バベル翻訳大学院(USA)と私 クラーク真理さん

クラーク真理さん

どうして人は本を読むのでしょうか。本は未知の世界を紹介してくれる一番身近な手段だからではないでしょうか。学生時代寝食を忘れて読んだコナン・ドイルのシャーロック・ホームズのシリーズやアガサ・クリスティーの数々の著作、また最近ではイアン・ランキンのリーバスシリーズ。私の読んだ推理小説ばかりではなく、本は未知の世界、文化を体験できるすばらしい道具です。小説に出てくる人々はその舞台の土地で生活しています。そして文化、政治、習慣、物の考え方、社会問題などそこに生きる人々の情報が沢山つまっています。また、専門書には自分の知らなかった最新の製品・商品・判例・音楽のトレンド、リサーチの結果、政治・宗教の動き等など世界の各地で起きている情報がつまっています。

イギリスに移り住んで最初の数年は日本やアメリカとの感覚の違いに驚き、腹立ちこれがかつて天下をとった大英帝国かと親しくなった人達に議論を吹っかけてみたりもしましたが、長く住んでいるうちにどうして今のイギリスがこうあるのか少し分かった気がします。また、言語は日々変わっていくもので、例えばこんな発見もあります。日本では食事の後の「デザート」と言いますが、こちらでは「プディング」と言います。が、本当は歴史があり、「プディング」は暖かいもの、「スウィート」は冷たいものそして「デザート」は果物なのです。そしてこれはある特定の階級にあてはまることで、イギリス全般にいえることではありません。この様にして学んだ文化を日本にいる人達になんとか紹介する方法はないものかと考えた時にバベルの翻訳大学院のことを知りました。バベルは随分昔から翻訳の勉強をする人達にとっては知られた学校です。そして、アメリカの認定を受けた修士号が通信教育で取れるのです。これはまたとないチャンスだと思いました。

先輩方の経験談を読んではいましたが、いざ勉強を始めてみると、フルタイムで働く家族持ちにとっては課題をこなすのは大変でした。時には数ヶ月間のあいてしまう時もあったのですが、学校は辛抱強く、私が課題をこなして単位を修得するのを見守ってくれました。まず最初に取り組んだ英文法のクラスでは、今まで気づかなかった文法上の法則を発見しましたし、単語編では英語の原書と日本語の訳とのズレを見つけ出すことを通して単語のもつ意味について考えさせらせました。また、課題のなかには実際に裁判所に出向き特定の書式をもらってくるというのもあり、普段の生活には関係のない裁判所に行って担当の人と話しをするという機会にも恵まれました。また、インターネットに注目したコースワークはリサーチに多くの時間を割く必要のある翻訳業を目指す者にとってはとても役にたつものでした。

海外に生活するというまたとないチャンスを生かし、海外の文化を日本に伝える。この大業に向かって今卒業プロジェクトに取り組んでいます。

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