何故、バベル翻訳大学院を開校したのか
皆さまこんにちは。バベル翻訳大学院の湯浅でございます。
今日は、私どもがバベル翻訳大学院の開校の理由、そして、何故、インターネットの翻訳大学院なのか、ということについてお話をしたいと思います。
私どもバベルは、1974年、日本で翻訳の通信教育をスタートしたのが始まりです。その当時、翻訳についての学術的な研究というものはほとんどありませんでしたし、翻訳の技法を学ぶ、といってもそれはほとんどが翻訳者のそれぞれの体験の中で教えられてきた、という状態でした。
そこで私は、一般の多くの人たちに通信教育で学んでいただくということを考えると、誰もがいつでも安定した翻訳をすることができる翻訳の技法、技術が必要だし、また学習の方法についても、できる人とできない人があまりに差ができるのではなく、誰もがいつでも、どこでも学べるような、学びやすい学習の方法も含めて、開発したいと思い研究してきました。
そのなかで、まず、翻訳の世界という月刊誌を発行することにしました。
1976年11月号を創刊し、30年以上続きましたので、この翻訳の世界をお読みになった方もたくさんおいでになるかと思いますが、現在では紙の本からデジタルWebマガジン、『The Profesional Translator』というタイトルで毎月2回配信をしています。
このように1974年以降の日本と世界の動きの中で、翻訳の研究をずっと一筋にしてきたのがバベルの歴史です。それでは、どうして翻訳大学院を作ろうと思ったのか、ということですが、1980年代から’90年の初めころまでは、ワープロからワープロ通信、そしてインターネットがまだ出る直前の時代だったのですが、1994年に商用インターネットが使えるようになったというニュースが飛び込んできました。
それまでは教材を読み、郵便でのやり取りによって、通信教育を受けるような形だったのですが、それがインターネットになれば、世界中、一瞬にして通信ができ、学べるというビジョンが私の中に入ってきました。これは素晴らしい!!ことになる、と1994年のこの出来事は今もこうして皆さんにお話しするくらいですので、私に衝撃を与えたということなのです。
ところで、翻訳というのは皆さんすでにご存じのとおり、私の前に翻訳書が並んでいますけれども、多くの方は書店で翻訳書、それを和書として、またはその国の人はその国の本として翻訳されたものを読むことができます。つまり翻訳書があることによって世界中の様々な情報、技術情報、叡智を自分の国の言語で、自分のいるところにいながらにして情報を得ることができます。
そういう意味でこの翻訳とは非常にグローバルな、世界的な調和や通信、コミュニケーションをスムーズにしていく、とても大事な働きと言えますが、それとインターネットがつながったということになります。それまでの紙と鉛筆の世界がワープロに変わり、ワープロのデータをフロッピーディスクで、ワープロ通信ですのでなかなか通信環境も整っていなかったという時代だったと思いますが、この商用インターネットが世界的規模で一般の民間に開放されたことで、世界のビジネスも様変わりしました。
ところで、この翻訳という作業、翻訳の仕事というのは専業の翻訳者の方たちだけの専売特許ではありません。あなたもそうですし、私たちも、インターネットのホームページを覗くと多言語の世界が広がっています。このことが知りたいと思い、検索をして情報がでてきても、その言語がわからないとなかなか意味が理解できませんし、使いこなすことができません。
他にも今の時代は、ほとんどの企業がグローバル展開する時代になりましたので、翻訳という専門業の方でなくても英語で書かれた契約書や、英文のメール、または中国との取引では中国語、スペインとはスペイン語でなど必要ですね。しかし、ほとんどビジネスにおいて英語というのは、言ってみれば共通の言語となっています。普段のビジネス、それから生活の中でも、このように世界を感じながら生きていく時代になりましたが、これは何によってもたらされたのかを考えますと、インターネットの普及、発達、そしてPCの発達によってとなります。こんな言い方をするのも、もう古いくらいですね。今はiPadがいろんな形で私たちの生活の中に、またビジネスの中にも入りこんできました。
こういった世界的なコミュニケーションを担っていく役割を、翻訳専門職という専業の技術、専門職レヴェルとして高めていこうと、そして翻訳を学ぶことや、翻訳業は、世界中どこでも誰もができるのかというと、まだ十分ではないところもありますので、世界中どこからでも学べる、翻訳専門職の養成をしたいと思ったのです。
そういうことで、この翻訳大学院に、学んでいらっしゃる方たちが言われることは、翻訳を体系的に学ぶことができる、そして技術を学ぶだけでなく、修士号を取得することで自分の技術の裏付けをしっかり身に付けることができ、その後の自分の目標とした職業、または人生をしっかりと築いていくことができる、ということなのです。
私どもが1974年にスタートした時には、日本国内が中心だったわけです。しかし、現在ではハワイにインターネットの翻訳専門職大学院を開き、そして米国のDETC (The Distance Education and Training Council 1926年設立) という専門機関から認証を受けて、ただ単に修士号を取得できるということだけではなく、認証を受けた修士号を取得できるということで、世界中から受講生が集まってきています。
集まってきているといっても皆さんは世界各地に在宅のままで、この最先端の翻訳学習を受けることができるので、働きながら、またはいろいろな方々の生活の条件を維持しながら、大学院の翻訳専門職の資格<MST>を取得出来るのです。
この大学院で学ぶ中で、自分が何のために翻訳を学ぼうとしているのだろうか、そして翻訳に自分が関わりあうのは何のためだろうか、といったように自分の本来の生き方、そこへも大きな気づきをもつ、という方もたくさん出ておられます。この翻訳技術を習得し、そして修士となったことで、今までの働き方が変わったというような方もたくさん出ています。
皆さんも、もしご興味がありましたら、自分は何のために翻訳をしたいと思うのか、何故翻訳に惹かれたのか、をお考えになってみてください。そしてもし、ぜひやってみたいと思いになりましたら、私どものところへおいでになって、世界の皆さんとご一緒に学んでいかれたらいかがでしょうか。
今日は、バベル翻訳大学院のスタートについて、お話をさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。