今日は、人生120年と考える私が、折返しから7年、67歳を経て気づいたこと、腑に落ちたことをこの時期にみなさんとシェアーしたいと思います。
ところで、皆様は今年2020年の目標を立ててここまで来ましたでしょうか。向こう5年、10年、20年の目標の目標を立てたでしょうか。もし、立てていなければ、こう考えましょう。
Today is the first day of the rest of my life.
これは、今日がスタート、物事を始めるのに遅いということはない、という意味ですが、わたしはこれを敢えてこう読み替えたいのです。
Today is the special (destined) day of the rest of my life.
すなわち、新たな計画を決めた今日というこの日こそ、プロとしての人生航路の特別な日であるとポジティブに決めてほしいのです。
ここではこれを、Positive definition、つまり、積極的な意味付け、と言わせていただきます。
この積極的な意味付けとは、今日という日をどう意味付けするかに限らず、出会った人、起こった出来事、身に着けた技をどう意味付けするかをも含みます。
その節目の日、それらを無為に流すのではなく、ポジティブな意味付けをしようという提案です。ということはその日に決めることは徹夜も辞さないくらいのそれなりの覚悟で決めましょう。
そうすると、その意味付けにならって、その後のものごとが大きくその方向へ動くという感覚を共有しましょう。
この積極的な意味付けに寄せて、3つの視点を挙げましょう。
Find your own uniqueness, define your own success.
これは米国の教育理念に根底にある考え方で、個性を尊重し、個性を活かし人生を創り上げよう、という意味です。個性を矯めて迎合しがちな我々としては自らを戒めたいところです。
翻訳のプロとして仕事をしていくにあたっても、自身のuniquenessを如何に肯定し、自らの意味ある専門として創り上げていくかが、問われるところです。
いつも申し上げていることですが、この専門という縦軸をしっかり確立すること、それがたとえ、ニッチであってもそれに徹底してこだわりましょう。
その上で、関心があるかたは、その周辺を開拓する。
また、この縦軸をしっかりとしたうえで、横軸を通す。
ひと昔前は翻訳者とは翻訳をする人とだけ考えている人が多かったのですが、これからは、その専門を軸に、執筆をする、講義をする、通訳をする等、トランスレータ兼、インタープリター兼、ライター兼、レクチャラー兼、リサーチャー兼、そしてその分野の研究者とすら成り得ます。
一冊の本を精魂込めて翻訳すれば、その専門力からそうした多能プロフェッショナルになるのも決して難しくありません。
実際、今の仕事について40余年の間に、私は数え切れない数の翻訳者にお会いしましたが、その中には、私が言う、多能プロは決して珍しくありませんでした。
2つ目は、
Thought becomes things.
Mind shapes things.
すなわち、積極的な意味付け、Positive definitionをすることにより、その思いは物質化する、ということです。
これは物理学の先端分野、量子力学ではあたりまえのことです。
わたしは、この考え方のもとに、大学院でもキャリアサクセス診断をコンサルティングに活用してきました。
今回の連載では、これまで以下の5つのステップを経験してきました。
【キャリアサクセス実現シート】
STEP 1. 自己発見シートの作成
Find your own uniqueness
STEP2. キャリアビジョン作成
Define your own success
STEP3. スキル棚卸しシート作成
Do your own inventory
STEP4. 5年後の未来履歴書作成
Write your future resume
STEP5. 5年間のアクションプラニング作成
Make your action plan
全部で5つのステップからなる、自分の成功イメージをあぶり出す診断でしたが、そのSTEP4が、5年後の未来履歴書をつくること。
そして、これを受けてSTEP5が、その未来履歴書に至るアクションプランを具体化することで完成させるというものでした。
ゴールを鮮明に描けば、自ずと引き寄せの法則でゴールが達成できると一般的には言いますが、実のところは、ゴールが鮮明に描けていることにより、これまで気づかなかった既にそこに在った事象があたかも引き寄せられるかのように、目の前に現れる、というのは真実のようです。
しかし、当然ですが、課題はここからです。
目の前に出現したそのチャンスを、ゴールへの階梯と受け入れて、この階段を着実に登って行かなければなりません。
ふり返りますと、この『キャリアサクセス実現シート』のコンセプトを考え、企画したのが20年以上前のことでした。
私は、東洋思想、老荘思想の第一人者、田口佳史先生の講義を25年以上に亘って聴講していますが、その最初のころの講義の時に、人生設計の手法の話を聴きました。それは、いまでも鮮明に記憶に残っています。
当時、50代の先生が見せてくださったのは、部屋の四方の壁を一周するような長さの掛け軸のような紙に書かれた、田口先生が30代に書かれた人生設計書でした。
それは、30歳から、碓か、80歳を越えるまでの人生設計でした。
33歳にこう言う仕事をはじめ、36歳でどこどこに事務所を構え、38歳に3人目の子供を授かり、等々、‘あたかも自分史を書いているかのような’、未来の人生記録でした。
しかし、そのセミナーを受けたその日前後の記録をみると、なんと、その数年前に持ち家を手にいれると記載され、その場所、町名が記入されているのです。それが、なんと、なんと、その住所たるや、実際の住所と目と鼻の先でした。
その時に、私は確信しました。
ゴールを如何に鮮明に描けるか、そのマイルストーンを如何に詳細化できるか、それが、人生のシナリオを決めると。
すなわち、未来履歴書を、あたかもそうなったかのように、ポジティブな定義で埋めていくのです。
言ってみれば、Fake it until you make it!! と言うことでしょうか。
3つ目は、Destined Encounter, これは日本語で言えば‘縁’、これを英語でこう表現しました。
すなわち、出会いに積極的な意味付けをすることにより、その出会いがきっかけとなる幸運が引き寄せられるということです。
以下私事で恐縮ですが、私は現在、米国BABEL CORPORATION社のCEOとして、バベル翻訳専門職大学院では副学長を務めています、この米国での翻訳大学院の設立が私の人生設計の上では一大事でした。
私は、昭和27年の12月12日生まれ、今年で68歳を迎えます。
私は、こどものころから師範学校の校長をしていた祖父と師範学校の教員を務めていた祖母に育てられてきました。
祖母は私の誕生日(旧暦)が福澤諭吉と同じということもあり、お前は福澤諭吉の生まれ変わりかもしれないと、諭吉の自伝を何冊も与えてくれました。
ご承知のように、福澤諭吉は西洋文化をいち早く日本に移入し、慶応義塾大学を創設され、日本の近代化に大きく貢献されました。
日本を英語公用語の国にしようと目論んだ初代文部大臣森有礼に強硬に反対し、日本を翻訳で立国し、英米に次ぐ2流国家になることを阻止した立役者のひとりです。
そんなわけで、福澤諭吉の生まれ変わり?のように洗脳された私に与えられたチャンスが、1996年バベルが米国進出、米国での翻訳大学院の設立という、今では常識外の仕事でした。
前職のJTB外人旅行部から転職し、バベル社に入社して、まもなく47年を越えます。
翻訳教育、雑誌の編集長、企業英語研修、出版、と翻訳関連の仕事について、24年前に、湯浅学長より、米国に翻訳大学院を創ろう、日本のような規制の多い国ではなく、自由の地、米国で大学院を創り、教育品質認証(Accreditation)を取得せよ、との命が下り、サンフランシスコに単身で赴任することになりました。
最初のうちは、どこから手を付けて良いやら全く検討もつきませんでした。
しかし、福澤諭吉=慶応義塾創設となんとなく自分をこれにダブらせていくに連れて、見えない何ものかに導かれるように、カリフォルニア州の元教育品質認証担当局長のJOHN F. PETERSONをはじめ、ハワイ州の高等教育を管轄する局長のSEIJI NAYA、など、力を貸していただける方が、降って湧いたように私をサポートしてくださいました。
どうせなら、自分が大好きなハワイ州、大学院生が全員集合をするならハワイが、と考え、大学院をハワイ州でスタートしよう考えたのが2000年。
JTBの外人旅行部で30余カ国を廻っていた中で、やはり一番心が落ち着き、気とエネルギーをもらえる地がハワイ(ワイキキではありません)でした。これが地球のおへそ( Pico)と言われる所以かもしれません。
1996年、米国で会社設立。7月26日(偶然、マヤ暦の元旦!!)に米国登記が完了、準備から約5年を掛けて、米国教育省の認可の教育認証団体DEACから認証を受けることができました。
このように目の前に起こる出来事、イベント、会った人々をただ漫然と眺めて、無為にやり過ごすのではなく、それぞれに深い意味付け、Positive definitionをして行くことで物事が自己組織化するように動くことを体験しました。
しかし、この意味付けも、確固たるゴールがあってこそできると考えます。
これは引き寄せの法則の真理を理解できれば容易にわかります。
すなわち、我々は常に過去の経験から導かれた色めがねで目の前の光景を見ています。
従って、あなたが今見ている光景と、私が今見ている光景は僅かに違っているはずです。
従って、明確なゴールを設定することにより、ゴールに必要なのに今まで気づかずにいたものが観えてきます。
これが、あたかもそのことを引き寄せたかのように見えるわけですが、実は、これは、これまでそれを見ていなかっただけのことにすぎません。
すなわち、全てがすでにそこにあったという驚くべき真実です。
こと程左様に、POSITIVE DEFINITIONの基本は、明確な、できれば大きなゴール設定ということになります。
以上、自戒を込めて、皆さんにお伝えしました。
令和を迎えて、まだ人生設計をしていない方、今回の新型コロナ騒動は、ある意味、良いきっかけといえるのではないでしょうか。
是非、上記のことをポジティブに受け止めていただき、今からでも遅くありません、翻訳のプロとしてのキャリアデザインをしつかり考えてみてください。
なぜならば、Today is the first day of the rest of my lifeだからです。
以上
前号で『新型コロナ感染を超えて―’新しい時代を創る’ パラダイム変換へ』と題して、拙稿を掲載させていただきました。次号((5/22)は以下のようなテーマで、私なりの考えを披露したいと考えます。
『新型コロナが教えてくれたこと』。
そこで皆さんは、皆さんなりの経験をこの同じテーマで語ってください。
皆様なりの独自の視点で投稿をお願いします。この投稿には基本的には原稿料はお支払いしません。ワーキング生の方々は5,000ポイント支給します。
原稿締め切りは、6月8日掲載分は6月1日、6月22日掲載分は6月15日です。
皆様の貴重な考えを多くの読者と共有させてください。
原稿送付先 葛西優子 yuko_kasai23●yahoo.co.jp
CC.で堀田都茂樹 hotta_t●nifty.com
(●を@に変えて送付してください)