「シートの作成中に感じたこと」 深川 恵さん

fukagawa

第1回に引き続き、キャリアアクセスシートを完成させていった。第2回は、「キャリアビジョンを見直す」という主旨のものであったが、今回も分析中さまざまなことを改めて考えさせられた。

私はもう何年も複数の領域の仕事を掛け持ちしている。細かく分けると、「翻訳」「翻訳チェック」「家庭教師」「塾講師」という4つの仕事をずっと続けている。そのため、仕事の内容に対する満足度も個々に違っている。これまで漠然とそれらに順位をつけていたが、シートを完成させるにあたり、この4つの仕事をどう思っているのか考えていくことになった。5年、10年後の自分の未来を考え、仕事の優先順位をつけていくことは大切であり、「いつか仕事の種類を絞りたい」と日々考えていたものの、絶えずバタバタしていて、なかなか実現させることができていなかった。今回、自分と向き合う機会を得られて本当に良かったとつくづく感じた。さて、実際過去を振り返ってみて、「自分が何に満足してきたか」を分析していった。長年続けてきた仕事であるだけに、仕事内容はどれもそれなりに気に入っているが、特に満足しているのは「文芸書の共訳」「家庭教師」の仕事である。どちらも、仕事を通していろいろな知識やスキルを吸収することができ、本当に奥の深い仕事だと思っている。また、こちらも共通して言えることだが、ベースとなっている状態に対しどう働きかけるかで最終的に出来上がる状態が異なり、自分の個性が反映されることも楽しい。現在までにかなりの満足感を得ることができている。

だが、いくら自分の将来のことであると言っても、自分の気持ちのことだけ考えていくべきでもないと思う。確かに「やっていて自分がどれだけ満足できるか」ということも大切だが、「顧客の満足度」ということも今後の仕事を選ぶ大きな指標であるはずである。シートの質問にはそうしたことを問いかける項目もあった。そこで私自身、自分が手がけてきて一番満足度の高かった職種は何か振り返っていった。最も該当しているのは、正直に言えば、家庭教師の仕事である。これまで、指導してきた生徒の合格後、顧客である多くのご父兄からじかに感謝の言葉を伝えられた。生徒自身の嬉しそうな顔を見ても、やはり感動を覚える。その度に、仕事に対する高い満足感が得られた。シートの分析を通して、この仕事も続けていきたいと思っていることがはっきりとわかった。

また、「最近の社会的トレンドで何に興味があるか」という問いもあった。最も答えを出すのに時間がかかった問いである。答えを見つけるために、キャリア以外にも日常生活全般について振り返っていった。かねてから関心を抱いていて、大学院の修了作品のテーマでもある「健康関連」というテーマがまず浮かんできた。その後は、大学入試の方式や英語教育について大きな変化があったことを思い出した。そこで、「教育問題」を関心領域として挙げた。あとは、「消費税」などの税金の問題である。日常生活に直結していることなので今後の動向が気になっている。

今回のシートでは、前回記載した内容も含めて自己分析をし、「私のしたい仕事」を描く形式になっている。上記のような分析を行い、自分は「翻訳」「家庭教師」という2つの仕事を中心にしたいという結論に達した。2つの仕事を同時に行うことは実際に可能だと考えている(そもそも、片方だけに絞って生活していける自信もない)。ただし、どちらも現在のままではまだ土台が完成していないと感じている。スキル、時間の使い方、人脈など、改善していくべき点は山ほどある。今後のシートを通して、自分の課題を整理していき、最善の解決策を見つけていきたいと思っている。

深川 恵(ふかがわ めぐみ)
中央大学大学院卒。専攻は教育系心理学。現在は大手個別指導塾TOMASのチーフ講師。特許翻訳関連の仕事も従事し、一般書「Play」(スチュワート・ブラウン著)、「Gluten Free Living」(カレン・ラッセル著)の翻訳も行っている。

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