説明
★内容★
15歳の王女マーガレット(メグ)はこまっていました。グリーヴ国王であるメグの父親が、どこの王子でも、竜と魔女とこの地の盗賊団を倒せば、娘のメグと結婚させると、お触れを出したのです。
メグはこの計画を気に入りませんでした。なにしろ、魔女は無害で、竜は滅びていて、盗賊団は金持ちから盗んだものを、貧しい人たちにあげていたからです。メグは王の計画にあまりに強く反対したので、塔に隔離されてしまいます。
メグはこの難局をどう切り抜けるか、わかっていました。尊敬に値しない王子たちがこの王国を荒らす前に、魔女に危険を知らせ、盗賊団を助け、無邪気な幼い竜の面倒をみることなのです。
★The RUNAWAY PRINCESSおすすめのポイント★
女の子なら一度は、なってみたいと憧れたお伽噺のお姫さま。ところが例外はあるものの、その美しさや華やかさとは裏腹に、恐ろしい呪いや悲しい人生が運命づけられているのが、お姫さまの常でした。
そして、白馬にのった王子さまが助けに来てくれるのを待つことだけが、その運命から逃れる唯一の道、誰もがそう考えていました。
けれども幼い日から、自分の目で判断することが当たり前だったグリーブ国の王女マーガレット(メグ)が、困難を克服するためにとった道はまったく違うものでした。
国の財政を立て直すために、父王が自分を賞品に悪者退治のコンテストを行おうとしていることを知ったとき、ほかのお姫さまなら涙にくれながらも、父王の言いつけに従っていたかもしれません。
しかしメグには、いつも真実を見極めようとする目とわけへだてのない心がありました。それが何よりも強い彼女の力となり、ともに闘う人々の輪が広がっていきます。
ここで着目したいのは、この本のタイトルにある RUNAWAY が表している意味です。「(すごすごと)にげだした」というよりは、「(反旗を翻して)立ち去った」と言う感覚の「にげる」を感じました。
この物語の特徴の一つに、ひじょうに会話が多いということがあります。はっきりとした主張を、会話文で綴られた、ほのぼのとしたエピソードにのせて、クームズはテンポ良く軽々と伝えてくれます。
状況や考えを伝える地の文が少ないのも手伝って、小説を読むというよりは、マンガ
本感覚で読むことができる、どこから読んでもわかりやすく面白い作品です。
もう一つの特徴は、個性豊かな登場人物です。メグはもちろんのこと、ナイーブなのに勇気にあふれた庭師の少年カム、しっかり者で勝気な小間使いディリー、実は気さくな魔女のおばさんゴルバ、なぜか如才ない、少年の魔法使いレックス、ならず者の女親分アルヤに、王子と名乗るどことなく魅力的な男ベイン、わが子の優しさに気づきながらも、一筋縄ではいかない王女をもてあまし気味の王妃イスティルダ。
まだ幼くてトカゲにしか見えない子犬のように人懐こいベビードラゴン、もとは王子だったかもしれないカエルたち。大掛かりではないけれど、つぶらな瞳のスカーフなど幾つかの魔法グッズ。
難解なプロットや大掛かりな魔法があるわけではありませんが、随所にちりばめられてた彼らの個性が、この物語から、お説教くささを取りのぞき魅力的なものとしています。
RUNAWAY PRINCESSを読み終えたとき、きっと困難に立ち向かう力や勇気がわいてくることでしょう。
★著者★
★ケイト・クムーズついて★
アメリカ出身。本書『にげだした王女さま』”Runaway Princess”は、ヤンアダルト向けに書かれた、彼女にとって初めての小説。
その後、物語の続きとして“Runaway Dragon”を出版。その他、ピクチャーブック
“The Secret-Keeper”がある。現在はカリフォルニア州ロサンジェルス在住。
読者層:小学生以上
原書:The Runaway Princess
タイトル:『にげだした王女さま』
定価:1,500円+税
著者:ケイト・クームズ
訳者:綾音惠美子、いけや咲良、石井冬樹柏倉美穂、小峯真紀、細見真美
監訳 :曽我佐保子
判型:四六版
頁:448ページ
レビュー
レビューはまだありません。