今回のステップで思ったことは、まだまだあきらめなければチャンスがあるかも…、生きていく上でこのキャンペーンが非常に励みになったということです。今私は電気工事のおっさんを職業としております。このおっさんのままでも定年まで行けそうですが、それではつまらない。人生1度きり。40代後半に入りましたが、多趣味でもあり、まだまだこれから、死ぬまで精いっぱい生きようと思っております。そもそも翻訳もこのようなコンセプトがきっかけでスタートし、昨年ようやく、バベル翻訳大学院を及第点でなんとか修了することができました。出来の悪い院生で皆様に大変ご心配ご迷惑をおかけしました。
昨年のハワイでの学位授与式では、遠くハワイまで行かれた修了生は、みなさん非常に優秀な方ばかりで、私一人浮いていたように思います。でも、やはり出席してよかったと思っております。授与式が一つの区切りとしての達成感を得られたのと、授与式で同窓生と学長をはじめスタッフのみなさんの熱意を感じることができたからです。あの雰囲気は、今の職場では絶対に得られない、独特で心地よい雰囲気でした。
話は、大学時代に戻りますが、スペイン語が専攻であったこともありまして、勿論講師は、ラテン系のスペイン人の先生が大半でした。高校を卒業して、最初に接した外国人(高校の英語の授業でアメリカ人の先生を見たことはありますが。)がスペイン人だったことは、その後の私の人生を大いに狂わせてくれました。とにかく変わっている先生ばかりで、毎回授業はパーティみたいに騒いで、授業には関係のない自分の自慢話ばかりで、「日本人は人生を楽しんでいないから楽しむべき。」を連発し、都合が悪くなると、「今日は自習です。」とか「飛行機はもう飛び去った」とか「船はもう出港した」とか言って逃げてしまいました。
救いは、数人の日本人講師とドイツ系アルゼンチン人のスペイン語講師がいたことです。スペイン語をしゃべる人がすべてラテン系であるとは限りません。アルゼンチンなどでは、ドイツ系の人がいてまじめな人が多かった記憶があります。なお、今のスペインの経済が悪化している原因は、スペイン人の国民性にあるのかもしれません。ただ、スペインは、芸術やスポーツに関しては、天才を多く輩出する国であり、一緒にいて楽しかったのは事実であり、今でも私にとってはあこがれの国であります。
「継続は力なり」という言葉がありますが、何事も継続することは大事だと思います。継続したことにより物事を成就しても、それを維持するのにさらに継続が必要ですが。格好いいことを言っちゃってますが、実際、継続したものが実を結んだことはそう多くはありません。ただ、途中でやめてしまって、今まで続けてきたものを永遠に失ってしまった経験はいくつもあります。
翻訳についても、バベル翻訳大学院を修了しましたが、修了がゴールではなく、これから新たなスタートだと思っています。曲がりなりにもここまで来たのですから、途中でやめてしまって永遠に失わないように、研鑽していきたいです。私は、スペイン人たちに鍛えられましたので、あまり人目を気にするタイプではありません。目標に向かってまっしぐら、結果はどうあれ、突き進むまでです。
最後に、moment という言葉がありますが、私は、この言葉が大好きです。通常でも、「現在」、「瞬間」、「期間」など多義語ですが、力学では、モーメントと言います。私は、天井クレーンの免許をもっています。天井クレーンは、大型工場の天井に設置されており、重たい金属部品や完成品をワイヤーで釣り上げて、工場内を移動させるための装置です。クレーンゲームを想像していただくと解りやすいです。その天井クレーンの免許を取るときに必ずこのモーメントについて学びます。モーメントの定義は、「ある点を中心に回転させようとする力の作用」です。つまり、「今この瞬間に力が作用する」ということをたった1語で表現できるmoment を意味の上でも大切にしたいと思っています。
笠原 功三(かさはら こうぞう)
大学卒業後、放浪の旅へ。気が付けば、電気工事の仕事にどっぷり浸かったアラファイブおやじ。