『 BABEL GROUPのミッション 翻訳プロフェッショナリズム の構築― 40年目の私の中間総括2014 』と題して、これまで翻訳界に対する課題提起を以下のようにしました。
- 翻訳業のプロフェッショナリズムは確立しているか。
- 翻訳の品質を保証する翻訳者、翻訳会社の生産能力の標準化はできているか。
- 翻訳者の資格は社会に定着しているか。翻訳会社の適格認証制度は構築可能か。
- 翻訳、翻訳専門職養成の大学、大学院は存在しているか。
- 翻訳専門職のための高等教育機関のプロフェッショナル・アクレディテーションは実現しているか。
- 翻訳教育においての翻訳教師養成の必要性を認識しているか。
そして、そのソリューションをバベルグループ40年の活動中間総括としてまとめました。
ソリューション1.
翻訳者の能力の標準化
⇒ 翻訳者の国家資格の構築
80%達成
ソリューション2.
翻訳の品質保証システム構築
⇒ 翻訳会社の適格認証制度の構築
50%達成
ソリューション3.
翻訳専門職大学院の確立
90%達成
ソリューション4.
翻訳専門職高等教育機関のプロフェッショナル
アクレディテーションの実施
準備中
ソリューション5.
そして、翻訳プロフェッショナリズムの確立
70%達成
以上、中間総括を要約、まとめてみました。
次に、バベルグループが計画している、
翻訳のプロフェショナリズムを高める更なる施策を簡単にご紹介いたします。
施策 1 研究所構想
BABEL UNIVERSITY System内に翻訳者のプロフェショナリズムを確立するための
4つの翻訳研究所の設立を予定しています。
1.翻訳テクノロジー研究所
2.翻訳教育・キャリア研究所
3.ビジネス翻訳リサーチ研究所
日本国内にはビジネス翻訳マーケットに対する十分な情報分析がなされていません。
しかし、米国では労働省が以下のように翻訳業界の情報を開示しています。
http://www.bls.gov/ooh/Media-and-Communication/Interpreters-and-translators.htm
翻訳立国日本としても、翻訳の技術・教育情報、翻訳マーケット情報は欠かせない情報です。
4.出版翻訳リサーチ研究所
翻訳出版においても翻訳出版に関するデータの集積、分析が十分になされていません。
従って、各研究所より定期研究レポートの発刊を目指していきたいと考えています。
施策 2 専門職法人構想
スタッフ全員が専門翻訳分野のマスター・ディグリーを持つ翻訳専門職法人を分野別に設立したいと考えています。更には、翻訳に関わる世界標準の資格を取得すること。
http://www.jta-net.or.jp/index.html
これも世界初の試みです。院生の皆さんのご協力、ご理解を期待します。
施策 3 地球図書館 構想
地球図書館は、既にスタートを切っていますが、さらに充実させます。人々に気づきと喜びをもたらす未発掘の良書、多言語コンテンツを発掘し、翻訳し、デジタルコンテンツとしてストック、共有、享受できるデジタル図書館システムを本格的に創りたいと考えています。
http://www.babelpress.co.jp/html/page69.html
施策 4 Professional Partnersとの連携構想
翻訳関連のProfessional Partners、すなわち
一般企業
翻訳会社
出版社
研究所
教育機関
図書館
翻訳団体 等
との連携、協力により、研究協力、JOB FAIRの実施等、翻訳のプロフェショナリズムを深め、社会的貢献をさらに高めていきます。
ここまで皆様にお伝えして、はて、と考えてしまいました。
あれ、翻訳者ひとりひとりの実像が結べない。
いくら、事業を発展しても、主役である翻訳者が希薄になってしまっては本末転倒。そこで、改めて原点に却って、では ‘翻訳プロフェショナリズムの確立’のなかでの‘ 翻訳プロフェショナルとは’を考えてみましょう。
例えば次のような実績、
1.翻訳専門職大学院のマスターを取得した。
2.翻訳者としての公的資格を取得した。
3.働いている翻訳会社やクライアントから高品質評価を受けている。
4.翻訳プロジェクト・マネージャー の資格も取得した。
これが、めざす翻訳プロフェショナルでしょうか?
これが、めざしたい翻訳プロフェショナルでしょうか?
本誌でも何度かふれてきたのでこの点を改めて考えてみましょう。
はじめに、
Find your own uniqueness, define your own success.という言葉を
覚えていますか。米国の教育理念の基本的コンセプトを表す言葉です。
個性、長所を見つけ、これを活かすことから、その人生の成功は始まります。
長所伸展法、すなわち、短所を治すことに時間を費やすより、みずから得意とするところを伸ばす,その方が成功への確率が高い、と言われます。
日本では得てして、右に倣えの横並び精神が優っていて、人と違うことを嫌う傾向に
あるのは今も変わりがないかもしれません。UNIQUNESS、ユニークであることをマイナス評価するそんな傾向には流されないようにしたいものです。
更に、翻訳者として自立する時に、
その分野を徹底的に絞り込む必要性を訴えました。
と同時に申し上げたのは、その専門を軸に、
スキルの横展開をすることを勧めました。すなわち、その専門分野で翻訳をするだけでなく、講演、レクチャーができるようになる、さらにはその分野のライター、研究者となることです。また、その分野の大きな翻訳プロジェクトが発生したら、そのプロジェクト・マネージャーとして仕事を仕切る。そんな、
幅と奥行を持ったキャリアを創ることを提案いたしました。
加えて、日頃から申し上げているのは、ビジネス翻訳者といえども、必ず、
その専門分野の啓蒙書、研究書等の翻訳出版物をもつということです。これにより、翻訳者として別格のブランディングができます。デジタル、POD出版が盛んになってきた今では十二分に可能なことです。
そして、更に、エフィカシー(efficacy)についてもふれました。
これは、コーチング理論等で使われる用語で、簡単に言えば、自己の能力の自己評価のことです。このエフィカシー(efficacy)が低いと常に自己嫌悪に陥り、目標も達成できず、悪循環となりがちです。
あなたは、翻訳者、翻訳業として、高いefficacyをもち続けているでしょうか。
翻訳者の社会的役割、いや、地球的、いや、宇宙的役割までも気づいているでしょうか。
また、 あなたがあなたの限界を決めてはいませんか。あなた自信が小さく収まってしまったら、それを越えることは絶対できません。あなたのLimited belief(自分の限界を自分で決める)がそのビジョンを大きく描き、エフィカシー(efficacy)高めることを妨げていないか、再度問いかけてみてください。
もしやあなたは、次のように考えていませんか?
私の才能は限られている。
私はお金に恵まれていない。
私は一流の翻訳者にはなれない。
一流の翻訳者になるには血の滲む努力が必要だ。
私は運がない人間だ。
私には十分な時間がない。 等々
自分を縛っている自分がいることに目を向けてみましょう。
自分に不都合に決めている自分を解放してみましょう。
人がどう言おうと、振り回されないでください。
なぜなら、エフィカシー(efficacy)とは、自己の自己評価だからです。
さて、みなさんはここまでで
どんな翻訳プロフェショナル像を結べましたか。
私が手前勝手にまとめさせていただければ、
1.翻訳専門職大学院のマスター・ディグリーを取得し、
2.専門の軸足(Uniqueness)をしつかりもち、その分野の公的資格を取得し、
3.翻訳力にとどまらず、プロジェクトを率いるマネージメント資格と実績を保持し、
4.翻訳のみならず、出版・執筆活動、講演活動、研究活動にも積極的に取り組み、
5.翻訳の社会的、地球的、宇宙的役割を深く認識するとともに、
6.翻訳者としての高いエフィカシー(自己の自己評価)をもち、
7.翻訳プロフェショナルとして生きることに深い喜びをもつている
そんな翻訳プロフェショナルに私はなりたい。
最後に、再び、そんな理想、私には無理、とお考えのあなたに福澤諭吉のことばをお送りしましょう。
・やってもみないで「事の成否」を疑うな
・自分の力を発揮できるところに運命は拓ける
・挑戦することは「天命」さえも変える
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– 副学長から聞く - 翻訳専門職大学院で翻訳キャリアを創る方法
海外からも参加できるオンライン説明会
◆ 卒業生のキャリアカウンセリングを担当する副学長が、入学及び学習システムからカリキュラム、各種奨学金制度、修了生の活躍、修了後のフォローアップなどを総合的に説明いたします。
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