説明
★内容★
副題にあるとおり本書は、不妊を理解して対処するための手引書となっている。著者のダイアモンド夫妻自身も「不妊」を経験しており、少しでも精神的な苦痛を和らげ、不妊治療に対しての理解を深めてもらおうと書かれた本である。これは、自らの体験も含め、心理学者として経験豊富な著者から送るエールである。孤独感から解放されて、不妊によるトラウマを克服し、身体的にも精神的にも満たされた人生を送ることができるようになるだろう。
★著者★
ニューヨーク州立大学で学び、アライエント国際大学にて心理学博士号を取得。カリフォルニア州サンディエゴにて共著者のダイアモンド博士夫妻と共に生殖心理学センターを設立。流産、不妊など生殖トラウマに関わる喪失と悲観の問題を経験する人のカウンセリングに当たっている。マーサ・O・ダイアモンド (Martha Ourieff Diamond)スタンフォード大学を卒業後、ミシガン大学で心理学博士号を取得。ミシガン大学小児精神科で臨床教員として勤務。現在はアライアント国際大学心理学専門大学院にて客員講師を務める。20年以上にわたり子ども、青年期、成人とカップルの治療に携わってきた。デービット・J・ダイアモンド (David J. Diamond)エール大学で学んだのち、ミシガン大学にて心理博士号を取得。アライアント国際大学心理学専門大学院の準教授。市民相談所の一般心理学サービス部門の部長も務める。現在は上記大学院にて生殖心理学研究グループのリーダーとして、親としてのアイデンティティの発達や生殖トラウマが与える影響について研究している。
★高橋さんからのおすすめ★
2005年、不妊体験者には非常に実際的で、かつ私たち医療従事者にとっても患者心理を知るために有益な本書が、私の友人であるアメリカの心理学者によって出版されました。そして著者の一人であるマーサ・ダイモンドさんより日本語版出版の依頼がありました。原著を一読して私はすぐに日本語訳を決心し、この度本書を出版することになりました。これまで生殖医療(不妊治療)は、その目覚しい治療技術の進展にばかり目が向けられ、
それを受ける患者さんの心理への関心はそれほど高くはなかった、というのが正直なところでしょう。子どもを産み育てたいという自然な希望がなぜか叶えられない苦しみにくわえ、その希望を実現するための治療は心身に多大な負担がかかるという、二重のつらさが不妊患者を襲います。このような状況で苦しんでいる患者さんに対して、治療法についての解説や「こうすれば妊娠した」といった体験談はあふれているものの、不妊の苦しみにいかに対処するか、といった視点から書かれた書物は、わが国ではこれまでほとんど見られませんでした。
本書は、自らも不妊を体験し、現在は不妊など生殖に問題を抱えた人々のカウンセリングをしている3名のアメリカ人心理カウンセラーによって書かれた、まさに「不妊にうまく対処するため」の本であり、多くの患者さんが知りたいと望んでいた内容が満載です。同じ不妊体験者としての共感や配慮と、心理カウンセラーとして援助してきた経験と専門的知識、これらがうまく融合した本書は、専門的な内容をおさえながらも、読む患者さんに語りかけてくるような優しさも持ち合わせており、まだまだ心のケアが十分でないために不妊の苦しみと孤独に戦っている患者さんたちの支えとなると思います。
本書は現在不妊治療中の患者さんにはもちろん、幅広い読者に読まれることを期待します。これから治療を受けようとしている人、あるいはすでに治療を終えた人にも役立つ内容が含まれています。また、医療従事者の方々にも、不妊を体験する人々の苦しみをもっとよく理解し、より良い援助を実践していくためにも是非一読されることをお勧めします。そして、ゆくゆくはこの本が不妊を体験しない一般の人々の関心をも呼び、不妊体験者に対する社会の理解が進むことを期待しています。
タイトル:子守唄が唄いたくて
著者:ジャネット・ジャフェ、マーサ・O・ダイアモンド、デービット・J・ダイアモンド
訳者:小倉智子
ISBN:978-4-89449-055-0
出版社:バベルプレス
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