説明
★内容★
本書は、ラフカディオ・ハーンが明治23年4月、40歳で日本の横浜港に到着した時から、翌年11月に熊本の五高に赴任するため松江を離れるまでの、2年に満たない短い期間の印象記である。すでにアメリカでジャーナリストとして活躍していたハーンの確かな観察眼と巧みで簡潔な文章は、ハーンの見た日本の魅力を余すことなく伝え、読者を引きつけてやまない。 第一章My First Day in the Orientは、日本へのあこがれが嵩じ、ついに極東の地、日本に到着した40歳の著者の、まるで少年のような心の高ぶりが伝わってくる。ハーンがイギリス人教授から「第一印象をできるだけ早く書いておかないと消えてしまう」と助言されながらも、当初は机の前に座る時間を惜しんで、あちらこちらを見てまわってメモを記し、それをもとに書いた、というくだりも微笑ましい。 さらに、日本最古の神社である出雲大社(杵築大社)についてのKitzuki: The Most Ancient Shrine of Japan、舞妓について語るOf a Dancing Girl、西洋人には不可解な日本人の微笑みを扱ったThe Japanese Smile、そして松江を離れる最終章Sayōnara! ハーンが目にしたのは、開国から20年以上が過ぎ、あこがれた古い日本の美が次第に消えつつある日本の姿だった。それを惜しみ、また日本という国を、人々を、文化を愛する気持ちが、この作品の底辺に流れている。ハーンの嘆いた日本の変わりようさえ、遠い昔となった今日、本作品は単なるノスタルジーを超えて現代の読者に何かを訴えかけ、あらためて日本について考えさせてくれる。
★著者★
ラフカディオ・ハーン(Lafcadio Hearn)(1850~1904)、英文学者、小説家。1850年ギリシアで、アイルランド系イギリス人の父とギリシア人の母の間に生まれる。アメリカに渡り新聞記者となり、文芸評論家としても活躍。1890年(明治23年)、40歳で来日。島根県の松江中学校と師範学校の英語教師となり、小泉セツと結婚。熊本の第五高等学校講師(1891)、『神戸クロニクル』紙記者(1894)、46歳で日本に帰化し小泉八雲となり、東京大学文学部講師(1896-1903)、早稲田大学講師(1904)を歴任。日本各地を訪れ、『日本瞥見記』(Glimpses of Unfamiliar Japan, 1894)、『心』(Kokoro,1896)をはじめとする英文の印象記、随筆、論文等で、日本の風土や風習を世界に紹介、また日本の伝説に取材した『怪談』(Kwaidan, 1894)などの物語でも知られる。
発売日 : 2016/8/15
言語 : 日本語
ペーパーバック : 318ページ
ISBN-10 : 4894495309
ISBN-13 : 978-4894495302
寸法 : 14.81 x 2.03 x 21.01 cm
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