「5年後の私は、今よりももっと充実した人生を送っている」 高野 守さん

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 Step4はこれまでのステップよりもすんなりと書けました。未来履歴書を1年ごとに気軽に書き進めることができました。ただ、正直、こんな内容になるとは当初思っていませんでした。Step1-3に乗せられて勢いで書き上げたような気持ちです。

 私は、今、自身のアメリカビザの件で苦労しています。国との境をこれほど強烈に意識したことはありませんでした。この期間、成田空港にも足を運んでいますが、ずらりと並んでいるアメリカ行きの飛行機に乗れないことにとてもやるせなくなりました。テレビの旅行番組でいかにアメリカを多く取り上げているかということも、そんな事情で痛烈に意識させられる次第です。そんな事情でアメリカでの住まいを離れ、実家での生活を余儀なくされているなかで、PC一つで何の問題なく(英米法辞典pc版、ポケット六法は買いましたが)バベルの勉強を継続できていることについては、バベル、翻訳とのつながりや縁のようなものを感じています。アメリカでは真面目に勉強しなかったので、日本で本腰を入れて勉強しろという使命が下ったのかもしれません。

 私が法律事務所で働こうとする動機のひとつに、私のアメリカビザの問題にまつわることがあります。私が退職する際に、その時点でまだ有効であった私の就業ビザの取扱いについて、会社側からも会社顧問弁護士からも何の説明もありませんでした。私の経験から感じたのは、移民法を取扱う法律事務所として顧客会社の社員の就業ビザの手続に関わった場合、社員がその会社を退職する場合には、その解除手続の必要性にまで言及することです。会社にとっては一社員の就業ビザサポート、顧問弁護士にとっては顧客会社の一社員の就業ビザサポートかもしれませんが、ビザが一旦発給されてしまえば、在職中や退職後を問わず、ビザに対する責任の一切は当該社員が負うことになります。

 法律もその国の文化や社会の一側面だと思います。私は、アメリカが好きです。でも理由はうまく説明ができません。個人主義、自由、などの言葉が浮かびますが、人との接し方が日本よりも人間的だと感じます。社会や家族の中の人間ではなくて、その人自身と接しようとするのです。言葉にできないような抽象的なものにその国の本質があって、目に見える、耳に聞こえるものとしてその一面が具象化されているだけのような気がします。

 言葉にできないような、抽象的に感じることを大事にしています。そこに本質があるような気がします。言葉で説明しようとすると、感じたことが説明することにすり替わってしまいます。目に見える、耳に聞こえるような具体的なものは、本質の一部が具象化されただけです。本質が変わると周りに見えているものも変わるんだと思います。事前に夢中になれることや、携わっていて快適なことが自分に求められていることでありその人の使命なんだと思うのです。

 多様性を認めることは、お互いの価値観の違いを認め尊重して共存すること。家族や恋人など身近な人との関係にも言えることです。但し、現代社会のようなストレスの多い中では、しなやかで穏やかな姿勢や気持ちを維持していないとなかなか難しいことです。ただ、その原点は食生活と生活習慣だと思います。生きることは食べることです。私たちの体が自身が食したもので出来上がっています。健康に生きている土台があって、幸せを拡大するために自分の使命として仕事をすることが可能になるのです。

 ここ30年位の間で人間を取り巻く食のあり方が急激に変化しています。昔は、コンビニ弁当も、ペットボトルのお茶もありませんでした。昔は、もっと作り立ての温かいものや淹れたてのおいしいお茶を飲んでいませんでしたか。かつては、携帯電話やテレビのない静かな食事時間があったように思います。現代社会は、江戸時代の人々にとっての1年間の情報量を1日で見聞きしているそうです。風味のない食事や過多な情報、こういった変化が体を蝕み人間のこころも弱めているように感じます。

 未来履歴書の話が、いろんなところに行ってしまいました。目標に向かって恐れを感じることは正しいことです。それを達成するために慎重になり、周到に準備をしたり計画を練ったりするからです。夢も希望も成長も、自分の中にあります。他人や周りと比べることになんの意味もありません。他人や周りが気になる時は、からだや心が弱っていて手作りの温かい食事で心に満足感を与えることが必要かもしれません。私は、義理の姉を尻目に、毎日三食、自分で食事を作って作り立てのものを食べています。周りに振り回されずに自分が感じることを正しく知るには、健康度の高いからだと心が必要なのです。
(以上)

高野 守
法律翻訳専攻。約20年の日米における旅行会社勤務の後、バベルに入学。ようやく修了作品に取りかかることができそうです。インドの伝承医学を生活に取り入れ、早寝早起きを励行し、菜食中心の食生活を送っています。

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