデルが、何か気になるのです。まるでローンの返済を続けているような気がしてきます。

     そういう意味では、たまには、携帯も、スマホもない日々を過ごすことがいいのかもしれません。機器に頼らず、自分のインスピレーションでコミュニケート出来たらいいのにと思うのは、私だけでしょうか?

     さて、西暦2013年と言う時の読み方ですが、この西暦紀元についても、基準は色々とあるようです。また、日本は、西暦もあれば、元号もあるので、ややこしいですね。それに旧暦【太陰暦】もあり、世界に目を転じればイスラム暦あり・・・ 暦は生活習慣の基盤ですので、文化、文明によって、宗教によってそれぞれです。

     従って翻訳者は、この暦に対する理解を速めると、多文化、多言語時代を乗り切りやすいと言えるでしょう。文化の翻訳は、一つの言葉の内に含まれたものでありますし、言葉は、その民族や文化、習慣、育ちから切り離されることはないからです。同じ言葉でも、その使われた時の意図は全く違うことさえあります。

     今回のテーマは、Web TPT(http://e-trans.d2.r-cms.jp/にリンク)に掲載の“バベルの塔の意味を問い直す試み”の4回目となりますが、前執筆者よりバトンを受けて続けていきたいと思います。筆者が変わったのは、別の視点で、新しい見方でバベルの塔の意味を考え続けていこうということからです。  

     バベルの塔とは何か?これは、バベルと言う名を会社の名前にしてしまった、私達の宿命です。と言うと少し大袈裟ですが、翻訳の代名詞としてこのバベルの塔から名前をいただきました。

     しかも、バベルの塔の物語は、旧約聖書にでてきますが、決して良い意味ではありません。それは、はっきり言って悪い意味です。人間が傲慢になり、天にも届く高い塔を建て、神の住む所へ登ろうとしたのでしょうか?それとも。こんなことができるのだから、神にさえなろうとした、と言うことなのでしょうか?ここでは、傲慢とは何かについて考えてみましょう。

     その名前を付けてから早、ニ十数年が経ちました。お蔭で何とか生き延びることができました。そうして今、バベルと言う社名について考察する楽しみをいただいております。この様な思いは傲慢でしょうか?

     考えようによっては、傲慢かもしれません。『ゴーマニズム』がはやりましたが、傲慢とは、神に罰を与えられるほどのひどいことなのか?と言う気持ちもありました。神の言うことをよく聞くおとなしい人間、いい子にしていたらご褒美をもらえる・・・と言うようなやわな人間でいた方がいいのでしょうか。

     何故バベルでなければならないのか?翻訳を示す、表す言葉は他にいくらでもあります。翻訳会社の数だけあるのですから、相当な数です。しかし、バベルと言う、神にお仕置きをされた人間の、みじめな物語のタイトルを選んだのです。

     ここに、私は人間の自由意思を見ます。自由意思とは、事態をニュートラルに見て、それに自分で意味を与えることです。それは、決して傲慢ではありません。チャレンジ精神です。旧約聖書がどのようなプロセスで制作され、翻訳され、伝達されてきたか、ここに大きなテーマがあります。日本の現代史でさえ、真実は隠されたり、ゆがめられたり誤解されたりしています。

     しかも旧約聖書が成立したのはいつなのかも分かりません。いろいろな話が集められ、まとめられたのではないかとも言われています。およそ紀元前の何千年前から、紀元後3世紀位までの間にいろいろな形で伝えられてきたものが、さらに翻訳され、現代語へ至るまで、何度も何度も翻訳されてきたわけです。聖書の歴史こそがまさに、翻訳と変遷の歴史であるとも言えるでしょう。

     自由意思によって、ネガティブな状況を良い意味に変換してしまうこと、それは、一見傲慢にも見えますが、決してそうではありません。それはどちらのポジションでそれを見るかにかかっています。支配しようとする神の側で見るのか、被支配者の側の人間側で見るのかです。

     ここに、翻訳の大事なポイントがあります。言葉は、イデオロギーの表明です。事態そのものはニュートラルです。つまり同じように見える事態でも,イデオロギーによって異なってしまうのです。バベルの塔の意味を問い直す試み、今回は、傲慢という言葉から考えてみました。

    バベル翻訳大学院(USA)湯浅学長メッセージ

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    学長メッセージ Part5 『 地球翻訳図書館 ー バベル・ライブラリー 2013 』プロジェクト

    [caption id="attachment_994" align="alignleft" width="170"]湯浅 美代子 Chancellor
    湯浅 美代子[/caption]

    バベル翻訳大学院(USA)の院生、修了生の協力で『バベル ライブラリーメンバーズ』スタート!!

    Shift your Awareness to Translation

     ものごとを変えるためには、まず考え方を変えること。パラダイムシフト、ポールシフトなどと言うと、膨大な物理的パワーが必要と思われがちですが、実は、その考え方が変わることにより一気にShiftが起こる、それがまぎれもない真実でしょう。

    You make it with your thought.

     95歳で天寿を全うしたドラッカー曰く「未来を予測する最善の方法は自分の手で創ってしまうこと」。
     この言葉を借りれば、暦が無ければ自分の手で創ってしまうこと。

     私はBABELという場を与えられ、生涯現役を誓って今年で丁度折り返し地点に立っています。昨年の12月12日で60歳、人生120年とすると、ちょうど半分まで来ました。ここからは、BABELという場で与えられた使命を、共振できる皆様とともに創っていきたいと考えています。

     その使命に気づいたのは、21世紀に入ろうとする1999年のことでした。それはバベルの塔の神話の新たな解釈に出会った時でした。皆さんがご存じのバベルの塔の神話というと、人類が天を突くような高い塔をたて、その地に安住しようとしたことに神が怒り、お互いの言葉を通じなくさせ、その混乱のため人類は散り散りになった、ということでした。

     ところが、1999年、オーストラリアで出会った子供向けの聖書にはこう書かれ ていました。「その地にとどまらず、世界に広がり、その智を広め、繁栄しなさい」、これこそバベルが約40年、翻訳を業として仕事をしてきた本来の意味かもしれないと気づかされました。世界中の智を楽しめる「地球翻訳図書館」創りこそが私の使命と決めました。この地球翻訳図書館が火付け役となり、多言語間の翻訳がより一層活発になることによって、世界中の知識と叡智が人類に共有されるようになる。ここで初めて、散り散りになった人類が、翻訳を通じてまたひとつになると言えるのかもしれません。

     「地球翻訳図書館」創り、未訳の智を発掘し、多言語に翻訳、変換して多くの人の気づきのきっかけを創り、その幸せに貢献する。これを全面的にバックアップするのが、Babel University Professional School of Translation(米国バベル翻訳大学院)、すなわち、このプロジェクトの主体となるのは世界30か国余りに住む米国バベル翻訳大学院の院生、そして修了生。そして、世界中に埋もれたコンテンツを発掘し、版権の仲介を行うBabel Books & Rights Marketplace, これを出版し普及するBabel Press、 そして、翻訳を担うBabel Trans-Media Center, Babel Staff。このように、これからの10年は皆様の力をお借りして、地球翻訳図書館の創造にバベルグループの総力を結集していきます。

     Six Degree of Separation(6次の隔たり)。SNSというビジネスモデルを創った社会学者スタンレー・シーグラム曰く、「人は6人を介せば世界中の人々にコネクトできる」、と考えれば、「地球翻訳図書館」創りという仕業に共感,共振する輪が広がれば、地球を智の宝庫「Global Knowledge Garden」とするのも難しいことではないでしょう。

     こんな共振の輪をつくるために、バベルは「バベルライブラリーメンバーズ」をスタートしました。バベル翻訳大学院の院生、修了生はもちろん、このプロジェクトに共鳴する方は誰でも参加できます。

     そして、そこで、バベル翻訳大学院の院生、修了生を含むバベルライブラリーメンバーズに期待する所は、翻訳者になるということ以上のことです。それは、翻訳をプラニングする「翻訳企画コーディネータ」になっていただくこと。
    翻訳企画コーディネータとは、自らのユニークネスに気づき、その分野の書籍、コンテンツを探し、著作者と相談し、バベルグループの全面的なサポートのもと、翻訳出版を実現し、その紹介記事を書き、関連セミナーを開催し、その原著者、またはそのコンセプトの世界への紹介者になること、すなわち、単なる翻訳者ではなく翻訳のプランナーになってほしいということです。

    2013年、皆さんは、今一度、なぜ翻訳なのか、それぞれの翻訳とのかかわりを宇宙的視野で見直し、あなたの翻訳人生を再設計していただければと考えています。

    バベルグループはそんなあなたに協力を惜しみません。

    バベル翻訳大学院(USA)湯浅学長メッセージ

    >>Part6 『2013年、バベルの塔の意味を問い直す試み -その4 』

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    学長メッセージ Part4 『 地球翻訳図書館 ー バベル・ライブラリー 2013 』プロジェクトに寄せて

    学長メッセージ Part4 『 地球翻訳図書館 ー バベル・ライブラリー 2013 』プロジェクトに寄せて

    [caption id="attachment_994" align="alignleft" width="170"]湯浅 美代子 Chancellor
    湯浅 美代子[/caption]

     バベルグループは、1974年、翻訳者の養成事業により創業したのですが、その後、月刊誌「翻訳の世界」を刊行して出版事業を行い、日本と海外を結ぶ翻訳の普及と新人発掘を目指し、海外各地での「翻訳奨励賞」を実施してきました。

     その後、この奨励賞を中核として「バベル翻訳大賞」へと発展させ、新人翻訳家の登竜門として、多くの翻訳家を発掘してきました。また、大量の翻訳時代の到来を見越して、誰でもが安定した品質の翻訳技法を習得できることを目指し、日本語と海外各国語間の翻訳文法(翻訳技法)の研究開発を行い、翻訳学習講座に加え、翻訳検定事業も行うなど、広く翻訳技法の普及を実現して参りました。この翻訳技法を学んだ学習者は25万人以上に及び、優れた人材を数多く輩出しています。

     この修了者の活躍を中心にした翻訳事業、翻訳者紹介・派遣事業、翻訳出版事業、翻訳権仲介事業へと成長・発展し、修了後は翻訳者として活躍される傍ら、教育を担う翻訳教師の方たちとともに、2000年には、翻訳者養成事業の集大成として、ハワイ州ホノルルに、世界初のインターネットによる翻訳専門職大学院を開校、いまでは、世界34カ国に及ぶ地域で優秀な学生が学び、既に翻訳のプロフェッショナルとして活躍されています。

     爾来40年近く、翻訳学習者、翻訳研究者の方々、多くの出版社を始め企業の顧客の方々のご支援を得て、バベルは、翻訳一筋の道を歩み、日本と諸外国との文化交流・ビジネス交流を担う翻訳関連事業に携わってまいりました。この幸運に深く感謝をささげる次第です。

     そして今、2013年という40周年の節目に当り、感謝をこめて、世界の文化交流に一層の役割を果たしたいと考え、「地球翻訳図書館ー バベル・ライブラリー 2013 」プロジェクトを開催することとなりました。

     この、世界文化交流事業としての『地球翻訳図書館ー バベル・ライブラリー 2013 』プロジェクトは、バベル翻訳大学院(USA)の院生と修了生の方々を中心に、世界中で翻訳者・翻訳家の方々や翻訳者を目指す方々の御協力を得て、スタートさせたいと思います。

     昨今のWEB環境、ITの発展は、世界に影響を与え、その仕組みを大きく変えてきています。出版物のデジタル化、オンディマンド化の技術の進化、スマートフォン・iPad・タブレットや、無線のWi-Fi等のデジタルメディアを受け入れる環境が整い、世界各地に普及したことによって、翻訳出版や、映像メディアの翻訳がより容易になり、古典の新訳から新進作家の作品まで、さらには、英日間のみならず多言語間の出版、映像の翻訳がよりいっそう求められてきています。インターネットの普及により、世界のどこからでも簡単にアクセスできるようになり、世界はまさに一つのマーケット、グローバルマーケットになったのです。

     しかし未だに、言語障壁のために、世界の知識・叡智が十二分に共有、享受できているとは言えません。緊密と思われる日米間でさえ、米国で年間に刊行される15万点ほどの出版物のうち、日本で翻訳出版されるものは、日本の年間出版点数8万点のうちの4,5千点にしかなっていません。ましてや、日本語の出版物の英訳出版はさらに少ないのです。これがその他の言語へとなると、さらに少ないということはご承知の通りです。

     2011年の「3.11」の大きな後遺症を、日本ばかりでなく世界も同時に抱えています。原発から、新たなエネルギーへシフトしていこうとする世界的なうねりの中で、その回答を提供する出版物がありますし、これからも発掘されていくでしょう。それらの本がすぐに多言語へと翻訳され、いち早くインターネットを通じて出版されれば、まさに人類共通の知恵として働くことになるのです。

     私達日本人は、あの3.11の大震災を体験したことによって、多くの人々が何かに目覚め、変わり始めています。まさに今、世界は苦難の時を迎えているのでしょう。しかし、この苦境を耐え、地球が豊かで健やかな星である状態を取り戻して行くために、
    あの3.11以降の心の変化を自覚する時、「世界の言葉は一つであった、というバベルの塔の崩壊の前」を思わずにはいられません。

     いまこそ、翻訳に携わる者として、言語の障壁を越えて「世界の人々の心を一つにつなげる」という役割に目覚める時が来た、と言えるのではないでしょうか?翻訳を通じて、世界の‘HAPPINESS’に貢献していけるという、またとないチャンスが来たのです。 私どもも、この40年余り翻訳一筋に携わらせていただいた幸運をかみしめつつ、感謝の気持ちを込めて、今一度、翻訳の意味、翻訳者の役割を宇宙的視野で考え直していきたいと思います。

     既に翻訳者としてご活躍の皆さまや、翻訳者を目指す皆さまにご参加いただき、このプロジェクトが火付け役となり、多言語間の翻訳がより一層活発になることによって、世界中の知識と叡智が人類に共有されるようになることは、これこそ、旧約聖書のバベルの塔の神話にある、散り散りになった人類が、翻訳を通じてひとつになる機会だと言えるのかもしれません。

    この『地球図書館 バベル・ライブラリー2013』プロジェクトに、皆様のご支援・ご参加をお願いいたします。

    2012年10月吉日

    『地球翻訳図書館 バベル・ライブラリー2013』プロジェクト発信人
    バベルグループ代表 湯浅美代子

    バベル翻訳大学院(USA)湯浅学長メッセージ

    >>Part5 『 地球翻訳図書館 ー バベル・ライブラリー 2013 』プロジェクト

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    学長メッセージ Part3 『バベル翻訳大学院(USA)開設の思い』

    [caption id="attachment_994" align="alignleft" width="170"]湯浅 美代子 Chancellor
    湯浅 美代子[/caption]

     さてこれまで何度か、バベル翻訳大学院をどのような考え方で進めてきたのかについてお話しする機会がありましたが、今日は、何故バベル翻訳大学院はインターネットになったのかに関連して、どんな考え方でこの大学院を開設したのかについても触れたいと思います。現在、修士それから博士のための課程を設けている大学院は世界各地に沢山あります。もちろん、私は世界各地の全てはわかりませんが、アメリカのシステム、日本のシステムを踏まえた上でお話をしたいと思います。

     今バベル翻訳大学院は修士課程のプログラムを提供しています。これを取得するとマスターということになります。アカデミックな大学院の課程には、専門分野の学術的な内容・知識を修めそして学位を得るというニュアンスがあると思います。その後の博士課程になりますと、そういった専門の知識を修めた後で、ドクトリンつまり自分のユニークな研究成果、それをベースにした自分の考えを持つ、何かユニークな実績を持つ、ということで論文を書いて博士号を取得することになるわけです。

    つまりその分野について、ある種オンリーワン的なプロフェッショナルになると言えるのではないかと思います。では、そういうアカデミックな大学院と比べて、バベル翻訳大学院はどんなものなのかということになりますが、バベル翻訳大学院はアメリカで設立された大学院です。修士課程のみがあります。この大学院を開設した目的は、グローバルな社会へと世界がどんどん進んでいく中で(地球はご承知のように多言語・多文化の世界です)、そこを一つのマーケットとして捉え(グローバルな生き方を人類は選んできているわけですけれども)、その中で深いコミュニケーションとスムーズなコミュニケーションを実現することによって、グローバリゼーションを進めていく必要な役割を担う専門的な人材、プロフェッショナルトランスレーターを養成して、地球のマーケットが一つになることに貢献したい、そのように考えてこの大学院を開設したわけです。
    プロフェッショナルトランスレーターとは、どんな人材を育てるのかといいますと、翻訳実務能力、技術をしっかりと身につけた人材であるということがまず第一です。では、プロフェッショナルであるとは何を示しているかということです。修士課程ですから、ドクトリンを持って博士号の取得を目指したり、自分がこの分野についての一家言を持っているんだという所までは行かない博士の前期課程と言えると思います。 そうは言っても、翻訳学の体系をきちっと修めることは、各言語の持つ独特のルールや文化的な習慣を別の文化や言語と比較することの中から、いかにしてコミュニケーションできるものを文章として紡ぎ出していけるのか、という基本的な研究、研究プロセスを学習プロセスの中に内在していますから、単に翻訳の技術を学べばいいという希望を持っている方はもちろん、何故そういうことができるんだろうか、もしくは自分で更にバベル翻訳大学院が提供している翻訳文法を自分なりに深めて研究をしていきたいとお考えの方にとっても役に立つプログラムを提供できるわけです。そのように、今揚げた二種類の目的を持った方のどちらにもお応えできることを考えて設立をいたしました。 ところで、各国にはそれぞれの教育制度や習慣があります。バベル翻訳大学院は、冒頭に申し上げましたように、世界中からインターネットで学習ができる、入学ができる、そういう特徴を持っていますので、各国独自の習慣にはあまり馴染んではいません。ですから、アメリカの大学院でありながら、日本とアメリカとの間の翻訳プロセス、翻訳実践研究によって作られたカリキュラムであるということからも、アメリカの制度とも少し違っています。では日本の制度とはどうなのかというと、やはりそれもまた少し違っています。各国の制度と全く同じとは思ってはいません。 そういう意味で、この地球上にある翻訳大学院、多くの専門教育カリキュラムを持った翻訳大学院としては、目下オンリーワンの特色をもつ大学院なんです。しかもインターネットで行うという、これまでにない特徴を持った大学院であるとお考えいただけると幸いです。世界にお手本がない初めての試みを、私共はやってきたわけです。ですから、いろんな意味でチャレンジングなことが沢山ありましたし、これからもきっと、いろんな意味で一つ一つ課題を解決していきながら、世界レベルの学習を目指す皆さんにとって少しでも学習しやすい環境を提供し、学びによって質的成長が遂げられるように変化をさせていきたいと思っています。
     バベル翻訳大学院は、そういうことをストレートに考えている大学院であるとお考えいただければ幸いですし、私共も皆そう願っております。 翻訳といいますと、これまで実際に翻訳ビジネスとして流通しているサービス体系というものがあります。 しかし、ヨーロッパではこうですよとか、アメリカではこうですよとか、日本ではこうですよという、やはりその地域ごと、具体的には国や言語文化圏と関連して、従来蓄積されてきた産業としての商習慣、ルールといったものが形成されています。当然ながら、地域ごとの翻訳業界といったものがあろうかと思います。もう一つは、翻訳を行う専門分野によっても、IT関連の業界だとこうですよとか、映画・映像の関連だと又違う商習慣があったりというように、様々な業界の違いがあります。 実務と言いますと、そういう業界の商習慣や業界に通用する実務知識、技術ということだけを思いがちですし、それを踏まえて適切かつ迅速に対応できることはとても大事です。しかし翻訳というのは国境を超える試みです。言いかえれば翻訳者は、グローバルコミュニケーションの担い手であり、翻訳はその具体的な方法論になります。そういう意味で、各国の、又はこれまでの業界団体、先輩達が築き上げてきた業界のルール、専門知識を知ることは大事ですけれど、それに囚われてしまって、そこへ到達することだけを目指しているわけではありません。 もちろんそれは達成したいレベルなんですが、それを更に越えて、グローバル社会を私達が作り上げるという大きな目標に向かってチャレンジをしていく、自分達がこれまで体験してきた商習慣、又は業界の知識といったものを越えて、新しい商習慣、もっとやりやすい業界知識や水準、そして品質も更に既成の業界水準を越えていけるような、そういうものにチャレンジしていける考え方、姿勢、これを私共は「志」と呼ぶことが多いんですけれども、そういうことを考えていきたいと思っています。 グローバリゼーションの担い手として、まずは自分がこんな地域でビジネスを開業したいとか、開業するだけに留まらずにライフワークとしてこんなことに取り組んでみたい、そんな希望を持って入学される方も沢山いらっしゃいます。バベル翻訳大学院は、そういう方も大歓迎です。そういう方々も、初めはまず自分が馴染んできた所から入っていく、又は今研究対象としている分野、地域、マーケットといったものを学びつつ入っていくことが、現実的なアプローチではないかなと思います。初めは、一体何をするのかとドキドキされるのではないかと思うんですけれども、安心していただいて、今まで自分が蓄積してきたことを、一つのスタートライン、スターティングポジションとしてスタートを切っていただきたいと思います。 以上、バベルのインターネットによる大学院の成り立ちと、進め方について概略を少しだけお話しをいたしました。ところで、これはよく私達がお互いに問いかけをして楽しむことなのですが、「バベル翻訳大学院は一体どこにあるの」という問いです。皆さんどうお考えになるでしょうか。確かに、リーガルにはアメリカ合衆国にあります。アメリカのリーガルシステムに則っています。でもそこに行けば授業はあるのですかというと、ないですね。例えばスタンフォードはサンフランシスコの郊外にあります。私も行きました。スタンフォード大学はそこにありますと言いますが、たしかに建物はそこにあります。では建物が学びの実態かと言うと、これはおかしな話ですね。東大はどこにあるのですか。もちろん本郷にあります。しかしそれは、東大の建物とリーガルな、つまり登記上の場所、それから先生と会える場所、友人達と気兼ねなく語り合う場所に過ぎないのであって、知識や学習の内容そのものがそこにあるんでしょうか。こんな問いかけを是非していただきたいですね。 そういう意味合いから、私達のバベル翻訳大学院は一体どこにあるんだろうかといつも問うことにしています。さあ、あなたの回答はどうなりますでしょうか。よく耳にする私達ファカルティーの回答は、私の頭の中だ、私の心の中だなど様々で、お互いに悩んでしまうことがあるんです。そのように、バベル翻訳大学院の学習体系、内容、それから学習の場といったものは、確かに世界の各地、どこにでもあるのですね。あなたが学習をしようと思って、そしてインターネットにアクセスした時、又はそこからダウンロードした教材を開く時、学習をしようと思った時、その場所にいつでもバベル翻訳大学院は現れるのです。 修了生の方達も、私はバベル翻訳大学院の修了ですと思った時に、自分の大学院で学んだ学生の時のアイデンティティー、修了すると<マスターオブサイエンス・イン・トランスレーション>つまりMSTホルダーになるのですが、そのMSTホルダーを意識した時、バベル翻訳大学院は、あなたの脳の中にいつでも立ち現れるんです。東大卒業ですと言うと、東大の赤門の雰囲気とか先生が思い出されるのと同じように、立ち現れるわけです。 すると、実際に建物がそこにある大学、つまり旧来の通学制の大学ですね、それとインターネットで学ぶ大学院のシステムとを比べてみると、どれほどの違いがあるのかないのか、だんだん疑わしくなりますね。確かに、お父さんやお母さんを連れて行って、ここが私の母校ですという場合と、わざわざそうしなくても、PCでこれが母校なのよという場合の感覚の違いがあるかもしれません。でも、そう考えると、通学する教室の中に私の学習する知識の体系があるのではなくて、先生から伝えられる学習の場で自分が受け取ったもの、つまり能の働きによって情報伝達として受け取ったものの中に知識の体系があるのだということが分かります。  そういう意味で、わざわざ現地まで行かないと学習ができないなという、ある種の制限や不便な条件を乗り越えて、いつでも自分が学習したいと思った時、もちろんインターネット環境は最低限必要ですが、それがあれば、どこででも自分の好きな時に学習ができるというのが、このインターネットのプログラムの一番素晴らしい点の一つではないかなと思います。これからグローバリゼーション、どちらかというと欧米諸国が中心になって進めてきたグローバリゼーションでしたが、そこを更に越えて、地球が本当に一つに繋がることで住みやすい地球環境といったものを私達が一緒に作り上げていく、そういう意味での真のコミュニケーションを担って行こうとする方にとって、このバベル翻訳大学院で学んでいただくということは、非常にお役に立てるのではないかと思います。  世界の各地にいらっしゃる方々とご一緒に学べる、大学院側が提供するプログラムだけではなく、そこに一緒に集う世界中の学習者との交流が素晴らしい財産であり喜びになると、そんなことを強く感じている今日この頃です。どうぞ皆さん、よろしかったらご一緒に学んでみませんか。 ご清聴ありがとうございました。

    バベル翻訳大学院(USA)湯浅学長メッセージ

    >>Part4 『 地球翻訳図書館 ー バベル・ライブラリー 2013 』プロジェクトに寄せて

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    学長メッセージ Part2 『バベル翻訳大学院のミッション ~ 活動の目的について』

    [caption id="attachment_994" align="alignleft" width="170"]湯浅 美代子 Chancellor
    湯浅 美代子[/caption]

    皆さん、こんにちは。バベル翻訳大学院の湯浅でございます

    前回(Part1)は、なぜバベル翻訳大学院がインターネットの翻訳大学院として開校したのか、なぜ今翻訳大学院を開校したのかということについてお話をしました。今回は、バベル翻訳大学院のミッション、活動の目的についてお話をしたいと思います。

    バベル翻訳大学院の目指しているところというのは、翻訳について、翻訳とは何なのかということを考えていく、研究していくということにあるのですけれど、そのほかに、翻訳は何か、ということを考えていく上で、翻訳の技術、どのような技術が必要なのか、また現代社会において、翻訳ビジネスというのは、とても重要な役割を果たしていますので、そのビジネスとしての技術の水準というのは、どのようなことが必要なのか、という、ビジネスに関する内容、その他についても研究していく、ということがあります。 また、もうひとつは、翻訳というものを担当する翻訳者というのは、現代社会において、どのような役割を果たしていくのか、ということについても、研究をしていこう、ということがございます。 翻訳というのは、ただ単に、ビジネスとして行われるというだけではなく、様々な文化の交流や、様々なコミュニケーションの現場で行われています。必ずしも翻訳者として認識していなくても翻訳のサービスといいますか、翻訳の作業をしている、ということは、非常に多くの場面であります。そういう意味でも、翻訳というのをどのように考え、翻訳者というのはどのような考え方で、または、どのような姿勢で進めていけば良いのかということも、同時に考えていく必要がある、というふうに思っています。
    また、翻訳者が果たす役割というのは、いったい、どのようなものなのか、ただ外国語を、必要とされる言語、対象の言語に変換して、提供すればよいという、大きな枠組みではそのように表現することができるかもしれませんけれども、そこの中には、様々な情報が省略されています。 いったい読み手は誰なのか、誰に対して提供していくのかというようなことを考えなくてはいけませんし、また、原作者は、誰に対してどんなことを言おうとして考えてきたのか、というようなことも深く考えていく必要があります。 しかし、その都度その都度、考えながら仕事をしていくというわけには参りませんね。 従って、そのような基本的な事柄というものを大学院でしっかり学んでいく、そのことによって、1冊1冊翻訳する時に、この翻訳はどうしたらよいのだろう、というふうに悩んでしまわないように、その前に基本的な技術、翻訳の水準というものをしっかり持つこと、そのように仕事ができるような水準に持っていくことが、バベル翻訳大学院のひとつの目的ということもいえます。それら全体を含めて、技術の水準というふうに考えているわけです。 それからまた、社会は大きな進展をみせていますので、いろいろなコミュニケーションの現場で、それらを必要とするクライアント、翻訳を必要とする人たちから、様々な要求が出ています。ほんの数年前まで、このようにわたしは翻訳すればいいんだ、と思ってきたことも、最近では、随分ニーズが変わってきたために、もっと早くしなくてはいけないとか、もっと必要な情報としてそぎ落としてほしいとか、そういう多様なクライアント側のニーズ、社会的な要請というものも起きてきています。こういうことも、大学院在学中に、しっかり研究することによって、実際にビジネス社会に出た後、本当に活用できる、自在に使いこなして、顧客のニーズに十分に応えられる翻訳者の役割、翻訳人材というものを育てていこうというふうに考えているのが、バベル翻訳大学院の目的、事業目的のひとつということがいえます。 はじめに、翻訳とは何かを研究し、そして翻訳者の養成、翻訳者というのはどのような役割を果たすのか、という2番目の目的がありましたけれども、最後に、これらの翻訳とは何かということを研究し、そしてそれを実現できる翻訳者を育てることによって、バベル翻訳大学院が本当に目指しているものが、3番目にお話しすることです。 それは、わたしたち、今、現代社会は、非常に緊密なコミュニケーションを必要とする地球上に存在しているわけですけれども、ありとあらゆる人々が、様々なビジネス・コミュニケーション、または、人と人とのコミュニケーション、異文化コミュニケーションを必要としています。それらに、多くの人材が、優れた翻訳能力をもつ人材が役割を果たすことによって、コミュニケーションがスムーズに促進される、そしてビジネスも豊かに実りを実現するでしょうし、また、わたしたちの生活も豊かになっていきます。つまり、様々な異文化コミュニケーション、ビジネス・コミュニケーションをスムーズに行う、そういうことを提供する、実現することによって、わたしたちは、人間社会のますますの進化発展、そして豊かな社会の実現を目指したい、そしてそれらは、地球が、やはり平和であること、わたしたちが、常に平和な社会に、そして豊かな希望を持って生きていける、そういう社会を実現する、そのような担い手として翻訳者を養成したい、そして、翻訳とは何かということを研究していこうというふうに考えているわけです。 わたしたちは、そもそも、たった一人では生きていくことはできませんし、様々な外界物、つまり、自分以外のものやひととコミュニケーションをはかっています。バベルは、翻訳と言うのはコミュニケーションである、というふうに考えているわけですが、どのようなコミュニケーションがもっとも望ましいのか。たとえば、ビジネスにおいて、クライアントとの間に取り交わされる契約書、これらも、コミュニケーションになりますし、また、お客様との間に取り交わされるEメール、様々なやりとりもコミュニケーションです。 そして、たとえば、医療の現場を考えますと、外国に行って、病気になって、とても心細いところに、外国で、言葉が十分に通じないところで、医療を受けるということになりますと当然、それらの治療の内容がどういうものなのか、とか、様々な状態、この病気はどんなもので、いったい治療費はいくらかかって、どのくらいの期間入院しなくてはいけないのだろうか、そういうことも含めて、多くのコミュニケーション、ある意味では、契約書にサインをするというようなことも発生するかもしれません。いろいろなところで、わたしたちの生活の様々なところで、翻訳、つまり、コミュニケーションが発生しているわけですが、それらを最適の形、状況に必要な最適の形で提供していく、このようなサービスが、翻訳者、または翻訳ビジネス、または翻訳に従事する人々、ビジネスを提供する人々に求められているということがいえると思います。 バベル翻訳大学院は、国を、日本なら日本、アメリカならアメリカ、と言う風に考えているわけではなく、多くの国や文化を超えて、広く行われるグローバル・ビジネス、グローバル・コミュニケーション、異文化コミュニケーションの様々な方法、その現場に常に密着し研究をし、そして新しく必要とされる翻訳技術を研究開発して、それらを使いこなして実際に提供できる翻訳者を養成していく、そのように考えているわけでございます。 ところで、今日は、最後にひとつ、翻訳とは何なのかについて、少し考えていることについてお話したいと思います。 翻訳というのは、皆様もご存知のように、まず、はじめに原文があります。原文を読み解く、十分に理解するということが翻訳の第一番目の仕事、ということになります。 翻訳者は最初、読者となっていくわけですが、この読み手としての理解、これが十分でないと、十分な翻訳、そして、その表現も、十分ではないということになってきます。ですから、原文を理解するということが、とても大事です。 そして次に、それではそれを、どのような対象者に対して、翻訳表現をしていくのか、再表現をしていくのか、ということになりますけれども、そのときに、専門知識やその文章またはコミュニケーションの目的というものが、きちっと認識されていないと、自分の翻訳技術の方法論だけで済ましてしまうということがあります。そういう意味で、まずは、自分が受け手として読み、そして十分に理解したかどうか、ここが分からなかった、ここが十分に理解できなかった、ということを、読者の代表として、十分に調べて、そして自分がしっかりと理解をしていく、そのプロセスが、ある意味で、翻訳のプロセスなんだ、ということになります。 そして、最後に、それを、読み手としての読者、つまり読者がどのような形で理解するのか、理解し易い形に再表現していく、書き直していく、または、自分で翻訳文を創造していくということになりますけれども、そこで大事なことは原文に忠実だということです。原文に忠実と言うのは、なにも、直接的な訳文というものを意味していません。つまり、読者が十分に理解しうる表現形式として、どれだけ適切に表現するか。原文に忠実である必要がある部分というのは、文の構造、構成ということになります。 たくさんの文章があるものを、順番を変えてしまったり、大きく削除してしまう、ということが、必要な場合、また、クライアントからの要求や、または、現著者からの要求から、あることもありますけれども、それらがない場合は、一般的な考え方としては、文の構造を適切に理解しながら、同時に、いかにわかりやすく非才表現をしていくか、という翻訳表現のプロセスということになります。そういう意味で、翻訳文つまり原文をいかに理解するか、ということが、とても大事だ、翻訳者は、はじめは読み手、読者であるということをあえて強調させていただきたいと思いました。

    バベル翻訳大学院(USA)湯浅学長メッセージ

    >>Part3 『バベル翻訳大学院(USA)開設の思い』

    [:en]

    We at the Babel University Professional School of Translation study first of all what translation is. In the process, we also examine indispensable skills, technologies, and business affairs, including what is necessary to both maintain and improve the level of skills or technologies in the business world, because the translation business is so important throughout our society. Second, we study what kind of role translators play in our modern society. I do not say that translation is performed only as a business. It is performed in the context of various cultural interchanges and through various forms of communication. It is not unusual to work on translation without recognizing oneself as a translator. In this sense we have to consider both the nature of translation and how translators work and consider themselves. In addition, what is the goal that a translator strives for? Is it enough if he or she puts a foreign language into another language? I might suggest this from one limited perspective. But in doing so, many things are omitted. It is also necessary to consider the type readers that are being targeted, as well as what the author wants to communicate to these readers.

    However, no one can cope with all of these considerations every time they work. So our students learn such important points well in our school, mastering basic skills and technologies, and improve themselves to a working level in order to translate every book smoothly. I can say that this is the primary purpose of the Babel University Professional School of Translation. We set a high technical standard, considering such things totally.

    In addition, since the world continues to develop dramatically, people who need translation, such as clients, have different demands depending on the situation of various communication needs. Needs for speed and the choice of the contents for translation have changed considerably, i.e., clients as well as the entire world have come to request quite a variety of different things recently. Thus, the method that was so useful several years ago is no longer usable. Through our training program our students develop effectively, and after graduating, they can utilize what they have learned successfully and freely in the business world and can handle whatever clients want. As Chancellor, I can say that this is another purpose of the Babel University Professional School of Translation, that is, to prepare students for the world of business.

    Finally, as a third point, I will talk about what we really pursue in studying what translation is, and through developing translators, who will realize our hopes.

    Today close and effective communication is in demand on a global scale. Everyone needs various types of business communication, including person-to-person communication and cross-cultural communication. Under such conditions, many excellent translators play their parts to help realize smooth communication. As a result, business can also be successful and even our own lives can be enriched. Therefore we want to train translators who will help to provide various cross-cultural and business communications smoothly, who will contribute to develop the world, and who will help us to realize a rich and peaceful society, a society in which everyone can always live with hope. Of course we work to achieve our vision while carefully considering our other purpose, namely to study what translation is.

    As no one can live completely alone, we communicate with various people every day. So, we define translation as communication. What kind of communication is the most desirable, then? In business, there are many things which can be called communication, for example a contract exchanged with a client, and E-mails exchanged with clients.

    Additionally, I would like you to think about the situation concerning medical affairs. If one goes abroad and gets sick, that person has to get medical care in spite of anxiety and poor language skills. Naturally the details on the condition, treatment, treatment costs, and hospitalization must be communicated. It may even be necessary to sign a contract. Actually in our everyday life, translation occurs. We believe that to offer communications in the most suitable form is necessary for translators, for people engaging in the translation business or for people offering business.

    We do not consider a nation as one single isolated unit. Beyond the border of countries or cultural barriers, we continue to research various methods for global business, global communication and cross-cultural communication which are the most suitable for various situations. In addition, we develop translation skills and technologies newly needed, and foster translators who can use them freely.

    Finally, I want to talk little more about our vision on "What is translation?"

    Translation is done based on an original text, as you know. So the first thing to do for translation is to understand the original thoroughly. In other words, a translator is a reader first. When understanding of the original is incomplete, the translated sentences will likely be off target. Thus it is vital to understand the original.

    Next, the point is "To whom must the translation be done, and rewritten in another language." There is concern that translation is performed only with basic skills and methodologies unless a translator properly recognizes technical knowledge or the purpose of the sentences or communications. Thus I can say in a sense as follows; the process of translation is to read as a receptor and to examine what is the cause of poor understanding, as a representative of the readers, so that one completely understands the original.

    Lastly after considering how readers would take it, a translator expresses again in a way that readers can understand easily. Then it is critical to be faithful to the original. This does not mean a so-called literal translation. In other words, it is how adequately one expresses ideas so that readers can understand them clearly enough. Only the basic construction and constitution have to be faithful to the original.

    To make a change, a turn or even delete ideas greatly may be needed, in some cases, by the client or author. However, if this is not the case, translation is generally a process of writing plain and unusual expressions while understanding the basic construction of the text adequately. Therefore it is very important to understand the original, so I wanted to emphasize that a translator is first a reader, then a writer.

    バベル翻訳大学院(USA)湯浅学長メッセージ

    >>Part3 『バベル翻訳大学院(USA)開設の思い』

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    学長メッセージ Part1 『何故、バベル翻訳専門職大学院を開校したのか』

    [box color=”blue”] From the Chancellor[/box]
    [box color=”blue”] From the Chancellor[/box]

    何故、バベル翻訳大学院を開校したのか

    [caption id="attachment_994" align="alignleft" width="170"]湯浅 美代子 Chancellor
    湯浅 美代子[/caption]

    皆さまこんにちは。バベル翻訳大学院の湯浅でございます。

    今日は、私どもがバベル翻訳大学院の開校の理由、そして、何故、インターネットの翻訳大学院なのか、ということについてお話をしたいと思います。

    私どもバベルは、1974年、日本で翻訳の通信教育をスタートしたのが始まりです。その当時、翻訳についての学術的な研究というものはほとんどありませんでしたし、翻訳の技法を学ぶ、といってもそれはほとんどが翻訳者のそれぞれの体験の中で教えられてきた、という状態でした。

    そこで私は、一般の多くの人たちに通信教育で学んでいただくということを考えると、誰もがいつでも安定した翻訳をすることができる翻訳の技法、技術が必要だし、また学習の方法についても、できる人とできない人があまりに差ができるのではなく、誰もがいつでも、どこでも学べるような、学びやすい学習の方法も含めて、開発したいと思い研究してきました。

     

    The Profesional Translator
    そのなかで、まず、翻訳の世界という月刊誌を発行することにしました。1976年11月号を創刊し、30年以上続きましたので、この翻訳の世界をお読みになった方もたくさんおいでになるかと思いますが、現在では紙の本からデジタルWebマガジン、『The Profesional Translator』というタイトルで毎月2回配信をしています。

    このように1974年以降の日本と世界の動きの中で、翻訳の研究をずっと一筋にしてきたのがバベルの歴史です。それでは、どうして翻訳大学院を作ろうと思ったのか、ということですが、1980年代から’90年の初めころまでは、ワープロからワープロ通信、そしてインターネットがまだ出る直前の時代だったのですが、1994年に商用インターネットが使えるようになったというニュースが飛び込んできました。

    それまでは教材を読み、郵便でのやり取りによって、通信教育を受けるような形だったのですが、それがインターネットになれば、世界中、一瞬にして通信ができ、学べるというビジョンが私の中に入ってきました。これは素晴らしい!!ことになる、と1994年のこの出来事は今もこうして皆さんにお話しするくらいですので、私に衝撃を与えたということなのです。

    ところで、翻訳というのは皆さんすでにご存じのとおり、私の前に翻訳書が並んでいますけれども、多くの方は書店で翻訳書、それを和書として、またはその国の人はその国の本として翻訳されたものを読むことができます。つまり翻訳書があることによって世界中の様々な情報、技術情報、叡智を自分の国の言語で、自分のいるところにいながらにして情報を得ることができます。

    そういう意味でこの翻訳とは非常にグローバルな、世界的な調和や通信、コミュニケーションをスムーズにしていく、とても大事な働きと言えますが、それとインターネットがつながったということになります。それまでの紙と鉛筆の世界がワープロに変わり、ワープロのデータをフロッピーディスクで、ワープロ通信ですのでなかなか通信環境も整っていなかったという時代だったと思いますが、この商用インターネットが世界的規模で一般の民間に開放されたことで、世界のビジネスも様変わりしました。

    ところで、この翻訳という作業、翻訳の仕事というのは専業の翻訳者の方たちだけの専売特許ではありません。あなたもそうですし、私たちも、インターネットのホームページを覗くと多言語の世界が広がっています。このことが知りたいと思い、検索をして情報がでてきても、その言語がわからないとなかなか意味が理解できませんし、使いこなすことができません。

    他にも今の時代は、ほとんどの企業がグローバル展開する時代になりましたので、翻訳という専門業の方でなくても英語で書かれた契約書や、英文のメール、または中国との取引では中国語、スペインとはスペイン語でなど必要ですね。しかし、ほとんどビジネスにおいて英語というのは、言ってみれば共通の言語となっています。普段のビジネス、それから生活の中でも、このように世界を感じながら生きていく時代になりましたが、これは何によってもたらされたのかを考えますと、インターネットの普及、発達、そしてPCの発達によってとなります。こんな言い方をするのも、もう古いくらいですね。今はiPadがいろんな形で私たちの生活の中に、またビジネスの中にも入りこんできました。

    こういった世界的なコミュニケーションを担っていく役割を、翻訳専門職という専業の技術、専門職レヴェルとして高めていこうと、そして翻訳を学ぶことや、翻訳業は、世界中どこでも誰もができるのかというと、まだ十分ではないところもありますので、世界中どこからでも学べる、翻訳専門職の養成をしたいと思ったのです。

    そういうことで、この翻訳大学院に、学んでいらっしゃる方たちが言われることは、翻訳を体系的に学ぶことができる、そして技術を学ぶだけでなく、修士号を取得することで自分の技術の裏付けをしっかり身に付けることができ、その後の自分の目標とした職業、または人生をしっかりと築いていくことができる、ということなのです。

    私どもが1974年にスタートした時には、日本国内が中心だったわけです。しかし、現在ではハワイにインターネットの翻訳専門職大学院を開き、そして米国のDETC (The Distance Education and Training Council 1926年設立) という専門機関から認証を受けて、ただ単に修士号を取得できるということだけではなく、認証を受けた修士号を取得できるということで、世界中から受講生が集まってきています。

    集まってきているといっても皆さんは世界各地に在宅のままで、この最先端の翻訳学習を受けることができるので、働きながら、またはいろいろな方々の生活の条件を維持しながら、大学院の翻訳専門職の資格<MST>を取得出来るのです。

    この大学院で学ぶ中で、自分が何のために翻訳を学ぼうとしているのだろうか、そして翻訳に自分が関わりあうのは何のためだろうか、といったように自分の本来の生き方、そこへも大きな気づきをもつ、という方もたくさん出ておられます。この翻訳技術を習得し、そして修士となったことで、今までの働き方が変わったというような方もたくさん出ています。

    皆さんも、もしご興味がありましたら、自分は何のために翻訳をしたいと思うのか、何故翻訳に惹かれたのか、をお考えになってみてください。そしてもし、ぜひやってみたいと思いになりましたら、私どものところへおいでになって、世界の皆さんとご一緒に学んでいかれたらいかがでしょうか。

    今日は、バベル翻訳大学院のスタートについて、お話をさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。

    バベル翻訳大学院(USA)湯浅学長メッセージ

    >>Part2 『バベル翻訳大学院のミッション ~ 活動の目的について』

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