説明
★内容★
イギリスに住む二十歳のセリーナ・ブルースは、生まれる前に父を戦争で失くし、
出生と同時に母を失くし、お金持ちのおばあ様と、乳母に育てられた。
おばあ様の死後、その全財産を管理していた弁護士のロドニーと結婚することになっていた。
結婚式を一か月後に控えたセリーナは、フィアンセのロドニーからある本をプレゼントされる。
それは、ジョージ・ダイヤーという作家が、スペインのある小さな島、
カラ・フェルテへ自ら操る船の旅でたどり着き、現地の人と親しくなり、
ボートハウスを改造して住み、独自のライフスタイルについて綴ったものだった。
本の裏表紙に載ったその作家の顔写真に、セリーナは衝撃を受けた。
というのもその顔は、会ったこともない、写真で見るだけであった死んだ父
(行方不明、推定戦死)の顔にそっくりだったのだから。
セリーナはその顔写真を頼りに、スペインへと赴いた。
第二次大戦後間もなく、ロンドンとスペインの小さな島を舞台に、
心の傷を乗り越えて、不器用だが自分らしく生きようとする人々の姿が描かれている。
厳しいしきたりのもとにロンドンでおばあ様と暮らしてきた孤独な娘セリーナが、
父を求めて出向いた、遠くスペインの小さな島で、明るい太陽の日差しのもと、
色彩の豊かな暮らしを体験していく……。
読者も、まるで自分のことのように自由でおおらかなスペインでの暮らしを追体験できるような、ピルチャー独自の作風に、自然と、明るく開放的な太陽のもとへと誘われる。
恋あり、涙あり、笑いあり、ピルチャー43歳の時に書かれた作品が、
長い時を経て、今ベールを脱ぐ、本邦初公開ピルチャー珠玉の一作です。
★著者★
ロザムンド・ピルチャー(Pilcher Rosamunde)
ロザムンド・ピルチャーは、一九二四年九月二二日、イギリスのコーンウォールに生まれる。エルムス(The Elms)という大きな庭のある屋敷で幼少期を過ごす。
それは、遊んだり夢見たり、嫌なことを忘れたりするのに理想の住まいで、
後の小説家ロザムンドを育むにふさわしい環境だった。
一五歳のときに最初の短編小説を書いている。
第二次世界大戦時は、英国海軍婦人部隊に入隊し、セイロン(現在のスリランカ)に配属になる。
そこで婦人向け雑誌に偽名を使って短編を書いている(一九四五年、ロザムンド二一歳のとき)。
戦時中は船で貨物の供給や発送の事務に関わり、機密の申告用紙に署名したりしていたので、本名で投稿することが許されていなかった。
戦争が終わり、一九五五年から、やっと本名で執筆するようになった。
★翻訳者★
野崎詩織
一九六二年、東京生まれ。
一九八五年、中央大学文学部ドイツ文学専攻科卒業。
メーカー勤務のかたわら、バベル翻訳学院にてドイツ語の翻訳を学ぶ。
一九八九年、ドイツのゲーテ・インスティトゥート・フライブルクへ留学、研鑽を積む。
その後、ドイツ語学院ハイデルベルク勤務のかたわら、ドイツ語習得に勤しむ。
一九九五年、主人のデュッセルドルフ駐在にに伴い渡独、ドイツをはじめヨーロッパで見聞を広める。
現在は、モンテッソーリ教育の保育園にて、子供たちの早期教育や英語教育に携わる。
ジャンル:フィクション
発行:2017年8月3日予定
原書:Sleeping Tiger Ssa
タイトル:眠れる虎
定価:1,600 円+税
著者:ロザムンド・ピルチャー
訳者:野崎詩織
出版社:バベルプレス
判型:A5版
頁 :約282ページ
ISBN:978-4-89449-170-0
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